雨上がりの緑   織部 小山智徳展 作品紹介

昨日からの重くシットリとした空気と夜の大雨から一転、強い陽射しに照らされて緑の香りが立ち、夏が近づいてきていることを感じます。

さて、例年はまだ肌寒い日が残る4月の頭頃に展示会をお願いしております『小山智徳展』
予定をずらし、明日8日(月)から、やっと皆様にご覧戴けることとなりました。
毎年先生の作品を見ると、春初めの命の誕生と、先生が作られる可愛らしい細工物や絵付けの賑やかな雰囲気が重なって微笑ましく感じますが、今年は樹々の緑も生き生きと深まってきた頃。また例年と違い、今年は先生の作品の緑も深く潤いあふれて見えてきます。
季節を変えて手に取ると、いつもと違った魅力を感じることができ面白く感じます。

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会場

少し停滞している心の中に、潤いと清々しい風が吹き抜ければ幸いです。

この様な状況の中、また手の込んだ作品を沢山ご用意戴きました。
その中からいくつか作品をご紹介いたします。
※DM掲載作品には、一部ご売約済みのものがございます。予めご了承ください。

尚、『小山智徳展』でも会期中、DM掲載以外の作品を含めてすべての作品【オンライン展示】をご覧戴けます。
併せてお愉しみ下さいませ。



【細工物】

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1:青織部鵂燭台
Candlestand, Ao-oribe, Owl shaped
幸せの象徴のようなフクロウの燭台。
空気を含んだような、柔らかな羽の膨らみさえも感じます。
お腹に収まっているネズミさんも愛嬌があるので、注目です。

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28:青織部誕生佛香炉
Incense burner, Ao-oribe, Birth of Buddha finial
天を指さす小さな大仏。
ふっくらとしたお腹など、どこか汚れのない子供のよう。
高台の脚も可愛らしい獅子が口を開け三方を守っています。
この恐ろしいウィルスからも守ってくれそうな気がしてきます。

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2・3:青織部獅子鈕香炉
Incense burner, Ao-oribe, Lion finial
こちらはそれぞれの口元を阿吽の形にした獅子の香炉。
口を開けた阿形(あぎょう)、口を閉じた吽形(んぎょう)。
狛犬の起源は古代インドと言われており、守護獣として仏様の両脇にライオンの像を置いたのが始まりとされるそう。
こちらの可愛らしい獅子も手元に置いて、我々を守ってもらいたいものです。

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37:弥七田織部蟹香合
Incense container, Yashichida-oribe, Crab finial
こちらは掌に収まる蟹の香合。
裏を返すと小さな足が細かくお腹に向かって作られているのが分かります。

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14:織部鰻陶硯
Inkstone, Oribe, Eel shaped
こちらはウナギの硯なのだとか。
尾びれの部分の瓢箪の部分に水を入れると、硯の右脇に小さく開く穴から出てくる仕組みになっています。


【酒器】

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54:伊賀風盃 Sake cup, Iga style  
45:鳴海織部さけのみ Sake cup, Narumi-oribe
40:灰被り志野徳利 Sake flask, Ashy-shino
灰が被った志野徳利には菖蒲のような絵柄が入って穏やかな雰囲気。
徳利の口には淡い若菜色が見え、大変綺麗です。
複雑な表情を見せる伊賀風の盃も、先生らしい細かな筆が入った酒器も使う愉しみが詰まっています。

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55:赤織部七角さけのみ Sake cup, Aka-oribe Heptagonal
41:織部小徳利 Small sake flask, Oribe
小さな萌葱色(もえぎいろ)の徳利と、優し気な赤織部の酒器。

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56:赤織部七角さけのみ Sake cup, Aka-oribe Heptagonal 
58:織部黒七角さけのみSake cup, Oribe-kuro Heptagonal
34:青織部小銚子 Sake decanter, Ao-oribe
巧みな技で作られた多角形の銚子は、蓋の持ち手が可愛らしいドングリのような木の実になっています。
蓋裏にも格子柄、銚子の中にも飛び立つ小鳥が描かれて、大変手の込んだ作品となっています。
赤織部には五線譜に音符が描かれ手に取るのが愉しみな酒器の一つになりそうです。


