陶房の風をきく ~北欧モダニズムの器たち ベルント・フリーベリとオレフォス・ガラス 2週目

今回で3回目となりますギャラリー北欧器さんとの共催企画。
明日より2週目となります。

初めての出品となりますオレフォス・ガラスの技法についてご紹介したいと思います。


北欧のガラス、特にスウェーデンのガラスは16世紀から生産がはじめられ、ヨーロッパ各国の影響を多大に受けてきました。19世紀末の万博において、丈夫であるが芸術性がないとの酷評から、画家や彫刻家を工房へ招きいれたのが、モダンデザイングラス誕生の発端といわれています。その後、作家と職人の二人三脚で独自の技法や表現を編み出し続け、彫刻作品にまで高めることに成功してゆきました。今回出品のあるエドワルド・ハルドもその一人で、元々はアンリ・マティスの弟子であった画家。


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*展覧会図録「白夜の国の抒情 スウェーデンのガラス1900-1970」より アンデシュ・レイネール文


●被せガラス
この技法(ガレのガラス作品によくみられる)では、鉄竿で巻き取った梨型の溶けたガラスの塊に、色ガラスを一層あるいは数層にわたって被せかける、その後、息を吹き込んで成形し、徐冷する。一層または数層の色ガラスの層を、部分的、または全体にわたりエッチングやカットで削り取ることによって装飾をほどこす。カットは基本的に細部を強調したり、中心となる装飾の背景を表すために仕上げの段階で用いられる。



●グラール
「グラール」という言葉(英語では「グレイル」)はボウルや大皿を意味する中世ラテン語の「グラダリス」から来ている。伝説によれば「グラール」とはキリストが磔刑に処されたときにその血を集めた壺であり、通常聖杯と呼ばれる。グラール技法は、被せガラス技法を発展させたもので、1916年頃、オレフォス社においてクヌート・ヴェリクヴィスト(吹きガラスのマスター)とシーモン・ガーテ(初期デザイナー)によって開発された。

最初に色ガラスを一層または数層にわたって梨型のガラス塊に被せかけて半加工品を作る。徐冷後、この半加工品にカットやエッチング、エングレーヴィングによって装飾を施す。そして、再加熱して400℃から500℃まで温度を上げ、ポンテにとれるようにする。さらに透明ガラスを外側に被せたり、(それが薄手の作品となる場合)形を変形させずに装飾がガラスに沈み込むように注意深く鉄台の上で転がす。そしてデザイナーが構想したとおりの形に仕上げられるのである。

1930年代、グラール技法はエドワルド・ハルドによってさらに開発が進められた。1936年、ハルドは「フラッシュ・グラール」のための最初のドローイングを描いた。それはアスファルト塗料によって未加工の被せガラスに自在に装飾を施し、地の部分を酸で腐食させて削り取るものであった。1930年代の終わりには別のタイプのグラール技法が開発される。それは「カット・グラール」と呼ばれるもので、エッチングよりもむしろカットによって装飾を表した。「アクア・グラール」はカット・グラールの一変種であるが、1960年頃になってようやく開発された。この技法では、未加工の被せガラスにカットによる文様を施し、その部分に粉末状のガラスで着色がほどこされる。「レース・グラール」はスヴェン・パルムクヴィストによって1944年に開発されたクラーカ技法の先駆をなすもので、一本のレース糸を器の周囲にきつく巻きつけたものにサンドブラストをかけて、ガラス表面に浮彫り状のレース文様が残るようにするものである。


Edward Hald(エドワルド・ハルド)~
はじめてオレフォス工房が芸術家を雇った中の1人。吹きグラス職人と連携をしながらグラール技法を完成させ、数々の美しい文様パターンを表現していきました。グラス食器でもその才能を発揮しており、いくつものデザインを手がけていまして、その評価がオレフォスを世界のオレフォスへと飛躍させたと言われています。



