【コレクターのまなざし ー柴山勝特集ー】 作品紹介

長い、長い梅雨の、どんよりと低い空……。
雨と雨の合間には、どこからともなく蝉が鳴き出すようになってきました。
気付けば、夜明けに孵化したのでしょうか……夏の訪れを知らせるかのように、我が家の門扉横にもセミの抜け殻が残っていました。


さて、今週の金曜日からは【コレクターのまなざし ー柴山勝特集ー】と題し、コレクターの方のご厚意により集まった、北海道の柴山勝先生の旧作約40点程の展示会を開催する運びとなりました。

当苑にお世話になってから数年、作陶後には特に、精魂尽き果てるのか体調が優れないことが多くなり、私も先生にお会いしたことはありませんが、その作品を見ていれば、子供の様な純粋さで対象物にのめり込み、作品に描かれていったであろう先生の作品に対する際のエネルギーと集中力の強さが伝わってきます。
先生の奥様がご健在の頃は、お二人で力を合わせ、仲良く色付けの作業をされていたそう。

今回、会場に並ぶ作品は、その頃の作品でしょうか。
昨今の作品とはまた違った、若さ溢れる勢いさえも感じます。
それでは、会場に並ぶ作品の中から、いくつかご紹介させて戴きます。


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18:色絵飾箱 「つり人われの図」
飾り箱の蓋にはリンドウの花の蕾越しに、嬉しそうに釣りに興じる人物。
お題名を見て、それが先生ご自身だと分かり、何だかお会いしたような気分になって嬉しくなった。
蓋を取ると、先生ご自身の眼で川の中を覗いたかのような、お魚の絵。


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23:小鉢 六 「秋あじ川にもどる」
秋味とは、秋、産卵のために川をのぼる鮭の異名。
生みつけられた卵、腹に「さいのう」と言う栄養の詰まった袋を付けて泳ぐ稚魚、少し大きく成長した姿、海で過ごす時、また川に戻り産卵場所を探す姿……そして、その付近の風景がセットになった小鉢。
何ともドラマチックな作品。

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ゴッコ(ホテイウオ)
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イシダイ
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サヨリ
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ウスメバル
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ウマズラハギ
30:色絵向付 五 「魚」
 こちらは先生が釣ったお魚でしょうか。
海に住む様々なお魚が生き生きと描かれています。

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15:色絵銀彩花入 「かげのさやけさの図」
北海道の森林の中でしょうか。
雪が降り積もった部分が銀彩で塗られ、そこに影が落ちています。
雪が降った後の、シン……とした独特の空気感が伝わってくるようです。

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22:染付魚文蓋物
蓋付の染付の向付には、立体的に膨らんだ魚が元気よく泳ぎます。
蓋の裏側にも潜んでいて、先生の遊び心が詰まっています。

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29:色絵向付 五 「スケートの図」
湖に貼った氷のスケートリンク。
周囲を森林や山に囲まれていて、優雅で伸びやかな雰囲気が伝わってきます。
四角い板が重なり合ってずらしたような、手の込んだ高台も素敵です。

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12:色絵長方皿 「函館山を望む図」
こちらは陶器を見るというより、一枚の絵画を見ているかのような大作。
チラチラと動く波の動き、漂う空気感、街の灯、静かに輝く月。
絵本の挿絵のようにさえ見えてきて、本当に美しい一枚です。

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14:染付みみいか大鉢
ミッキーマウスのような耳が付いたイカが存在するとは、こちらの作品を見るまで知りませんでした。
イカとお魚が気持ちよさそうに大鉢の中を泳ぎます。

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9:染付汲出碗 六
こちらはうって変わって、シンプルな染付の汲出し。
小さな小花が細かく描かれています。
器の外側は、刷毛でサッと塗ったような染付が入り、水の波紋のように見え、お花が水に浮かんでいるようにも見えてきます。

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21:小壷 「こ保理文」
「こ保理」と書いて 氷。
先生独特の氷の表現である幾何柄の間からは、その氷の隙間から覗いたようなお魚たちが泳いでいます。

