伝統をくぐる

エレベーターの扉の「閉める」ボタンを押そうとすると、足早に向かってくる人が見え「開ける」ボタンを押して待った。「ありがとうございます。」と乗り込んできた女性。ホーム階に着きエレベーターを出ると、先ほどの女性がお礼を言って話し始めた。なんでも、バスが30分も遅れ、タクシーを呼ぼうとしても出払っていて、ひたすらバスを待ったのだそう。やっと駅に着いたら、乗りたかった電車には乗り遅れるし。肩から下げたバッグから絵手紙を出して見せてくれ、お仲間十人ほどと待ち合わせしているのだと。ほどなく電車がホームに入ってきて、駅員さんに改札に近い両を教えてもらったと別れたが、皆さんと無事に会えたかな・・・と気にかかっている。

『加藤高宏展』に続き、本日より『異形 唐九郎 高宏展』が始まりました。高宏先生と祖父の唐九郎先生の作品が並びます。親子展は時々耳にしますが、祖父と孫の関係というだけでも、心温まる気がします。

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唐九郎先生の作品と高宏先生の作品が仲良く会場に並びます。唐九郎先生が可愛い孫の高宏先生の作品を少し離れてご覧になっているようにも見えます。

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唐九郎先生の異形皿の数々は、そこに存在するだけで見る者に何かを訴えかけてくるような迫力に溢れています。「黙して語らず」という表現が相応しい。
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引続き、高宏先生の茶碗も展示しておりますので、是非ご覧ください。


今週の花

上の画像では床の間の花入に花がありませんが、後から今の季節にピッタリの桜を活けました。

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花器: No.45 織部伊賀花入
花: 吉野桜

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吉野桜

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ソメイヨシノは満開となっている所も多く、出勤の電車の車窓から見える並木も薄っすらとピンクがかって見えますが、こちらの吉野桜はまだ、咲き始めといったところでしょうか。白い花が楚々とした風情の桜です。
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かなりの古木でしょうか、枝に苔むした様子が見て取れます。苔が付くような堂々とした古木の桜も、このように若い枝を伸ばす様子が見ているだけで、気持ちまで元気になれそうです。


唐九郎先生は瀬戸や美濃地方の古窯を発掘調査をして志野、織部、黄瀬戸などの桃山古陶に出会い、その研究復元に努められた。そして窯を築き志野、織部に挑まれた。日本陶磁器協会の設立、文化芸術使節団の一員としてアジア、ヨーロッパを訪れ、ソ連国立東洋博物館で日本工芸美術展を開催するといった海外との文化交流にも力を尽くし、高宏先生がアジアからヨーロッパへと回られたことと唐九郎先生の足跡が重なり合う。

今回の展示のタイトルである「異形」。一見すると、奇抜で個性的な作品のようだが、それは決して突然の思いつきで制作された表層的なものではない。そこに到達されるのには、計り知れない正統な基本ともいうべき過程をこなされているからこそ生み出される作品であるはず。

唐九郎先生ご自身が

「伝統を一応くぐってこないと創作なんてできないし、伝統をくぐってくる来方によって、その人の力がはっきりする。」

「個性が出てくるのは非常に遅いもの。その人が持っているものだからなかなか出て来ない。その個性を出すための努力が、長い時間と蓄積が必要なのだ。」

と仰っていることからも、いかに先生が全身全霊を掛けて作品制作をされていたかが偲ばれる。

そうして作られた「異形」の作品。異形であっても、心が拒否するどころか沁み込んでくる。それは、俄かに出来上がった形ではなく、研究し尽くした試行錯誤の結果の体得や人生経験から生まれた優れた技と感性の結実した血の通ったものであるからなのだと思う。


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