陶房の風をきく ~ 織部 小山智徳展
明日より小山先生の個展です。
早いものでコロナ禍の中、オンライン展示会になってしまった2020年からほぼ1年が経ちました。
早いものでコロナ禍の中、オンライン展示会になってしまった2020年からほぼ1年が経ちました。
「コロナ禍でも暮らし振りは全く変わりませんね。」とおっしゃる小山先生に個展に向けてお話を伺いました。
●いつか作ってみたいもの
まず今回ご準備いただいた作品を見て、目に留まったのは、お地蔵様や狛犬といったもの。
何かきっかけがあったのでしょうか。
何かきっかけがあったのでしょうか。
「僕の住む戸隠村は梁塵秘抄にも名前が出てくるように嘗て修験道の行場として名前が知れ渡っていたところです。主な五社が有名ではありますが、そのほかにも歴史にまつわる神社や石造文化財には事欠きません。そこで必ず付き物のように鎮座しているのが狛犬で、その愛くるしい姿で楽しませてくれます。
いつか作ってみたいものだと思っておりました。常日頃見かけるのは殆ど石造の狛犬ですが、石造に先立って作られたのが平安時代後期の格式の高い金属・木彫そして庶民の間に使われた陶器の狛犬です。陶器の狛犬に愛くるしいものが多いのはその為でしょう。
その愛くるしい表情がどこか織部に通じるところがあるように思われませんか?」
その愛くるしい表情がどこか織部に通じるところがあるように思われませんか?」
「戸隠のようなところに住んでいると『日常親しいもの』として如意輪観音やお地蔵様がある」のだそうで、置いて使う楽しみも増すように、燭台にしたのだとか。作るにあたっては、様々な資料を集め、粘土で造りやすい形や好みの表情、作り方の模索などを繰り返してモノにしていくのだそうです。
土地柄野辺に佇む石仏を目にすることが多い
皆優し気で愛くるしい
死者を弔う目的とばかりとは言い難い
皆優し気で愛くるしい
死者を弔う目的とばかりとは言い難い
生者を見守る眼差しが見るものに向けられてもいるかのようだ
●古染付写し牛頭盃
こちらも今回新しくお目見えした酒盃です。
「あの江戸初期の日本からの発注に見事に答えた景徳鎮の陶工たちに脱帽します。作り手の意識は物にすぐに反映するから、伸びやかな解釈と物怖じのない造形は桃山の作り手を凌駕しているのかもしれません。」
元の作品はトルコあたり、紀元前4,5世紀のリュトン(角盃)にあり、羊あるいは山羊の角を用いたカップの形を金属で模して羊の頭部を付けたものがあるのだとか。昨年、牛頭天王を作っていた際、牛の頭部を何かに使えないかと思っていたところ 古染付にこのリュトンがあったそうです。
●志野鉢
「銅鑼鉢というか、胴紐を付けてあって木桶を模したものだから志野平桶ぐらいの言い方がいいでしょうか」
登り窯の焼成室で、薪の炎を常に被っている場所で温度が1300度前後に置いたのだそうです。
「志野は長時間焼成で還元というのが決まり文句になっていますが、確かに国宝の「卯の花垣」などの穴窯(大窯)で焼かれたものはそうですが 登り窯が稼働するようになってからも志野は焼かれており、短時間酸化の志野も評価は低いかもしれないが存在します」とは先生談。
「どうも目くじらたてて良い所どりばかりに走るのは好きではないし、オリジナル信仰も好きではない。様々な焼き上がりの物があっていいし、それを愉しむのが歌心というものでしょう。」
●さりげないサイズ=「粋」
前回に引き続き、今回も比較的小ぶりのお茶碗が並びます。
茶碗のサイズについては、やはり変わらず『程よいサイズ』がお好みなのだとか。
ほぼ毎日お茶を点てて頂いていると、あまり大きな茶碗は普段使わなくなるので程よいサイズや形・重さの好みが決まってくるそうで、この頃は小さめのサイズが自分の(笑)好みになっているせいだとおっしゃいます。いろいろ作ってきての「今」なので、あくまで『いま作ってみたいもの』として作っているそうです。
「何度でもお茶を点てたくなる、そのたびに茶碗を手の中で弄ぶ楽しみがあります。粋という言葉があるけれど このさりげないサイズが「粋」に近いような気がしています。」
ぜひ、実際にお手にとって確かめていただきたいです。
●これから
「一昨年あたりから神像とかキリスト像がらみの仕事を頂くことがあったので、その延長で狛犬もお地蔵さんも作ってみたのですが、これからもまだ作って行ける(やりたい)余地のあるところだと考えています。ただ、織部の面白さの基本は平向付(の意匠性)だと考えているのでそこはこれからも・・・」。
織部窯変瓶子
この1年は、幸い注文の仕事などがあって充実していたとおっしゃる先生ですが、
「個展で焼物好きの方と対面で話すことが無かったのが残念なところではありました。」
今回は2年ぶりにご在廊くださいます。ご高覧いただけますと幸いです。
◇◇◇
【織部 小山智徳展】
開催期間:2021年4月9日(金) ~ 2021年4月13日(火)
開催期間:2021年4月9日(金) ~ 2021年4月13日(火)
Exhibition of KOYAMA Tomonori
Exhibition : April 9 to April 13, 2021
Exhibition : April 9 to April 13, 2021
作家在廊予定:9日(金)~11日(日)
◆◆◆
ご入店時のお願い
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ご来苑のお客様には手指の消毒とマスクの着用、
また検温をお願いしております。
ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
※検温につきましては37.5度以上のお客様にはご入店をご遠慮戴きます。
なお、マスクをお持ちでないお客様にはマスクを差し上げております。
スタッフまでお申し付けください。
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◆◆◆
(恭)
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黒田草臣ブログ: http://01244367.at.webry.info/
しぶや黒田陶苑のホームページ: http://www.kurodatoen.co.jp/
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