【作品傳百世 石黒宗麿展】  ~作品紹介~

強く冷たい風が吹いても、案外、外に出て太陽の下にいると暖かく、穏やかでゆっくりした時間を過ごせます。
我が家の庭の蕗の薹も、小さな蕾から少し背を伸ばして花が咲き始めました。
先日までは、葉をかき分けて覗いてもチラホラだったクリスマスローズも急に芽吹き始めて、うつむき加減に風に揺れています。
これから、お庭が賑やかになってきそうで、愉しみで心が浮き立ちます。

さて、今週の金曜日からは【作品傳百世 石黒宗麿展】 が始まります。

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会場

モノの価値は見かけ上のものにすぎず自然に任せる生き方を説く、荘子の「万物斉同」を座右の銘とした宗麿先生。
その中の「栩々然(くぐぜん)=ひらひらと楽しく飛びまわるさま」から、『栩庵』『栩翁』『栩』『栩園書屋』などと号し、単なる模倣に終始せず、高い独自性を持ったその世界を広げられました。
春の花々の中を飛び回る、蝶のごとく、自由で伸びやか、そして堂々たる作品の数々が並ぶと、時の流れがゆったりと変化するような気さえ致します。

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1:黒華太極図説刻文壷
Vessel, Black glazed with Old Chinese poem
中国・北宋時代の哲学者、周敦頤(しゅう とんい)がに撰述した書物『太極図説』に書かれた万物生成発展の過程を書いた白文が刻まれている。

無極而為太極 太極動而生陽
動極而靜 靜而生陰 靜極復動
一動一靜 互為其根 分陰分陽 
兩儀立焉 陽變陰合 而生水 火
木 金 土 五氣順布,四時行焉
五行 一陰陽也 陰陽 一太極也
太極,本無極也 五行之生也
各一其性 無極之真 二五之精 
妙合而凝 乾道成男,坤道成女
二氣交感 化生萬物 萬物生生
而變化無窮焉 惟人也
得其秀而最靈 形既生矣
神發知矣 五性感動 而善惡分 萬事出矣
聖人定之以中正仁義 而主靜  立人極焉
故 聖人與天地合其德 日月合其明 四時合其序
鬼神合其吉凶 君子修之吉 小人悖之凶 故曰
立天之道 曰陰與陽 立地之道 曰柔與剛 立人之道
曰仁與義 又曰 原始反終 故知死生之說 大哉易也
— 太極圖說

白化粧を施したふっくらと丸みを帯びた胴に黒釉を掛け、そこに鋭いもので強く文字が刻まれている。
一文字、一文字、大小のバランスを取りながら刻まれたその勢いが、真に迫る迫力を感じる。


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2:釉描往還盆
Platter, Slip trailing
行き交う人々の声や足音、荷車を引くガタゴトと揺れの音や、地面の砂利が弾かれ鳴る音、牛の独特の香りが自然と想像できる。
器の中央に吹き墨のように霧状にフワリと掛かる緑釉が、穏やかな日々の日常をのひと場面を温かく、幸せなものに感じさせる。


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8:絵唐津平鉢
Platter, E-karatsu
藁のようなものを束ねて、筆の代わりに鉄絵を施したような、カサカサとした割れた筆先を感じる。
もしかしたら、描いた野草を束ねて描いていたら面白いな……と想像してしまう。
その割れた擦れが、かえって風に吹かれる臨場感があって、良い味わいとなっている。


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9:鉄絵小服
Chawan, Iron painting
私のような女性の手にもすっぽりと納まる小さな小服茶碗ながら、勢いある轆轤目により細かく梅皮華が出て、美しいお茶碗となっている。
小さな器体に入る、力強い鉄絵も嬉しい。
残る指痕と高台の、カリッと焼けた土色も美しい。
高台周囲は全体のバランスと高台を整えるため、大きく削られている。
小さいながらも、存在感のあるお茶碗。


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10:鵲鴣斑盌
Chawan, Partridge feather pattern
宗麿先生は黒釉に茶釉が入る、鵲鴣斑の作品を多く残されている。
筆を罰点×に描くようなシンプルな檜垣文の入れ方も、斬新かつ洗練されており、現代の生活の中に取り入れやすそうなお茶碗。
高台畳付に「栩」の印銘が入る。


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16:緑彩草花文
Chawan, Green glazed, Flower motif
赤味を帯びた土に白化粧を掛け、それを勢いよく掻き落とし、茶碗内側には摘み取ったばかりの野の花のような柄を、茶碗外側は野原にそよぐ花々が並んでいるような柄を描き出している。
見込みには青みを帯びた緑釉を掛け、斬新な技法を使い、掻き出した赤い土色をより美しく見せている。
吸い込まれるような瑞々しい美しさに溢れている。


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17:失透釉盌
Chawan, Opaque glazed
茶碗正面には鋭い刃物のようなもので刻まれたのち、その切れ目を少し押したりして凹凸を付けたような手業が施されている。
藁灰を使った釉(斑釉 ※宗麿先生はこれを失透釉と称した。)は、その切れ目のような部分に濃淡をつけて掛かり、より立体的に見せている。
やや口のすぼまった、シンプルな形により、その手業が印象的になっている。
宗麿先生らしい斬新かつモダンな作品。


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19:白濁釉水指
Water jar, Opaque glazed
たっぷりとした水指の上部と下部で釉薬を掛け分けている。
上部を上品な象牙色の藁灰釉、下部には飴色の鉄釉を施している。
釉は流れ、美しい景色と色合いをもたらす。
上部に入る貫入にも古色のような色が入り、静かな中に風情溢れる雰囲気がある。


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23 印花彩瓷碟
A set of 5 plates, Overglazed enamels
白磁の皿の中央に少し太めの平筆で一部帯状に赤絵が施されている。
その上から銀彩を壷型の判で上下交互になるように押している。
その壷の胴部分を波線や横線などを掻いて入れている。
斬新かつ、印象的で、大変珍しい作品。
箱書きを見ると九谷で作られた作品と分かる。


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24:白瓷盒子
Lidded container, Grasshopper motif
角を取った四角い盒子。
蓋の中央には草の間に隠れたバッタが掻いて描かれている。
その上から緑釉を乗せることで、その陰刻釉が溜まり、絵柄が浮き上がって見せている。
盒子の中もランダムに削り出していったような凸凹に緑釉を掛け美しく演出している。
なんとも可愛らしく大事にしたくなる。





宗麿先生の作品は、今見ても斬新。
それでいて現代の私たちにも自然と受け入れられる寛容さを感じる。
その自由さがデザイン的で、現代の生活にちょうどマッチするからだろう。
いつか自分の生活の一部にも取り入れてみたい……そんな作品の数々。
ご高覧戴ければ幸いに存じます。




(葉)


 【作品傳百世 石黒宗麿展】 
Exhibition of ISHIGURO Munemaro
開催期間:2021年2月26日(金) ~ 2021年3月9日(火)
Exhibition : February 26 to March 9, 2021
休業日:3月4日(木)・7日(日)

※第二会場 京橋店『魯卿あん』
日時 2021年3月15日(月) ~ 3月27日(土) 
※3月20日(土)・21日(日)定休  
11:00 ~ 18:00

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会場





 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

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