陶房の風をきく  ~唐津 矢野直人展

今回で6回目となる矢野直人先生の個展。
明日21日より始まります。


展示に向けて、先生にお話をお聞きしました。





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彫唐津ぐい呑




●始めることとやり続けること

以前から少しずつ土や釉薬など試していた彫唐津。
今回初めて形にしたという。

もともと唐津は、斑、朝鮮、絵、彫、皮鯨等々、多くの手があることが知られている。
その中で、先生から「初めて」と聞き、ハッとさせられた。

長く続けていく中で、様々なトライの上に、こうして始めていくことがまだまだあるのだ。


その一方で、ライフワークのようにやり続けたいと思う出会いもあるような気がして伺うと、
まだ全然出来ていませんが、ということわりが入りつつ、


唐津らしい斑、黒を最近のテーマにしている。
古いものを中心に、と想っているので、今思う自分のライフワークはやはり「唐津」になると思う。





●今の感覚からも

普段から古唐津について研究し、実際に多くを見て、手に取って触れ、感じているだろう。
それをご自分の中に落とし込み、形にしていく作業がこれからもずっと続く。


古唐津といえども、人の手が造りだしたものであるのだから、触れていると、
作品そのものから土や釉や焼き方と言った手法だけでない、造った人の感性や時代が伝わるのではないか。





では、先生のいう「唐津」「唐津らしい」というのはどんなものなのか。


それは絶えず変化し、移ろっていくもの。
決して悪い意味ではなく、例えば、ある作品を見て感動したとしても、次に見るときは同じではない。


だからこそ「唐津」「唐津らしい」も、その時、その年齢、きっとそれぞれで変わってゆく。




焼き物に限らず、自然や音楽、人の感性など様々な良いものから影響を受けるという先生。


例えば展示会などで街に行くとき、作品そのものだけではなく、展示方法や
そこにいる人でも格好いい人、洒落ている人などから、今の感覚みたいなものを感じるようなとき。

もっと言えば、自分は唐津をテーマにしているが、外国の歌のオーディションなどを見ているとき、
いわゆる名曲を今の感性で上手くアレンジされていたりするととても考えさせられるという。



これは、名曲と呼ばれるある意味「完成された」「大多数の人が思う」アレンジを、
今の感性で上手にアレンジしているのを聴いて、古唐津と「(自分の)唐津」に結び付けて考えているように思う。




●良い意味で頭の中は「唐津」だらけ?


一見関係のない外国の音楽からも「考えさせられる」先生。



お話をさせていただいていると、実直で柔らかく、でも強い意思を持ち、
何より「唐津」を愛しているのがひしひしと伝わってくる。



展示前のバタバタしている時、ふと一息つくときですら、それはそれで少し大変だけれど(良い意味で)、
自分の信じることや作品を見てもらうということ、見ていただける人、色々なことを思う。

やっぱり、リラックスというか力をもらえる気がするのは、自分が好きな器を見るとき、だそうだ。





●想いが大きいうちはなかなか見えてこない

今回の個展でお客様に注目して見て頂きたい点は、との問いに、

展示に向かって行く中で、想いが大きいうちはなかなか自分が作ったものが見えてないように感じ、
何かを見ていただきたいというよりは、何を見てくださっているのかを見ている気がする、

と返ってきた。







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黒唐津水指


◆黒唐津水指について◆

佐賀県の重要文化財にも指定されている、鉄釉叩き耳付水指 銘:福の神という古い水指をイメージして作られた。

ただ、他の作品であっても同様だが、単にそのものを写す(今回は『福の神』ですが)ということではなく、「唐津」を写したい、「唐津」を作れるようになりたいと思いながら、作品を作っているように思いますと話す。


参考)
佐賀県指定重要文化財 鉄釉叩き耳付水指 銘:福の神

唐津市のHPより

https://bit.ly/2ZBunAa



実際の作品は、矢筈口、耳の付き方、首から胴、腰まで箆で筋文用を陰刻している様は似通っているものの、
筋の入れ方のリズムや、艶のある釉はより飴色に、さらに青く変化しているところなど、本歌とはやはり違っている。









先生が名曲の新たなアレンジにハッとしたように、皆様も本歌の水指を思い浮かべながら、この作品をご覧になっていただき、今回何を想い、表現したのかを感じていただけたらと思います。



他にも、お茶碗、花入、酒器、食器など多数並びます。
ぜひお手に取ってご覧くださいませ。

ご来苑お待ちしております。





唐津 矢野直人展
2019年6月21日(金)~25日(火)まで
11:00~19:00

作家在廊:21日(金)~23日(日)





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作業場









(恭)







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