【北欧モダニズムの器たち ベルント・フリーベリとオレフォス・ガラス】作品紹介

緊急事態宣言が解除され、早一か月以上が経ちました。
今では“新しい生活様式”の実践などが呼び掛けられています。
お店に向かう通勤の電車内の客数なども、以前に比べると宣言が解除されたとはいえ、若干少ないでしょうか。
リモートワークなども含め、お家で過ごす時間が増えた事から、自身の生活の場を見直し潤すため、戸建ての物件を探されている方が増えている……なんて話も耳にしました。

当苑でも皆様にご提案します作品は、「用の美」だけでない心を満たし潤うものであればと思っております。

さて、今週の金曜日からは、ギャラリー北欧器さん共催のもと【北欧モダニズムの器たち ベルント・フリーベリとオレフォス・ガラス】の作品を集結させた展示会を開催いたします。
ギャラリー北欧器さんとの共催は『北欧モダニズムと出会う』をテーマとした2016年の第1回目、『北欧モダニズムと遊ぶ』をテーマとした2018年の第2回目を経て、今回が3回目。

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寒い冬の時期が長く、昼間も空は厚い雲に覆われることの多い北欧。
お部屋の中で過ごすことが多く、生活の中に潤いを与えるような観賞のための工芸品が多く取り入れられています。
何となくイメージで言うと、壁一面の大きな本棚。
全てを本で埋めるのではなく、所々に開けたスペースに美しい色合いの器やガラス製品やオブジェなどが並ぶ感じでしょうか。

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今では、そんな北欧のインテリアを取り入れるスタイルが日本にも浸透し、抵抗なく生活の中に取り入れられるのではないでしょうか。

今回はフリーべりの陶器だけでなく、スウェーデンのオレフォス社で活躍されたガラス作家たちのアートガラスの作品を加えて展示します。
どこか、穏やかで、落ち着く雰囲気の作品の数々を、どうぞお楽しみくださいませ。

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では、沢山の作品の中からいくつかピックアップしてご紹介させていただきます。




【Berndt Friberg (ベルント・フリーベリ) 】

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154:花器 1959年制作

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155:花器 1962年制作
上にご紹介した2点は、林檎を思わせるような肩の張りと、キュッとすぼまった小さな底辺、そして細く小さな口が美しい形。
この均整の取れた形に小さな口のタイプは現在なかなか良品が手に入らな貴重な物。
同じ様な形は色々あるものの、確かに他の作品と比べて見ても口造りの繊細さも格段に違います。

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40:鉢 1963年制作
見込には市松模様のような柄が浮かびあがります。
これはマスキングテープを使って釉を重ねた技法で作られた柄なのだそう。
外側は口縁から下を茶色に変化させています。
旅茶碗くらいの大きさでしょうか。

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77:鉢 1967年制作
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73:鉢 1967年制作
上にご紹介した2作品は、お茶碗に見立てることが出来るのではないでしょうか。
釉の重なりによる禾目(のぎめ)も美しく表れています。

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47:鉢 1965年制作
ちょっと変わった釉の重なりの見え方の鉢。
茶色と薄いブルーグレーの重なりが何とも言えず不思議ですが、とても美しい鉢です。

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68:小鉢 1972年制作
こちらも、とても珍しいタイプの物。
フリーベリの晩年の頃に作られたもので、釉の上から透明釉を掛けて窯変させています。
コバルトや紫色が鮮やかな作品です。

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65:小鉢 1968年制作
こちらは盃に見立てて選んでみました。
深い焦げ茶色のボディーに口や涼やかなブルー。
馬上盃とまではいきませんが、少し高台が高くなっています。

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69:小鉢 1974年制作
こちらは薄いミントブルーのような色合いに禾目(のぎめ)が浮かびます。

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159:花器 1964年制作
またまた珍しい作品をご紹介。
こちらは作品の表面に均等に削りを入れてから釉掛けしているのでしょうか。
微かなデコボコに釉が濃淡をつけて流れ、不思議な柄が浮かび上がっています。

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126:花器 1962年制作
こちらは美しいグラデーションの花器。
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136:ミニチュア花器 1963年制作
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137:ミニチュア花器 1960年代制作
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20:ミニチュア花器 1960年代制作
こちらはミニチュアを並べた会場から、数点選んでのご紹介です。
通常の作品と寸分も違わぬクオリティーの仕上がりは驚くべきもの。
その卓越された技術はスウェーデン国王の目にも留まり、特に指先に乗るほどの小さな陶磁器は「器の宝石」と称されたと言われています。

【ガラス】

【Edward Hald(エドワルド・ハルド)】
グラール技法を開発した巨匠。
グラール技法とは、グラールという言葉はボウルや大皿を意味する、中世ラテン語から来ておりますが、伝説によれば「グラール」とはキリストが磔刑に処されたときに、その血を集めた壺であり、聖杯という意味があるそう。
色ガラスを一層または数層にわたって、梨型のガラス塊に被せかけて、冷やした後、カットなどの装飾を施し、その後再加熱して成形する技法。
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25:Edward Hald 花器 1939年制作
こちらは上記で説明しましたグラール技法とアリエル技法という技を組み合わせたもの。
また、この作品はグレゴリオ・ポールが50歳のバースデーのプレゼントとして贈られたもの。

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38:Edward Hald 鉢 1944年制作
こちらはグラール技法を使った鉢。
凍らせた果物などを盛り付けても、これからの季節にはいいかもしれません。

