双頭ノ酒器展  作品紹介

つい先日まで、閉店後のゴミ捨てまで明るかった日の入りの自刻が、どんどん早くなって18時を過ぎた頃にはすっかり暗くなるようになってきました。
日の入りを跨ぐと、日中の酷暑とは変わって、風が出て過ごしやすくなってきます。夜、家路につく頃には、耳を澄ますと鈴虫の音色も聞こえてきます。

すぐそこに秋が来ていますね

このような気候になってくると、暑さを吹き飛ばすように豪快に呑んでいたビールとは打って変わって、秋風に乗ってくる草木の香りや、虫の声を感じながら静かにお酒を愉しみたくなるものです。

今週の金曜日からは、そんな季節に合わせ恒例となっております『双頭ノ酒器展』が始まります。
物故、巨匠、現代作家まで、様々な酒器作品が会場に並びます。

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今夜から明日の明朝にかけては満月が見えるそうです。
ちょっと天候が不安定な地域もあるようですが、そんな満月を眺めて今秋の月夜を共にする酒器はどんなものにするか頭を巡らせて戴ける内容になれば幸いです。

では、一部にはなりますが作品をご紹介させて戴きます。
尚、一部図録に掲載しておりました作品につきましては売約済みのものの御座います。
予めご了承下さいませ。



【物故・巨匠作家】

◆金重陶陽◆
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2:備前徳利

全体にカサカサと乾いたような徳利。
その前後には砂漠の中にフッと現れたオアシスのように愁いを帯びた緋色の抜け。
お酒を注いだ後に口元に残った湿り気を少しずつ馴染ませていけば、より一層の風情が出てくるだろう。
その細やかな変化を感じ愉しむのも、時間の経過を贅沢に過ごすひと時となるだろう。
畳付には「ト」のサイン。


◆金重道明◆
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5:伊部瓢徳利

ひょうげた形の徳利は、どこか酔いが回って踊り出したひょとこのような腰つき。
肩の力が抜けたようになだらかな肩に、小首を傾げたような様が何とも人間臭く、愛おしさを感じる。


◆辻清明◆
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7:唐津盃

無類の酒好きだった清明先生。
古唐津への強い憧れを持って作陶に挑んでいた。
本作品は、ほんのりと厚みを残し波打つ口造りや、轆轤目の動きが面白い。
薔薇のような鉄絵が大胆に入り、愉しませてくれる。


◆西岡小十◆
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13:絵唐津ぐい呑

風情溢れる野の花が描かれたぐい呑。
夜風に当たりながら使ってみたい。




【現代作家】

◆田中佐次郎◆
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12:黄檗山盃 / 5:ルリ天目盃

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6:澄月盃 / 13:黄檗山盃

黄檗山は透き通るような青みが出ているものと、ベリー色が滲み出たようなものがある。


◆金重愫◆
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1(図16):備前徳利

秋に向けて赤茶色のショールを肩にかけたような徳利。
カセた部分や、黄色っぽく変色した部分など変化に富んで面白い。


◆金重有邦◆
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2(図18):伊部徳利

たっぷりとしたボディーに続く、細い首と小さな口造り。
ひとつとして同じものは無いけれど、どこか有邦先生独特の量感や、形のバランスを感じる。
細かな粒子の滑らかな土には、緋色の抜けが入って美しい。
その上に、血管のような筋が見えるのも面白い。
やきものは生きていると言ううけれど、本当に温かな血が通っているような雰囲気。
傾けると、お酒を注ぐ時のトク…トク…トク…が聞こえてきそう。


◆隠﨑隆一◆
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1(図20):備前混淆徳利

大きな混淆土の塊を、勢いよく削ぎ落した鋭い形。
その断面は、様々な角度を持って変化を持ち、微妙な陰影を持つ。
削ったときに描いた粒子の動きの線が残ってより一層、勢いと変化を感じ愉しませてくれる。
灰が被った静かな部分とは対照的な赤黒い隈取も印象的。

※混淆土(こんこうど)とは
備前で用いられる田土を採る際に捨てられる田土の上層にあるクズ土を8種類混ぜ寄せ集めた隠﨑先生オリジナルの土。
玉石混淆という意味から“混淆土”と名付けた。粘りある田土を繋ぎとして用いている。
焼成すると大理石に似たマーブル状の模様を見せるものもある。


◆丸田宗彦◆
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4(図23):絵唐津ぐい呑

抽象的に筆を走らせたようですが、眺めていたら「咲」という字にも見えてきました。


◆浜本洋好◆
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2:斑唐津ぐい呑

浜本先生独特の、柔らかな斑釉がたっぷりと掛かる。
本作品は、土の中の鉄分の多い粒子が流れ、ちょっとした景色を作っている。


◆梶原靖元◆
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8:白瓷雨漏筒

梶原先生の作品はじっくり、じっくり、眺めて、掌で転がすと、じんわり、じんわり、良さが滲み出てくるように伝わってくる。
こちらも良く見ると細やかな変化が愉しめます。
また、ここにお使い戴くたびに少しずつ生まれる変化が加わると、より一層の深みが出てくるだろう。


◆金重巖◆
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2:伊部徳利 / 4:唐津風酒呑

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3:伊部徳利 / 6:唐津風酒呑

実に自然体の徳利とぐい呑。
ささくれた時も丸い気持ちに変えてくれそう。


◆菊池克◆
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7:餅型文盃

何だか可愛らしいボディーと、色と、柄いきです。


◆高力芳照◆
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2(図40):備前徳利

洋ナシ形に引き上げられた形には全体に細かなカセが出ている。
正面ボディーには大胆なほどに赤い緋色の抜けが入る。
眺めていたら大きな天狗の鼻が突き出ているように見えてきた。


◆矢野直人◆
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7:唐津ぐい呑

乳白色となって流れた灰釉が良い雰囲気のぐい呑。


◆鈴木都◆
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ss8:長湫唐津ぐい呑

深い色合いは青のような……緑がかっているような……青碧色。
見込の中は夜空に星が瞬くようにも見える。




気候も、様々な情勢も目まぐるしい変化を見せる今日この頃。
お気に入りの酒器を片手に、どこか自分を取り戻す時間が作れると良いかもしれません。
気になる作品などございましたら、お気軽にお問合せ下さいませ。



(葉)




 【双頭ノ酒器展】  
Exhibition of Bizen Tokuri & Karatsu Guinomi
開催期間:2020年9月4日(金) ~ 2020年9月8日(火)
Exhibition : September 4 to September 8, 2020

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出品予定作家(五十音順・敬称略)

〈巨匠作家〉
金重陶陽・金重素山・加藤土師萌・小山冨士夫・辻清明 他

〈現代作家〉
隠﨑隆一・梶原靖元・金重巖・金重愫・金重有邦・菊池克・鈴木都・高力芳照・田中佐次郎・浜本洋好・丸田宗彦・矢野直人






 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
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