洗心

今、我が家の玄関には桜が咲いている。正しくは桜の咲いた枝を何本か活けている。お花見の季節に咲くソメイヨシノや八重桜のような華やかな花ではなく、枝先に小さな花をちょこんと付けているといった感じの咲き方。よく行くお花屋さんで、「よかったら持って行きません?」と、大おまけをしてくれた。両手に抱えて持ち帰ったのはいいが、さて何に活けよう。古備前の大きな甕でもあれば、ぴったりなのだろうが、あいにく我が家にはない。一番大きな花瓶でも大きな枝はバランスが悪く倒れそう。考えあぐねて、観葉植物用の大きな鉢カバーを引っ張り出し、その中に花瓶を入れたところ、なかなかいい具合に枝が収まった。桜の名は「東海桜」。飾る前に玄関を掃き水を打った。古備前にはかなわないが、結構居心地がよさそうに見える。

『コレクターのまなざし ~現代作家特集』に続き、『コレクターのまなざし 巨匠作家特集~荒川豊藏』を本日より開催しております。美濃古陶の研究を突き詰め、生涯をかけて自身の作品の美へと昇華させた荒川豊藏先生の作品の数々を是非ご覧ください。

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ショーケースの中にも酒器が展示されています。

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こちらは茶碗の並ぶケース。

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荒川豊藏先生に関連する書籍・図録等並べておりますので、どうぞ開いてご覧ください。

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愛らしい香合が並びます。


今週の花


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額:荒川豊藏 「寿」 色紙額

花器: 豊場惺也 黄瀬戸花入 共箱

花: 木瓜・雪柳

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凍てついた大地が春の熱でひび割れて木々や花々が一気に成長したかに見えます。

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古木のような木瓜の幹には苔むした様子が。

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雪柳の枝が春風に乗って遊ぶように伸びています。


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花器:粉吹風梅之繪鉢  斗繪 武夫箱

花: フキノトウ

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フキノトウの鮮やかな若緑色は春を連れてきたよう。鉢に活けました。このように器を花器として用いるのも、食器だけでなく用途が広がるのではないでしょうか。


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花器: 粉吹徳利 武夫箱

花: 貝母(バイモ)

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花はこれからですが、もうこの季節になったのだなあと実感。


先生の作品の中でも、今回特に心惹かれたのは「洗心」という44cm×31.3cmの石板のようにも見える作品。

おおらかな文字が心に巻き付いた。「洗心」読んで字のごとく、心を洗う。

と同時に、なぜか学生の頃あまりに傾心して暗唱できた中原中也の詩が浮かんだ。


汚れちまった悲しみに

今日も小雪の降りかかる

汚れちまった悲しみに

今日も風さえ吹きすぎる


汚れてしまった心を洗えたらどんなにいいだろう。悲しみだけでなく怒りや欺瞞、嫉妬そんな限りない心の垢を微塵も残さず洗い流せたら。しかし、生きている限り聖人以外、払拭するのは到底不可能なこと。コロナ禍で、物心両面でさまざまな困難や苦労が大なり小なり存在している現在だけに、心は汚れるだけでなく病んでしまいそうになるかもしれない。そんな心を少しずつでも、きれいにできたらと願う。それは誰かのせいにすることではなく、自分に問うべきことだろう。

今朝も見送ってくれた玄関の桜。心がちょっと明るくなった。そんな些細なことも、もしかしたら、心を洗う護符になるのかもしれない。


(藤)

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