秋風と共に 【乾漆 鎌田克慈展】より

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関東を「超大型」と呼ばれる規模の台風が襲いました。東京でも各地で様々な影響が出ていましたが、特に千葉を中心にいまだに停電や断水などライフラインが止まる程の被害が続いていると聞きます。被災された皆さんに日常が一日でも早く戻ることを切に祈っております。


台風一過の後、また真夏の猛暑が戻って来たかと思えば、昨日、今日と一変して秋の風となりました。当苑では三度目となった『乾漆 鎌田克慈展』。心地よい風が草叢を泳ぐ様な、伸びやかで凛とした漆器が並んでおります。

一般的に漆の食器と言えば木を素地としたものが大半ですが、鎌田先生は麻布を素地とし、漆で塗り固める「乾漆」の技法で器作りに取り組まれています。木地の漆器では難しい曲線を自由に形作る「uneri」のシリーズでは自作の陶器の型を用いて。また極々薄手の木地椀の様な軽さを生かした椀などは木型を使用し、乾漆ならではの作品を生み出しています。


b_DSC4856.jpguneri40 花水木


これまで日々の食卓でも自然に取り入れることが出来る器を作ってきた鎌田先生。ここ数年、そうした日常の器と併行して懐石料理やお料理屋さんにも使って戴きたいハレの場の椀なども力を入れて制作されています。


b01.jpgNo.62 面取羽反大椀


蒔絵などで華美な装飾を施している訳ではありませんが、その素地の薄さから生まれる緊張感と、シンプルながらも深みのある漆の色味は、正に現代の風を感じる漆芸と呼べるのではないでしょうか。



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No.1064 六角小吸物椀


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No.72 端反平椀

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箸洗いとも呼ばれる小吸物椀には六角の愛らしい笠の様な蓋を。平碗にはつまみの箇所にだけ石目塗りの装飾を加えてアクセントにしています。



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No.1047 ワインクーラー

乾漆と聞くと繊細なイメージをお持ちの方もいらっしゃるかも知れませんが、しっかりとした強度もあるもの。方形のワインクーラーは幅30センチもあり、ワインだけではなく、一升瓶を冷やしても良いかも知れません。それでいて薄手なので、シャープな印象の作品です。



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No.66 銘々皿


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銘々皿は干菓子などをお出しする際には何かと使い勝手の良いサイズ。シンプルな造形だからこそ布目の表情が引立って見えます。

また菓子器だけでなく、日々の食器としても重宝しそうな器も並んでいます。


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左から) uneri66 ぐい呑  uneri67 片口

口を僅かに内側に抱え込んだ片口。

胴の部分に切り込みを入れて型を取り出し、また塞ぐという手をかけた工程から生まれた造形はガラスのような柔らかさを感じます。

またぐい呑も磁器のような薄手でありながらも漆器特有の滑らかな口触りが一番の魅力と言えるでしょう。



何よりも姿の美しさを求めたいという鎌田先生。麻布に何度も塗り重ねる漆は単に表層的な装飾の為ではなく、削ぎ落したフォルムの中にしなやかさを閉じ込める為のようにも感じられます。それでいて決して硬直せずに伸びやかな鎌田先生の乾漆。

是非手に取り、その軽やかさを肌で感じて戴ければ幸いです。


会期は17日(火)〜19時まで。皆様のご来苑を心よりお待ち申し上げております。




乾漆 鎌田克慈展
2019年9月13日(金) ~ 9月17日(火)


(巻)
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