【食器】
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48:古染付写し向付揃 六
A set of 6 dishes, Old Sometsuke work motif
小山先生ならではの向付。
古染付の写しを織部釉を中心に使うことで、温かみのある優しい雰囲気になっています。
こちらにも風と共に悪いものを吹き飛ばしてくれそうな獅子と、安心して横になる馬などが描かれています。

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13:織部平向付揃 五
A set of 5 dishes, Oribe
こちらも小山先生お得意の向付。
美しい織部釉の間には、瑞々しく柔らかな蕪や、飛び交う小鳥の間で談笑するお髭のお爺さんと若者が描かれています。
今の時期だからこそ、なぜか“ソーシャルディスタンス”を保って話しているように見えるのは私だけでしょうか。

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49:赤織部舟型向付 五
A set of 5 dishes, Aka-oribe, Ship shaped
淡い生成り色の土と、白茶色の土を練りこんだ舟形の向付は外周に波模様が描かれ、見込みには水に浮かび流れるように葉っぱが描かれています。

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50:織部豆皿揃 六
A set of 6 tiny plates, Oribe
小さな掌サイズの豆皿も、形、柄、それぞれ魅力的です。


【茶道具】

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23:織部窯変兎足水指
Water jar, Oribe-yohen, with legs of Rabit
苔むした庭先で、玉を転がす猫が一匹遊んでいるような持ち手の水指。
首に結んだリボンの後ろ姿も文句なしの可愛らしさ。
静かなお茶室に弾むような笑顔が花咲きそうです。

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7:黄瀬戸織部茶碗
Tea bowl, Kiseto-oribe
練りこみの土を豪快に削って形作られたお茶碗には、所々光が射すように織部釉が入り、迷彩のような複雑な見え方をしています。

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51:黒織部沓茶碗 Tea bowl, Kuro-Oribe, Shoe shaped
瓢げた形に歪ませた沓茶碗。
釉掛けの残しの妙が、何とも言えず素敵です。
見込みに残る引き出す際に出来た痕も景色となって愉しませてくれます。

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21:絵織部茶碗 Tea bowl, E-Oribe
穏やかな空気が流れるような絵織部のお茶碗の見込みには小鳥が舞います。
お抹茶を戴き終わった時に、また笑顔を誘うお茶碗です。


【花入】
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43:鉄釉花入 Vase, Iron glaze
十字型がニョキッと背を伸ばしたような花入。
どんな場所にも溶け合いそうな鉄釉の色合いは、野の花を活き活きと惹き立たせてくれそうです。

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42:青織部花指 Vase, Ao-oribe
こちらも多角形のキューブに筒が伸びた花指。
ほんの一輪の花をさりげなく活けてみたくなります。

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30:織部瓶子 Vessel, Oribe, Heishi shaped
いつも動きのある形や手の温もりを感じるような雰囲気の作品が多い先生の作品ですが、こちらは隙がなく整ったシルエットの瓶子。
静かに入る微かな轆轤目の凹凸や、釉掛けの濃淡、土の中の成分などでも釉の色味が変わって複雑さを見せています。
明日にどんなお花が活けられるのか愉しみです。

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27:織部窯変大壷 Vessel, Oribe-yohen
会場の中央には、地球儀のように丸く大きな大壷。
美しい色の釉流れのように、世界に蔓延するウィルスも洗い流されたらいいのに……。
そんな願いを託したくなってきます。




どうぞ、小山先生の可愛らしく愉しい作品の数々で、少しでも皆様の心が元気になって戴ければと思います。





(葉)

【織部 小山智徳展】   
Exhibition of KOYAMA Tomonori
開催期間:2020年6月8日(月) ~ 2020年6月13日(土)
Exhibition : June 8 to June 13, 2020
定休日:木曜日→日曜日に変更(6月中)

尚、案内状掲載外の追加作品も全てホームページ上でご紹介する予定です。




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当苑お庭のモミジ、種からまた新たな芽を出して頑張っています。
見上げたモミジの葉の濃淡もまた、小山先生の織部釉の様々な緑と重なって清々し気分に戻れます。

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