陶房の風をきく~唐津 浜本洋好展

今年も浜本先生の個展を迎える時期となりました。

今回は窯焚きの段階で台風が接近し、火を落とし、徐冷の最中に直撃。市内は水浸しとなったそうです。先生が何十年と作陶して来られた中でも、こんなに降ったことはほとんどないとおっしゃるくらい。

しかしながら無事に窯出しされた作品が、たくさん届きました。たくさんの作品の中から楽しんで選んでもらいたいとおっしゃる先生。

昨年末、ゴールデンウィークと先生の工房へ伺い、お話をお聞きしました。


●ただ実直に
最初は「焼もの屋」になる気は無かった。とおっしゃる先生。

前職で働いているときにお知り合いに声をかけられ、窯元で働くようになったそうです。その後、今の土地で独立されました。

独立する際に心に決めたことは、こだわるところはとことんこだわり続ける、ということ。つまり、それは帆柱・皿屋・道納屋谷で焼かれていた斑唐津を再現すること。そのために、土、釉薬、焼きへのこだわりを、それこそ頑固なまでに、実直に、続けておられます。

稲というのは、年を経るごとにどんどん品種改良されていってしまうそうで、こだわりの藁を得るため、種を渡して農家さんに育ててもらっているのだそうです。

また、「炎が粗く、失敗することが多いとても効率の悪い」割竹式連房登窯を使うことも、ずっと続けてきたこだわりの1つです。


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前職で培った土を探し見極める目、釉に使う藁、割竹式連房登窯による焼き、そのこだわりのすべてによって、先生の美しいブルーの兎亳文、流れる斑が生まれるのです。



●多くは語りたくない
先生は生まれも育ちも唐津。唐津から出たことがなく、独立して10か月の頃、当苑の黒田草臣社長と出会うのですが、まさか東京に行くことになるなんて思ってもなかったとか。


そんな先生がおられる唐津というのは、海も山もあり、温暖な気候で、風光明媚。人も優しく、温かい。とても素晴らしいところです。


唐津城からの眺め
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城内の白藤
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焼きものには、その作家さんのすべてが詰まっています。その中にはもちろんバックグラウンド、精神性も入っています。

先生の焼きものは強い主張は無くとも、それでいて先生の作品だと確実にわかるものがあります。
普段から自らは多くを語らないとおっしゃいますが、強い意思があり、そしていつも先回りして相手を想い、仁義を重んじる先生のようだと感じています。


●今年で81歳
若い頃ラグビーに夢中になっておられた先生は、御年81歳とは思えないほどお元気です。それでもやはり窯焚きは年々しんどくなっているそうです。

今回の展示会には200点を超える作品を、二度窯を焚いて用意してくださいました。たくさんの作品の中から、楽しんで選んでもらいたい。その一心なのだそうです。


作家さんと呼ばれることも、先生と呼ばれることもあまり好かん。
いつも優しく笑っておっしゃいます。



会場に聞こえる唐津弁と、先生の作品が運ぶ唐津の風。
今年もいよいよ始まります。
ぜひご来苑くださいませ。お待ちしております。





年末には、1年間お世話になったこだわりの藁を編んで玄関のしめ縄に。
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窯や作業場のあちこちに御供えのお餅が
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【唐津 浜本洋好展】
開催期間:2019年10月4日(金) ~ 2019年10月8日(火)
11:00~19:00
会場:しぶや黒田陶苑

作家在廊日:10月4日(金)~10月7日(月)(予定)


【浜本洋好 / 陶歴】
1938年 佐賀県に生まれる
1969年 唐津の窯元で修行する(13年間)
1982年 独立して築窯。初期の斑唐津復元に取組む
1986年 当苑にて初個展を開催する



(恭)



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