まだ見ぬ・・・

車を運転していて、ふと車窓から目にする気に入りの景色が、また一つなくなった。あるお宅の庭に植えられていた桜の木。二階の屋根まで届くような高さの、まさに鎮座しているといった感じの木だった。毎年、この季節になると、枝一杯に花が開く様は運転席からもよく見え、気持ちまで桜色に染まるようだった。通りすがりの人も立ち止まって見上げていた。きっと、一度その木を見た人は、来年もまた見に来たいと思うに違いない、そんな木。堂々とした幹と張り出した力強い枝ぶりは、桜の花の咲きようを一層美しく見せていたのだと思う。それが、もう見られないと寂しく通り過ぎた。

本日初日を迎えた『加藤高宏展』。気持ちを元気にしてくれるようなパワーに満ちた作品が並んでいます。冬の寒さに加え、コロナ禍の自粛によって、ちじこまった身体と心を深呼吸するべく、どうぞお運びください。そして先生の作品を是非とも体感していただきたいと思います。

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ご覧の通り、店内は先生の渾身の作品で飾られ、静謐な空間にも関わらずエネルギーが発せられている様に感じられる空間となっています。

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先生の窯や窯焚きの様子のお写真をファイルにまとめておりますので、お手に取ってご覧ください。

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No.45 織部伊賀花入

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今回、床の間にお花はありません。ですが、先生の堂々とした花入れが屹立しています。エッジの効いたダイナミックなフォルムは、はるか地中の奧深くから地鳴りが聞こえてきそうな気すらしてきます。


高宏先生の作品、力がほとばしるような造形や釉調に思わず目が吸い寄せられる。と同時に、高宏先生の付けられた作品のタイトルがどれ一つをとっても心惹かれる。そして、その名を耳にしたことはあっても、ほとんど実際に見たことがないことに気付かされる。

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No.14 黒織部茶碗 銘「八咫烏」

「八咫烏」。神話に登場する勝利への導きをしたとされる太陽の化身の三本足のカラス。Jリーグのシンボルマークで目にして、名前を知ったが、もちろん見たことはない。

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No.5 志野茶碗  銘「不知火」

「不知火」。九州の有明海、八代海で夜に沖合に数多の光が浮かぶ不思議な現象というが、言葉自体が幻想的な響きをもっている。

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No.8 黄瀬戸茶碗 銘「月砂漠」

「月砂漠」。“月の砂漠をはるばると~”のフレーズが口をついて出るが、高宏先生は大学を卒業された後、中国、東欧、西欧と巡られたそう。砂漠というと中央アジアのタクラマカン砂漠が思い浮かんだ。古来シルクロードを往来した多くの隊商が命を落としたという日本がすっぽり入ってしまうほどの大きさだと言う。ウィグル語で「一度入れば二度と出られない」という意味の名前が付いた砂漠。高宏先生は、タクラマカン砂漠は観光コースにある一部をご覧になり、モロッコの砂漠を古の隊商のようにラクダに乗って通られたそう。目印の無い砂漠をどのように目的地まで移動したのでしょうとお聞きすると、星そして月、特に月の動きを目安にしたと教えて下さった。何とも悠久の時の流れを感じる。

先生のお付けになったタイトル、そしてお話のどれもが、自分の思考や経験の境界線をはるかに超えた遠く遠くの存在。作品を眺めていると見果てぬ夢を見る様な想像の旅に誘われる。


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