『田中佐次郎 自撰五十』 ~作品紹介~

先週末に猛威を振るった台風19号。
上陸する前から、各局台風の話題ばかり。
様々な情報に緊張感が高まり、前日の仕事帰りに寄ったスーパーのスッカラカン具合に、また事前の対策不足ではなかったか……と、不安に煽られました。結果的には、弊社の関係者の中には大きな被害にあった者はなく、無事であったことに心から安堵しました。
またその反面、被害にあわれた方、千葉の方では二次被害にあわれた方々など言葉を失うばかりですが、心からお見舞い申し上げます。

今も通勤の電車の中から見る多摩川の河川付近の様子は、いつもと全く違います。
一瞬にして高まった自然のエネルギーの強さに、只々、自分の無力さを痛感するばかりです。

さて、そんな激しさを感じた週末の金曜日からは、唐津で活躍される田中佐次郎先生による『田中佐次郎 自撰五十』が開催されます。
いつも先生の展示会の前に思い出すのは『焼物を焼くことは地球を焼くことと同じ。』と言う先生の名言。
「土」や「火」による大自然のエネルギーと、窯焚をされる際の気象条件までも操って造り出される作品の数々。
それらは造形や、釉の流れ、色に至るまで躍動感に満ちみちています。
先週末に体験したような“自然の力”と、先生はいつも対峙され、先生のエネルギーと自然のエネルギーとが相乗効果をもたらしているようで恐れ入るほどです。
今回も、ギリギリまで作品作りと格闘されるとの事。
追加作品の到着は当日朝、到着……と言うことになりました。
その為、DM掲載分と重複いたしますが、その中からいくつかご紹介させて戴きます。
尚、一部作品に尽きましては既にご売約済みの物が含まれますこと、予めご了承くださいませ。


1-1.jpg
1-2.jpg
1-3.jpg
図1:井戸茶碗

気持ちよく広がったお茶碗は、珊瑚色のような美しい色合いに灰釉のグレーが掛かっている。
高台脇や高台中には梅華皮が出る。

2-1.jpg
2-2.jpg
2-3.jpg
2-4.jpg
図2:斑唐津茶碗

優しい釉調の斑唐津も、佐次郎先生の手にかかると、どこか動きにある作風となる。
土の中に残された粒が、釉の流れを遮って釉の流れに動きを出している。

3-1.jpg
3-2.jpg
図3:ルリ天目茶碗

幾何学的に土見せを残してたっぷりと施釉されたお茶碗。
写真ではお伝えしきれないのが残念ですが、深い青味の紫の中に、赤みを帯びた紫が見える。
口縁の釉が薄い部分に少し、薄い青味の藤色が出ているのも美しい。
是非、実際に手に取ってご覧戴きたい作品。

5-1.jpg
5-2.jpg
5-3.jpg
図5:玄黄茶碗

白い半紙に水墨画の薄い墨を流したような幻想的な作品。
その不思議な滲みを存分に愉しみたい。

12・13-1.jpg
12・13-2.jpg
12・13-3.jpg
12・13-4.jpg
図12:絵唐津お預け徳利 / 図13:絵唐津盃

茶事の際に亭主が水屋で相伴するため、その間客同士が勧めあってゆっくり飲んでもらおうと、お客様に預けておく二合以上入るような大振りの徳利を“お預徳利”といいます。
こちらの徳利もたっぷりとした大きさ。
表はさり気ないスッとした筆、背面には縁起が良さそうな上向きの矢印のような柄が描かれています。
少し大振りの絵唐津の盃も波打つ口に皮鯨や、二度掛けした灰釉の白くなった釉垂れ先、石ハゼなど愉しみ所が詰まっている。

14・15-1.jpg
14・15-2.jpg
14・15-3.jpg
14・15-4.jpg
図14:辰砂盃 / 図15:辰砂立盃

思い描く辰砂の赤とは違って、深みのある青瓷色のような青緑色。
しかし見込や釉垂れ先にはハッとするほどの深みのある赤が覗く。
土色の違いでの印象の変化も二つ並べると面白い。

16-1.jpg
16-2.jpg
16-3.jpg
図16:ルリ天目盃

小さな瑠璃天目の盃は、極めて黒に近い深い赤紫の至極色(しごくいろ)。
口縁や見込の溜まりの凹みには、竜胆色(りんどういろ)とのようなリンドウの花のような薄い青紫色が見え、何とも魅惑的。