【Edvin Öhrström (エドヴィン・エールシュトレム)】
アリエルを作るためにオレフォス社に入ったような人。
アリエル技法とは、オレフォス社で1930年代に発明されたもの。不思議な水泡の絵柄。
アリエル技法の名前は、シェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場する、不死の空気の精霊の名から名づけられたそうで、その名の通りガラスの気泡で思い通りの絵柄を作り、その上からさらにガラスで巻き取って、一つの鑑賞用オブジェを完成させています。
そのためグラスは大変分厚く、鉄アレイのような強烈な重さがあります。

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29:Edvin Öhrström 花器 1950年代制作
女性の裏側には鳥が羽ばたきます。
分厚い硝子の層の中には、空気の泡が入り、何とも言えない不思議な世界です。

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27:Edvin Öhrström 花器 1955年制作
こちらは水が伝い流れるような美しい図柄。

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35:Edvin Öhrström 鉢 1950年制作
こちらも波のような柄が浮かび上がります。
底に掛けてオレンジ色のグラデーションになっているのも綺麗。


【Sven Palmquvist(スヴェン・パルムクヴィスト)】
1928年に入社後、1971年までOreffors(オレフォス)工房に在籍しておりまして、初期から後期までの、まさに黄金期を支えた唯一のキャリアの持ち主です。

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28:Sven Palmqvist 花器 1960年制作
こちらはクラーカ技法を使った作品。
クラーカ技法とは、ヴァイキングの物語サガに登場する、金髪の美女の名前から名付けられた名前の技法。1944年に開発された、小さな気泡が編み目模様の先端一つ一つに閉じ込められている不思議な技法です。


【Ingeborg Lundin(インゲボルグ・ルンディン)】
紅一点の女性作家だった。

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24:Ingeborg Lundin 花器 1969年制作
こちらは幾何柄を施したアリエル技法。
シンプルですが、素敵な落ち着きがあります。






前回までのフリーベリだけを集めただけとは違った、雰囲気を愉しんで戴けます。
大きなものから、小さなものまで、手に取って戴くと、皆様のお住まいに寄り添う作品が見つかるのではないでしょうか。
共催のギャラリー北欧器さんは、「小さな花器を窓辺に置いて、一輪のお花を楽しんでもらうのもいいですね……」と静かに仰っていました。
はっきりとしないお天気の中、色とりどりの作品をご覧になって、少し晴れやかな気分になって戴ければと思います。









共催
ギャラリー北欧器
http://hokuouki.com/index.html




(葉)



 【北欧モダニズムの器たち ベルント・フリーベリとオレフォス・ガラス】 
Exhibition of Berndt Friberg and Orrefors Glass
開催期間:2020年7月17日(金) ~ 2020年7月28日(火)
休業日:23日(木)
Exhibition : July 17 to July 28, 2020
11:00~19:00

Berndt Friberg
ベルント・フリーベリ

1899 スウェーデン ホガナス生まれ。
1912 13才で作陶助手として働き始める。
1934まで 轆轤職人として下積み時代を過ごす。
1934 グスタフスベリ製陶所に籍を置く。
   巨匠ウィルヘルム・コーゲ氏に師事。
1941 独立





新型コロナウィルス感染拡大防止の為、本展では案内状掲載外にも追加作品をホームページ上でご紹介する予定です。
※追加作品の掲載は7月17日(金)11時より公開致します。
※写真掲載外にも多数出品がございます。
*展示会初日は金曜日となります。ご注意くださいませ。
*今後の政府・東京都の政策方針により変更になることがございます。
*Works will be added to online exhibition page at 11:00 on July 17.
*Please note Friday is the first day of this exhibition.
*The schedule is subject to change depending on the policy of Japan government.


1950年代を中心に活躍した、スウェーデンを代表する陶芸家「ベルント・フリーベリ(Berndt Friberg)」。
その轆轤の高い技術力と、多彩な釉調から生まれる彼の作品はシンプルでありながらも驚くほどに幅広いバリエーションを残しています。
薄く軽やかな素地から生まれるフォルムは、大作でも、得意とするミニチュアでも、その優美な柔らかさを変えず、釉薬も色彩の幅だけではない、複雑なグラデーションと景色を作り出しています。
今回は同じくスウェーデンを代表するガラス工房「オレフォス(Orrefors)」の作品もご紹介致します。1726年に創業したオレフォスは1930年代以降、画家や彫刻家をデザイナーとして起用することで、実用品を作るガラス工房から独創的な造形と、革新的な技法により、北欧モダニズムデザインを体現するようなアートガラス作品を次々に発表してきました。今回は「エドヴィン・エールシュトレム(Edvin Öhrström)」や「エドワルド・ハルド(Edward Hald)」、そして「インゲボルグ・ルンディン(Ingeborg Lundin)」、といった黄金期のオレフォス工房を支えた作家の逸品を展示致します。
シンプルさだけではない、北欧モダニズムの器の奥深さを感じて戴けましたら幸いに存じます。

Berndt Friberg, a succeeded Swedish potter around 1950, produced various pottery works with his outstanding hand-wheeling skill and wide range of glazes.
Not only miniature works have precisely thinned airy forms that give soft and feminine impressions, but also seen in large-sized works.
His glazes give the works various color ranges as well as complex gradations, which create adorable characteristics to the scenery.
In this exhibition glass works by Orrefors, Sweden, will be exhibited as well. Orrefors, established in 1726 as a glass factory for every-day use, started to collaborate with painters and sculptors from 1930 to create unique artful designs that would become representative of Scandinavian design modernism movement with spontaneous technique.
We would like to present the works of Edvin Öhrström, Edward Hald, and Ingeborg Lundin that are the leading designers of a golden age of Orrefors.




 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日
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