引き出す漆 「漆芸 太田修嗣展」
秋空の気持ちの良い日がようやく訪れたと思えば、あっと言う間に冬の風になってしまいました。
この週末は冬服を慌てて出されている方も多いのではないでしょうか。
当苑では金曜日よりこの季節の定番となりました「太田修嗣展」が始まりました。
「漆器」と言えばハレの器と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、太田先生の作品は日々の器。それは普段着の器ということではなく、日々の食卓に欠くことが出来なくなる器です。
初日も朝から大勢のお客様がお見えになりましたが、皆さん声を揃えて「毎日使っています」とお話下さいました。
「漆」は華飾的・装飾的に用いることで自然物である木地を覆い隠し、人工的な美しさを見せることもできます。
しかし、太田先生は原木の選択から木工轆轤や数々の道具を用いての木地作り、塗りまでという「最初から最後まで」をご自身で行う中で、木が持つ柔らかさ、強さ、温かさそして何よりも生命力の美しさをより強調する為に漆を重ねている様に感じます。
そしてその美しさは漆器だけで完結するのではなく、陶磁器やガラス、織りなど、様々と工芸と組み合わせることで無限に響き合うものです。


No.13 手刳溜塗椀(栃)
No3 溜塗端反椀(欅)

No.12 錫黒椀 Ⅱ(欅)
No.2 山笠小吸物椀(欅)
No.30 欅中鉢
漆器でまず使って戴きたいのが椀。毎回沢山の種類を出品して下さる太田先生。
今回も深さや幅、塗りを様々に変えてご用意下さいました。
具沢山の汁物を毎日戴きたいという方、手の大きさに合わせて小振りな椀をお探しの方、やきものの器と合わせ易い大らかな景色の椀をお好みの方…。皆様のお気に入りの一椀を是非見つけて下さい。

No.19 洗朱根来片口(朴)
No.18 ミルク椀(みずめ)
No.36 角切盆(栗)
No.20 洗朱根来馬上盃(欅)
ミルク椀は冷たい飲み物だけでなく、温かい飲み物も。熱くなりにくい漆器は柔らかな口当たりでこれからの季節何かと重宝します。
ころんとした腰と、キリリとした口が特徴的な片口は毎回人気の作品。お酒だけではなく、ドレッシングなどを入れて使われている方も多いと伺います。馬上盃は非常にモダンな立ち姿。洋食器と取り合わせても面白いかもしれません。
No.33 ロクロ目盆(栗)
No.34 ハツリ丸盆(栗)
No.32 ちぎりロクロ目盆(栗)
お盆は配膳だけでなく、トレーとして毎日使われているという方も。一枚あるだけで場の景色が変わるものですから手取りや大きさだけでなく、木目や彫の美しさも重要なポイント。拭漆を主に木地を生かす塗りで仕上げています。
日々の食卓を豊かにする太田先生の器。是非皆さんの食卓の中でその姿を愉しんで戴きたい器です。
会期は12月1日(火)19時まで。明日12月1日(日)まで太田先生も在廊予定です。是非ご来苑下さいませ。
【漆芸 太田修嗣展】
2019/11/29 - 2019/12/3
(巻)
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