うしろ姿

久しぶりに文具売り場に行った。目当てのものを探していると、女の子がお母さんと手をつないでやってきた。「ないね~。ないのかな~。」としきりに女の子。とうとうお店の人を呼んで尋ねているよう。「これしかないんですか?」と、今度はお母さんの声。見れば、以前は何種類もあった学習ノート。その少ない柄の中に女の子の気に入ったものはなかったようで、入ってきた時と同じように、お母さんと手をつないで帰っていった。小学校からパソコンやタブレットを使って授業をしている話をよく聞く。そんなことも、ノートの柄が減った一因だろうか。

『作品傳百世 石黒宗麿展』が始まりました。稀少な作品も展示されていますので、是非ご覧ください。

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パネルの宗麿先生が店内を見回していらっしゃるようです。

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横から見ると展示している「彷唐三彩馬」が、まるで前を歩く仔馬を親馬が見守っているように見えます。


今週の花

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軸: 虎の圖 河上省吾箱

花器: 刷毛目桃之繪扁壷 共箱

花: 桃

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3月のお雛祭りも近いので、それにちなんで紅白の桃を活けました。桃の花というと桃色が連想されますが、白い花桃も綺麗なものです。花器に花が終わって実った桃の柄の扁壷を。


宗麿先生、「展覧会は自らの仕事を世に問うためのものであって、売る場ではない。作品に破綻があってもかまわない。」と言っていらしたそう。陶芸の道を志しても師を持たず、唐・宋時代の古陶磁の研究を積み重ね、時に現地に赴き独学で究められた。それほどの知識・実体験があろうとも、そのまま模倣をするのではなく独自の作品を生み出された。その姿勢からも、社会や人に迎合せず、自身の考えで作陶のみならず生き方を貫かれたことが窺い知れる。それは一見自由なようだが、決して生きやすい生き方ではなかったに違いない。「流れに掉さす」といったようなことを最も嫌ったはず。だからこそ、誰にも真似できない宗麿作品が生まれたのだろう。

初めに書いた文具売り場での女の子。実は、お店の人がアニメのものや、カラフルなもの、人気のあるタイプを幾種類か紹介していた。お母さんも、途中から「これにする?」と合いの手を入れていた。けれど、その女の子は断固として譲らず、その中の適当なノートで間に合わせることはしなかった。身長や顔つきから、どう見ても小学校低学年。大人の遠回しの説得に、知らず知らずに納得せざるを得ない状況になりがちな年の頃と見えた。それでも、自分の意にそぐわないものを妥協して受け入れることはせずに、今回は買わないと決めた彼女のうしろ姿が妙に立派に見えた。まるで、小さな宗麿先生のように。


(藤)


※渋谷での展示の後、京橋の『魯卿あん』に巡回いたします。

《第二会場》 京橋店『魯卿あん』
日時 2021年3月15日(月) ~ 3月27日(土) ※3月20日(土)・21日(日)定休
11:00~18:00
  

<しぶや黒田陶苑HP>https://www.kurodatoen.co.jp/

<黒田草臣ブログ>https://01244367.at.webry.info/


魯卿あん(しぶや黒田陶苑・京橋店)

104-0031 中央区京橋2-9-9 ASビルディング1

営業時間:11:0018:00

定休日:日曜日・祝日

TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704

E-Mail : info@kurodatoen.co.jp