ちから
ふと目線の先に留まったオレンジ色。何だろう?床に張り付いて動かない。気になりながら、ソーシャルディスタンスを保った自分の順番になってレジを済ませた。正体は透明の袋に入ったニンジン。3本入りだっだが、「いっぽんでもニンジン~」のフレーズが浮かんだ。お店の人に伝えようと思ったら、親切なおじさんが「ニンジンが落ちてるよ~!」と一声。すぐさま、女性スタッフに拾い上げられた。あのニンジンを買われた人が取りに来たかな…と、ちょっぴり気になっている。
そして、気になると言えば、本日初日を迎えた『梶原靖元展』。これまで見慣れた先生の作品とは、かなりかけ離れた作品の数々が店内に所狭しと並んでいます。当の梶原先生と言うと、いつものように変わりなく、あくまでも自然体でいらっしゃいます。どうぞ、先生の作品をご覧になって変化をお感じいただきたいと思います。
今回、梶原先生が描かれた絵も店内に展示しておりますので、こちらも是非ご注目ください。
今週の花
軸: 富本憲吉
花器: 富本憲吉 土焼扁壷
花: 雛侘助
雛と名の付いた侘助。心持ち花が小ぶりで花弁も柔らかな感じがします。
今週は3ヶ所に活けております。
143. 粉青沙器花入
花:水仙
寒さの中ですくっと立つように咲く様は、凛々しいもの。
141. 粉青沙器花入
花: エンドウ
こちらも春に先駆けて咲く花。ツルがどこに伸びようかと迷っているような様子が愛らしい。
梶原先生、轆轤による端正な作品ではなく、あえて手捻りでお作りになった。昨年対面した狛犬。今年はグッとお仲間が増えて、動物と見分けられるものから、デフォルメされて新種の生物と見紛うようなものまで賑やか。
そして、土偶。縄文時代に作られて、女性をかたどったものや動物のもの。生産、豊作を願ったのでは…などと言われているが、宇宙人のような形状のものもあり、想像は限りなく広がる。
偶像崇拝の象徴なのか呪術に使われたものか分からないが、それらから感じるのは、焼成や技術的な限界を感じさせない無垢な美。作り込んだり、これ見よがしな創意の一片も見当たらない。称賛を期待せず、創造の要諦とも言える「作りたいものを作る」という行為。そこからは言いようのない潔さや無邪気さ、強さを帯びた地熱のようなエネルギーが伝わってくる。
ブランド名や名だたる名前を聞いて、立派なものだと思うのは当然で致し方ないこと。だが、名も知らぬ、また名を残そうなどとは微塵も考えなかったに違いない人々が作ったそれらには、名のあるものに太刀打ちできない底知れぬ力が宿っている。
梶原先生の手捻りの生き物たちからも、その小さな体躯から限りないパワーの波動を発しているように思えてくる。
(藤)
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