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8:鉢 「なまずとこどもの図」
伸びやかに泳ぐナマズの子が描かれた器の外側には、水草とアメンボ。
ツイツイと水の上をすべるアメンボが、私の中ではチャームポイントです。

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25:ふた付 ひれ酒呑
何ともチャーミングな器は酒呑でした。
蓋の持ち手は立体的なお魚。
描かれたお魚も、こちらを見ていますよ。
正面を向いたお魚を描くなんて、何とも先生らしい作品です。

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20:色絵銀彩酒呑 「由幾のかげ乃図」
17:色絵銀彩とくり 「魚衣以の図」
こちらも銀彩を用いた作品。
徳利のお題名を見ると「魚衣似の図」。
魚衣似  ぎょえい  魚影。
よく見るとお魚の間の銀彩に細かな横筋が入り、魚の影になっているのが分かります。

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34:色絵酒呑
24:片口 「つばめ」
可愛らしい燕が飛ぶ片口と、木賊が描かれた酒呑。
どちらも燕や、木賊の周りに漂う靄が立体的に作られています。

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37:色絵染付箸置 「荒巻じゃけ」
昔は年末になると大きな新巻鮭が送られてきたっけ……
お腹の部分の身を切り落とされた新巻鮭の箸置き。
幾つかは口が少しだけ開いて、本当にリアル。

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1:デミタスコーヒーカップ 五
こちらは馬が描かれた長閑な風景のデミタスカップのセット。
桜と燕の間で草を食む馬。のんびりする馬。
菖蒲の間で戯れる馬。走る馬。
風に揺れるススキの間で風の薫りを愉しむ馬。
少しずつカップの形も違ったり、それぞれ描く馬たちの表情も違って、素敵な空気感。

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19:色絵盒子 「多宇衣の図」
「多宇衣の図」と書いて 田植え。
蓋上には田植えしたばかりの稲が並び、盒子周囲は刈り取った稲と雀たちが描かれています。
小さな中にドラマが詰まった、可愛らしい盒子です。

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32:色絵あわび中皿 五
魯山人先生に憧れた柴山先生。
魯山人先生も好んで作られた鮑の染付を、先生はまたお得意の蟹の絵を描いて表現しています。
微妙な色使いや配置に至るまで、柴山先生らしい表現となって愉しませてくれます。





作品のお題名の中にも使われている漢字は変体仮名。
いつぞやか、先生は文字には一つひとつ意味がある。その一つひとつも大事な事なんだよ。と仰っていました。
文字一つ取っても、作品ひとつ取っても、細やかに全てを大切に愛情を持っているのが分かります。

夏ももうすぐそこ。
先生のいらっしゃる北海道は、この夏も涼やかなのでしょうか。
GoTo~と言うキャンペーンもありますが、まずは、これからやってくる真夏の暑さを、先生の作品を手に取って、気分だけでも北海道に飛ばして愉しんでみるのもいいかもしれません。





(葉)



 【コレクターのまなざし ー柴山勝特集ー】 
Collector’s Eye Exhibition of Shibayama Masaru
開催期間:2020年7月31日(金)〜8月8日(土) ※8月6日(木)定休
Exhibition : July 31 to August 8, 2020
11:00~19:00

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会場

柴山勝
Shibayama Masaru

1944年 東京都生
1969年 絵と陶芸、古美術を学ぶ(~74年)
1975年 北海道伊達市にて築窯
1987年 当苑にて個展
1992年 京都書院「陶・柴山勝」出版
     亀田郡戸井町に移転


新型コロナウィルス感染拡大防止の為、本展では案内状掲載外にも追加作品をホームページ上でご紹介する予定です。

※追加作品の掲載は7月31日(金)12時より公開致します。
※写真掲載外にも多数出品作品がございます。
*今回の展示より、展示会初日は金曜日に戻ります。ご注意くださいませ。
*今後の政府・東京都の政策方針により変更になることがございます。

*More works will be available from 12:00 on July 31rd.
*Please note Friday is the first day of this exhibition.
*The schedule is subject to change depending on the policy of Japan government.








 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
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