No.26 / グラール技法
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No.38 / グラール技法
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エドワルド・ハルド
Edward Hald



●アリエル
アリエルとは、シェイクスピア劇「大あらし(テンペスト)」に登場する、不死の空気の精霊の名である。アリエル技法はグスタヴ・べリィクヴィストによって開発され、この技法を用いた最初の作品は、エドヴィン・エールシュトレムとヴィッケ・リンドストランドによって1937年にデザインされた。ガラスの表面にサンドブラストによって文様を刻み、その部分に気泡を封じ込めるように薄いガラスの層を器に被せかける。さらにガラスを巻き取って形を仕上げる。

Edvin Öhrström(エドヴィン・エールシュトレム)~
大変寡作な作家でもあり、その作品数は約3000点ほど。こちらはその貴重な作品の1つです。北欧神話やオペラなどからモチーフをとっていることも多く、こちらの作品もどこかの場面のようです。


No.11 / アリエル技法
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No.29 / アリエル技法
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エドヴィン・エールシュトレム
Edvin Öhrström




Ingeborg Lundin(インゲボルグ・ルンディン)~
オレフォスガラスの紅一点ともいわれる。女性作家らしく透明感のあるシンプルで美しい作品が特徴的で、フリーベリの器にも似たような共通の美しさがあります。エールシュトレムとともに、世界での評価が大変高い作家です。


No.12 / アリエル技法
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No.24 / アリエル技法
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インゲボルグ・ルンディン
Ingeborg Lundin



●クラーカ
クラーカはヴァイキングの物語サガに登場する金髪の美女の名である。ヴァイキングの英雄ラグナル・ルードブルークに「衣服をまとうでもなくまとわずでもなく」彼のもとに来るように求められたクラーカはルードブルーグの前に魚網をもとって現れたのである。クラーカは1944年にスヴェン・パルムクヴィストによって開発された。

目の細かい網を、未加工の被せガラスの表面にかぶせ、サンドブラストをかける。その後、器を再加熱し所定の形に整えると、気泡がガラス器の溝の部分に封じ込められることにある。


Sven Palmqvist(スヴェン・パルムクヴィスト)~
1928年に入社後、1971年までOreffors(オレフォス)工房に在籍し、初期から後期までの、まさに黄金期を支えた唯一のキャリアの持ち主です。彼のお蔭でOreffors(オレフォス)工房が世界に名だたるグラスメーカーになったと言っても過言ではありません。彼の作歴を見ると、ほとんどの技法の最高傑作が見えてきます。



No.28 / クラーカ技法
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スヴェン・パルムクヴィスト
Sven Palmqvist



●ラヴェンナ
名前が示すとおり、この技法はイタリアのラヴェンナ市にあるモザイク画から着想された。その最初の作品は1948年にスヴェン・パルムクヴィストによってデザインされている。被せガラスで何層かになった板状のガラスにサンドブラストで文様を刻み、その溝に色ガラスのカレット(溶解用のガラス屑)を詰める。加熱後、このガラスの大理石を型押しして成形する。


No.34 / ラヴェンナ技法
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スヴェン・パルムクヴィスト
Sven Palmqvist



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【北欧モダニズムの器たち ベルント・フリーベリとオレフォス・ガラス】

共催:ギャラリー北欧器


開催期間:2020年7月17日(金) ~ 2020年7月28日(火)
休業日:23日(木)

於:しぶや黒田陶苑
11:00~19:00


Exhibition of Berndt Friberg and Orrefors Glass
Exhibition : July 17 to July 28, 2020
closed on 23.



新型コロナウィルス感染拡大防止の為、
本展では追加作品をホームページ上でご紹介しております。
↓↓
https://www.kurodatoen.co.jp/exhibition/20200717/






(恭)

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黒田草臣ブログ: http://01244367.at.webry.info/
しぶや黒田陶苑のホームページ: http://www.kurodatoen.co.jp/