素顔と…

二十四節気の「雨水」が一昨日。雪から雨に変わり、雪解けが始まる頃。雪が解けて水になり、大地や田畑を潤す。冷たい空気がゆるんで、休眠していた植物も起き出してくる。冬の間の長い農閑期を経て農作業を始める目安にもなっていた「雨水」。寒さに身構える鎧のようなコートから、そろそろ春めくそれに衣替えするのもいいかもしれない。

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『陶藝家の父 富本憲吉展』が始まりました。渋谷で二週にわたり展示した後、京橋の魯卿あんへ会場を移しての開催となります。この機会に、富本先生の作品を是非ご覧くださいませ。一昨年の『陶藝家の父 富本憲吉展』では、金銀彩捻徳利や四弁花・羊歯模様の色繪徳利にスポットを当てた展示でしたが、今回は富本先生の白磁の作品が中心となっております。趣も変わり、店内の雰囲気も前回とはかなり違っています。(色繪徳利の展示もしております)

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こちらの棚には、色繪の陶板や皿を展示しております。参考資料として富本先生の著書や図録も棚に並べています。さながら、リビングの一角のような印象になっています。

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今週の花

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軸: 色繪角飾箱之図
白磁壷
花: シロモジ・光源氏

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光源氏
「光源氏」という雅な名の椿。蕾のうちは、花びらの巻きが幾重にも重なって見えますが、開花が近づくと中心の花びらが伸びてきて、ほっそりとした花を咲かせます。赤・白・ピンクの色が混ざった絞りが美しい「光源氏」という名にふさわしい椿。

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シロモジ

丸みを帯びているのが花の硬い蕾、先が尖っているのが葉になる様子が見て取れます。シロモジは黄色い小花を咲かせます。


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白磁花器
花: アネモネ・桜小町

珍しく洋風の雰囲気の花を活けました。富本先生の白磁は和も洋もどちらも似合います。

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アネモネ
アネモネは、まさに春の到来を告げるような色鮮やかな花。

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桜小町

桜草に似た淡いピンク色の五弁の花が愛らしい。ナデシコ科に属します。「桜小町」は和風に聞こえるものの、花屋さんでは「シレネ」と呼ぶことが多いようで、ガラッと洋花の呼び名になります。

富本先生が白磁への関心を寄せられたのは、意外にも、かなり若い頃であったそう。

厚く柔らかい白磁釉(はくじゆう)を壺に用いて、一種特別な感じのする陶器を造りだそうと考え出したのは、私がまだ陶磁家として身を立てなかった若い頃で、フランスでマイヨール作の小像を見てその柔らかくふくよかな肉付きに感心した時に始まる。

(『陶技感想五種』)

と、マイヨールの彫刻から影響を受けたと、先生ご自身が述べている。個人的には学生の頃に、なぜか行く先々でマイヨールの作品の逞しいともいえる肉感的な裸婦像を観ることが多く、多少なりとも辟易した記憶があるのだが、確かに先生のぽってりとした、とろみのある白磁の壺は、マイヨールの彫像を思い起こさせる。

その白は、ひんやりと冷たい大理石を想起させる色ではなく、例えるなら眠りにつく前に飲むホーローのミルクパンで人肌に温めたホットミルクの…とでもいうような温かみを感じる白。

色や模様をまとわない白磁の壺。それは、ある意味メイクなしの素顔、もしくは衣服や装飾のない裸。

その無防備さは言い換えれば真の美しさとも言えるであろう。その点もマイヨールに結びつく。我が記憶の中の印象の塊を肉塊から美のそれへと転化するには、剛力の手を借りなければ難しそうだが、先生の白磁への創作意欲が若かりし頃の感動が源泉となっていると知ると、妙に納得顔になる。


(藤)


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第一会場: しぶや 黒田陶苑
2020
年2月21日(金)~3月3日(火)  ※2月27日(木) ・3月1日(日) 休業
営業時間 11:00~
19:00

第二会場: 京橋 魯卿あん
2020
年3月9日(月)~21日(土)  ※ 3月15日(日) ・20日(金) 休業
営業時間 11:00~18:00



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