【コレクターのまなざし 巨匠作家特集 ~荒川豊藏】  ~作品紹介~

先週末、一日の疲れを取るためお風呂の準備をしていたところ、大きな地震。
10年の月日が経ち、そのうえコロナ、コロナで忘れかけており、本当に不意を突いた揺れに、10年前のあの日のことが蘇り、しばらく動揺が隠せない時を過ごしました。
震源地近くにお住いの方々は、大事に至らなかったでしょうか。
地震が過ぎ去った後には、大雨、雪と、本当に厳しい数日を過ごされていらっしゃるかもしれません。
これ以上の被害が出ないよう、祈るばかりです。

さて、不安が重なりますが、今週の金曜日からは先週の「現代作家特集」をさせて戴いた【コレクターのまなざし展】に続き、【コレクターのまなざし 巨匠作家特集 ~荒川豊藏】を開催いたします。
今回も、長年愛し、慈しんでこられた愛陶家の方からお譲り戴きました荒川豊藏先生の作品を一堂に並べ、皆様のお越しをお待ちしたいと思っております。
やきものの良いところは、長く愛せること。
コレクターから、コレクターへ、その橋渡しのお手伝いが出来ることに喜びを感じます。

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会場
また、厳しく愛情をもって集めてこられた数々の逸品をご覧戴き、数多くの皆様に、素晴らしき豊藏先生の作品を知って戴けましたら幸いに存じます。
ご売約済みの作品も含みますが、いくつか作品をご紹介させて戴きます。


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1(図1):志野茶碗 (鶴)
白土で成型した後、鬼板を化粧掛けし、鶴の紋様を掻き出している。
ふっくらと丸みを持った形の中に、腰下から高台周囲にかけて、大きく箆で削られて形作られていることが分かる。
見込みには鶴の羽根のように一筋、掻きだした痕がある。
優しさと、鋭さが交わった作品。


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6(図2):瀬戸黒茶垸
豊かな量感を感じる、ふっくらと丸みを帯びた姿は、堂々としている。
大小の変化に富んだ梅皮華が出ているのも嬉しい見どころ。


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36(図5):瀬戸黒花入
砧花入の本歌といえば中国南宋時代の砧青磁だが、豊藏先生のそれは、本来の木製の砧をそのままうつされている。
豊藏先生はこのような砧型の作品を、志野、黄瀬戸などでも作られている。
釉掛けの残しの妙も、なんとも面白い作品。


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11(図6):可らつ風山乃繪茶垸

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9(図7):神山富嶽の繪茶垸

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10(図8):美濃唐津茶盌

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22(図27):可羅つ盃

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25(図26):山の繪盃
豊藏先生は、山の絵の作品を沢山残されている。
柔らかな筆の動きは、勢いとリズムを感じ、愉しそうに描かれる先生の息遣いさえも感じるよう。


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21(図23):網の繪盃
見込みには「寿」の文字。
それを優しく守るように、盃周囲には網目模様が描かれている。
少し桃色を感じる象げ色の上に、濃紺の筆が乗って、大変美しい作品。
2007-2008年 人間国宝 荒川豊藏 岐阜県立美術館他 出品作品


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20(図25):から津酒盃
月がぽっかりと浮かぶ夜空のよう。
月明りで周囲がフワリと明るく感じるような、そんな盃。
豊藏先生が志野を追いかけるきっかけとなった志野筍絵の陶片を発見した夜、多治見へ帰る道中、何度となくポケットから陶片を取り出しては、月の光にかざし見て、ひとり会心の笑みを漏らしたという。
その日、陶片の向こうに見えた月なのかもしれない。
静かに流れる時間を愉しむときに、使ってみたい……そんな盃。


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29(図13):志野香合
雪の塊を四角く切り出したような、柔らかでありながら、キリッとエッジのきいた香合となっている。
梅皮華の入り方も大きく、おおらか。
木漏れ日から陽が落ちたような緋色も美しい。


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43(図14):双鶴図八寸
若かりし頃は、画家を志していらしたという豊藏先生。
時間あれば絵筆をとり、出かける時も、写生帖を忘れることはなかったという。
本作品は動きのある大きな板皿に、ごく自然に水辺で過ごす鶴が描かれている。
澄んだ空気、そよぐ風と動く水草、水の冷たさ、鶴が水をつつく音や羽音までも感じ取れそう。


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35:大萱窯 美かん香合
可愛らしいみかん型の香合。何とも微笑ましい姿。


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31:志野香合
小さなお目目に、小さなハサミ……今にもプクプクと泡を噴き出しそうな、小さなカニの香合。


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47:水月窯 紅白梅四方平鉢 
今の季節に相応しい、梅の花が咲き乱れた角鉢。
華やかでありながら、上品な品を保っている。


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23:寿盃 / 66:粉吹徳利(豊藏 絵)
サラリと描き上げた野の花が丸い徳利と溶け合います。
盃の見込みには「寿」の文字。


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63:染付茄子ノ繪鉢 惺也造(豊藏 絵)
乾山の書にある茄子の歌。
奈連 な奈(な)す比(ひ)
な連へ 茄子なれ
なす比(ひ)
奈らねは 棚能(の)
おし繪 登(と)もなれ

茄子の絵が描かれた徳利があったり、同じ歌と茄子の絵が描かれた棗があったり、かなり思入れが深いしなのかもしれない。
歌は乾山が書いた歌のひとつ。
器体は惺也造。絵は豊藏先生が描かれたもの。


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49(図19):無田陶人 作品集
表紙、背表紙も、やきもので出来た作品集。
内容もさることながら、ずっしりと貴重な作品集である。









豊藏先生の力強い土のエネルギーを感じていると、不思議と安心出来、心が落ち着いてきます。
図録掲載外のも沢山の追加作品がございます。
心配に心配が重なる日々ですが、少しの間でも心の平安を感じた戴ければ幸いです。





(葉)




 【コレクターのまなざし 巨匠作家特集 ~荒川豊藏】  
Collector’s Eye Exhibition of ARAKAWA Toyozo
開催期間:2021年2月19日(金) ~ 2021年2月23日(火)
Exhibition : February 19 to February 23, 2021

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68:水月窯 唐津風酒盃 / 27:豊場惺也 染附酒盃(斗書) /  52:黄瀬戸徳利





 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
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