19-1.jpg
19-2.jpg
19-3.jpg
図19:玄黄盃

象牙色に入った黒が弾かれたように不思議な模様を作り出している。
お酒の味が入った盃は、もっと深みを増していくのだろうか……。
育てる過程も愉しみたくなる。






金曜日の朝を、皆様と同じ気分で迎えることになります。
渋谷に上陸する“佐次郎タイフーン”を皆様と共に愉しみにしたいと思います。
会期中は先生もご在廊予定です。
“佐次郎タイフーン”の目の中はきっと、賑やかで愉しい時間になること間違いなしです。
是非、お立ち寄りくださいませ




※尚、図録、DM掲載外の作品に関しての事前のご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)


田中佐次郎 自撰五十展
Exhibition of TANAKA Sajiro
開催期間:10月18日(金) ~ 10月22日(火)
Exhibition : October 18 to October 22, 2019
営業時間:11:00~19:00



田中佐次郎 
TANAKA Sajiro
1937年 福岡県に生まれる
1965年 縄文・弥生土器各地発掘調査、手びねりを始める
1971年 唐津古窯址を発掘調査、作陶活動を開始する
1975年 唐津に登窯を築窯する。永平寺に於いて在家得度
1979年 加藤唐九郎氏に教を受く
1982年 当苑にて初個展を開催
1987年 古窯地山瀬に登り窯築窯
1996年 韓国にて李朝陶器発掘調査並びに、山清の地大明窯にて作陶
1998年 当苑30周年記念「三十碗展」を開催
    「田中佐次郎作陶集」(限定千部)を発刊
2000年 「井戸茶碗展」を当苑にて開催
2003年 韓国に半地上六連房式登窯「亀山窯」を築窯
2004年 初窯火入式。当苑にて「高麗茶碗展」
2008年 しぶや黒田陶苑40周年記念「高麗茶碗展」を開催
2012年 陶苑にて「田中佐次郎展」開催
2014年 陶苑にて「田中佐次郎展」開催、以後毎年開催

1937 Born in Kita-Kyushu in Fukuoka
1965 Begins his ceramic career by the “tebineri (hand-pinching)" method. He excavates several places and researches ancient pottery pieces that were made in the Jomon and Yayoi era.
1971 Went to Eihei-ji (Eihei temple) to learn the practice of Zen. Begins excavation on ancient Karatsu ceramic pieces at Hizen area and creating Karatsu works.
1975 Received a Buddhist priest name “Zenkai Hogetsu” by a Zen master, Reirin Yamada, while building a rising kiln on the premises of Handa Joraku-ji (Joraku temple) in Karatsu.
1979 Met KATO Tokuro, the great Shino artist, for the first time after taking Zen practice at Eihei-ji.
1982 Holds his first exhibition at Shibuya Kurodatoen
1987 Built his own kiln named “Yamase” at ancient kiln site which is 700 meters above sea level.
1994 Solo exhibition in New York.
1996 Excavated and researched on Korean ceramics while working at Da Ming kiln, Sancheong in Korea.
1998 Solo exhibition “The Thirty Tea Bowls” in commemoration of Shibuya Kurodatoen 30th anniversary.
2000 Solo exhibition “The Ten Ido Ware Tea Bowls”
2003 Built the rising kiln named “Kizan” at Ulsan, which was offered by Mr. Kim Tein.
2004 Solo exhibition “Korai Tea Bowls” was held at Shibuya Kuroatoen.
2008 Solo exhibitions “Karatsu and Korai for Sake” and “Korai Tea Bowls” in commemoration of Shibuya Kurodatoen 40th anniversary.
2012 Held solo exhibition at Shibuya Kurodatoen
2014 Held solo exhibition at Shibuya Kurodatoen yearly since this year.



京橋 魯卿あん
Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

※無断転載、再配信等は一切お断りします

黒田草臣ブログはhttp://01244367.at.webry.info/こちら
Twitterページ はhttps://twitter.com/kurodatoen_こちら
Facebook ページはhttps://www.facebook.com/ShibuyaKurodatoenこちら
Instagram ページはhttps://www.instagram.com/shibuya_kurodatoen/こちら
しぶや黒田陶苑のホームページにhttp://www.kurodatoen.co.jp/戻る