【異形 加藤唐九郎・高宏展】  ~作品紹介~

春一番から始まって、春の始めに吹く風は、案外強くて冷たい風が吹く。そんな強く冷たい風が吹いた後は、庭の樹々や草花は大丈夫かな……といつも不安になる。
昨日は冷たい雨風の後だったが晴天となり、五分咲きになった桜を見に、ひとりお散歩に出た。
見上げると淡い桜色が広がり夢のよう……しかし、大きな樹々が並んだ根元には、強い風の時に落ちた大きな樹の皮が剥けて落ちてきているものがあった。
誰の頭にも直撃しなかったかな、などと思いながら足早にその場を通り過ぎた。

さて、昨日までの加藤高宏展に引き続き、今週の金曜日からは【異形 加藤唐九郎・高宏展】を開催いたします。
1965~68年頃に制作された加藤唐九郎先生の「異形皿」や陶皿、そして加藤高宏先生の花生等を一堂に並べます。
たたら状に分厚く伸ばした土を、大きく掻いたり、丸めたり……力強く躍動感あふれる姿の作品たちは、どこか風で吹き飛ばされたばかりのまだ息の残る樹々の皮のような迫力と息遣いを感じます。


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かつて、唐九郎先生はこんな言葉を残されています。

『伝統というのは血のつながりであり、生命の継承だと思う。
自分という人間はお父さんとお母さんの二人の間から生まれたもんだ。
お父さんにも似ているし、お母さんにも似ている。
しかしお父さんでもなければ、お母さんでもない。
結局新しい生命だ。
新しい生命がその時代に戦って作り上げるものが伝統なんだ。
……個性が出来て来るんは非常に遅いもんじゃ。
その人が持っておるもんだからなかなか出てこないんだ。
その個性を出すための努力が、長い時間と蓄積が必要なんだ』(「やきもの談義」より)


今回展示する唐九郎先生の異形皿は1965~68年頃、先生が67~70歳の限られた時期だけに作られたもの。
1997年2月に銀座のとあるギャラリーで初めて十数枚の作品が展示された。それまではずっと未発表。他に類のない貴重な作品です。

生命が時代と戦って作り上げた新たな伝統……長い時間と蓄積の後に出来た個性……そんな器にあらざる器に挑んまれた、この異形皿も「用の美」に囚われない自由な創作の先に唐九郎先生の個性が爆発し、歴史に刻まれる作品になっている。

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T1:加藤唐九郎 黒釉異形皿
タタラ板に鎬を入れた後、四角く切り出し成型し、土がまだ柔らかいうちにうねりを持たせて変形させている。
器の裏側にも回って流れる釉も、抽象絵画のようで素敵。

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T2:加藤唐九郎 古瀬戸釉異形皿
一部が禾目のようになった古瀬戸の異形皿。静かな中に見える変化を愉しみたい。

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T3:加藤唐九郎 灰釉異形皿
釉を二重に掛け、淡い色調の中での、色の掛け合いや変化を愉しませてくれる。

これらの3作品は3枚セット。
個性豊かなそれぞれの表情を、気分や、季節などの変化によって愉しめる。


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T5:加藤唐九郎 志野異形皿
抽象絵画のような志野の異形皿。
大きな作品ですが、立てかけて絵のように鑑賞したくなる。





唐九郎先生の作品に対し、高宏先生の作品は分厚いタタラ板をグニャリと折り曲げて丸めたような花入れ。
折り曲げた際に力がかかった部分は、乾燥や窯の中の熱の力で大きな亀裂が入っている。
しかしこれも個性の一つ。    

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28:加藤高宏  織部伊賀花入
タタラ板を折り曲げたシンプルな造りであるが、窯の中で自然と入った稲妻のような亀裂の入り方など、エネルギッシュで活き活きとしている。





また、会場の一部には、先週に引続き、高宏先生のお茶碗と、それに加え、唐九郎先生のお茶碗を展示しております。

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加藤高宏 茶碗

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T6:加藤唐九郎 志野茶碗
柚子肌の粒が大きく入った、ふっくらとした志野釉が愉しめるお茶碗。
轆轤で引き延ばした胴の部分に対し、腰の部分は大きく箆で削り取られ変化が付いて面白い。
高台脇には「一ム」のサイン。




職人と芸術家について、芸術が分業されてしまうと「職人は生きた機会になって、自由な創造ができなくなる。芸術家は、もっと総合的で、立体的な造形意識をもつ人でなくてはならない。」と唐九郎先生はお言葉を残されている。
また、桃山という時代を「あらゆる古い古縛からのがれて自由を得ようとする時代であり、“個性のめざめ”というものがあった」と捉えられていらっしゃいました。

その自由な個性が、唐九郎先生の色、高宏先生の色となって、会場に並びます。
お二人の、また違った世界観を同時に感じられる空間となっております。
ご高覧戴けましたら幸いに存じます。










(葉)




 【異形 加藤唐九郎・高宏展】 
Exhibition of KATO Tokuro & KATO Takahiro
開催期間:2021年3月26日(金)~3月30日(火)
Exhibition : March 26 to March 30, 2021




 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
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営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日



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