赤と青

23日は節分だった。毎年、豆まきをすることにしている。というのも、忙しかったのか、あるいは相当日にちが経ってから思い出したのか、覚えていないが、豆まきをしなかった年があった。その年は、なんだか心沈むようなことが多い年だった。とりたてて信心深くも、験を担ぐわけでもないのだが、とにかく豆をまくことにしている。とはいうものの、ここ何年かは後の豆の回収を考え、小袋に入った煎り豆という省力化を図っている。

『色絵磁器 前田正博展』が始まりました。タイトルにもあるように、数々の美しい色の作品が店内を彩っています。昨日は、この冬初めて東京も最低気温がマイナスとなり、かなり冷え込んで外の水溜まりが凍っていましたが、先生のカラフルな作品をご覧になって、目からも温かさを感じていただけたらと思います。

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水指とコーディネートしたお茶碗が整然と並びます。
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壺・皿・鉢と見ているだけで愉しくなるような棚。
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鉢や酒器の棚。
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色絵銀彩皿
皿の裏側までもが、ご覧の通り美しい青や紫色の模様が描かれています。是非、裏もご覧ください。

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店の入口にはいち早く咲く河津桜。先生の作品と共に春を先取るような明るい華やかな店内となっております。

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額: 難波田龍起 「敦煌を想う」
色絵洋彩筒

今週の花
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色絵銀彩鉢
花: 雲龍栁・サンシュユ
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雲龍栁
雲龍栁の枝が上に向かっている伸びやかな様子が、新芽の芽吹きと相まって、春を感じさせます。
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サンシュユ
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サンシュユも春の静かな足音を感じさせるような、控えめな黄色い小花を咲かせ、その様が実に愛らしい花。

前田先生の作品を初めて拝見した時の印象は赤と青。それは、今回の他の色の数々を目にしても、やはり変わらない。それほど心に残る深い美しい色。

節分があったので、なおのこと感じるのかもしれないが、子供の時の大好きな童話を思い浮かべた。赤鬼と青鬼の話で、あんまり繰り返して読むものだから、絵本の分厚いページの角がめくれて蛇腹状になるくらいに気に入っていた。

優しい赤鬼が山に一人で暮らしていた。鬼たちとだけでなく人間と仲良くなりたいと、家の前に「こころやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。美味しいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」と書いた立て札を立てる。しかし、人々は疑って誰も来ない。赤鬼は、それを悲しみ、信用してもらえないことがくやしく、とうとう腹を立てて立て札を引っこ抜いてしまう。そこに友達の青鬼が訪ねてきて、わけを聞いた。青鬼は、自分が村へ行って大暴れをするから、そこへ赤鬼がやってきて懲らしめれば、人間たちが、赤鬼が人を襲ったりしない、やさしい鬼と分かるだろうと提案する。青鬼に申し訳ないと渋る赤鬼を無理に引っ張って村へ。計画は成功し、赤鬼の家に村人たちが遊びに来るようになったが、気がかりなことが出てきた。青鬼が訪ねてこない。青鬼の家を訪れると、貼り紙があり、「自分が今までのように赤鬼くんと付き合っていれば、悪い鬼だと思われるかもしれない。だから、旅に出るけれど、ずっと君のことを忘れない。人間と仲良くして楽しく暮らしてください。いつまでも、君の友達だよ。」赤鬼は、何度もその貼り紙を読み返して泣いた。

といったお話。子供心に、どちらの鬼も本当は心優しいのに、外見が怖く、乱暴な仲間もいるために信じてもらえないことの理不尽さを感じたのだろう。そして、青鬼の見返りを求めない友情に心打たれたと同時に自己犠牲の精神に悲しさをも覚えたに違いない。読むたびに何とも言えない気持ちになって、泣きたくなった。いや、泣いていたと思う。きっと今読み返しても、胸が詰まるだろう。

赤鬼も青鬼も、その強い色が力を誇張する。暴力や破壊を連想させて、人間の不信を拭いさることが至難の業だった。しかし、その奥にやさしさや繊細さ切なさを人間同様、あるいはそれ以上に持ち合わせていた。その色の強さは表面的なものではなく、温かで穏やかな熱をもち、懐の深い受け入れる力のある強さ。それこそ真の強さと言うべき力ではなかろうか。

前田先生の深い赤と青。先生の他の様々な色を拝見しても、自分の中で網膜に残像が浮かぶ赤と青。それは、強さだけではない優しさと温かさを内包していて、だからこそ心惹かれるのだろう。久しぶりに、赤鬼と青鬼の童話を読みたくなった。


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