雨音 

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ようやく梅雨らしい天候になったと思えば、ニュースでは警戒を促すような大雨の知らせ。渋谷でも昼過ぎには一時的に豪雨のような強い雨脚でした。庭の草木は一雨毎に気持ち良く背丈を伸ばしていきますが、人間にとっては少し憂鬱な時期でもあります。
こんな天気の日はゆっくりと雨音を耳に、一服のお茶を楽しむのは如何でしょうか。



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No.7 三輪休和 萩茶碗 銘 涛友   詳細はこちら

腰の張った姿は、高台を返した時により一層魅力的に見える。たっぷりと量感溢れる高台周り。僅かに顔を覗かせる三島土の黒色。実に見所の多い高台である。
ややもすれば散漫な造形にもなってしまうが、胴の少し上に胴紐のように引かれた筋が全体を引き締めている。柔らかな「休雪白」の白萩釉は窯変により白から桃色へと複雑にその色を変化させている。この白にお茶の緑がどのように映えるのか考えただけでも楽しい茶碗。「涛友」は鵬雲斎宗匠によるもの。講談社より刊行された『日本のやきもの 現代の巨匠 9 三輪休和』にも所載されている。




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花:木瓜
花入:川喜田半泥子先生 竹花入 銘 其まま

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No.2 川喜田半泥子先生 竹花入 銘 其まま   詳細はこちら


大胆な鋸の痕に思わず息を飲んでしまう。前面と少し段を変えて、背面は斜めに刃を入れている。左側部には皮だけでなく、中までえぐられたように痕が残されてる。銘「其のまま」を考えればこの側部の痕は元々あったものなのだろうか。
背面に朱書で「其のまゝ 半泥子 花押」、箱裏の「昭和廾九年十一月以千歳山荘之薮竹 喜寿 半泥子」から千歳山の竹と分かる。
喜寿半泥子先生の瑞々しく、エネルギッシュな姿が浮かんでくるような花入である。

生けたのは木瓜の実。あの淡く愛らしい花の後に小さな花梨のような実を付ける。実はまだ青いが、秋にかけて黄色に変わり、昔から薬用に用いられてきた。




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No.1 川喜田半泥子先生 茶盌   詳細はこちら
イケコロシ」、半泥子先生が作陶を語る際にしばしば用いる言葉である。素材の持ち味を見極め、必要最低限のまさに要という所にだけ手を入れる。所謂茶碗の「決まり事」と言われるような杓子定規な見所を「なぞるように」作るのではなく、数多くの作品を残しながらもその一点一点が見事に個々の魅力を持っている先生らしい言葉である。
小ぶりの茶碗は粘土の時の土の柔らかさ、水分をそのまま残しているかのように、伸びやかに轆轤目を見せる。胴には大きなハゼ、口元にはふっつりと土の切れた痕。高台を返すと躊躇いなく一息に削った姿が。手取りも程よく、さり気なさと、自由な姿が同居する茶碗である。



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No.36 黒田辰秋先生 蔦金輪寺茶器 共箱  詳細はお問合せ下さい

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辰秋先生が20歳前に見たという大雲寺伝来の金輪寺茶入。その姿、形に魅せられると共に材が蔦であるということに驚いたという。しかし様々な材木屋を探しても材に使える蔦は見つからず、実に30年後にようやく出会ったのが富山庄川の上流でのこと。それから辰秋先生の金輪寺茶器は蔦を用いて作られている。
伐採後半年ほど川に浸け、自然に皮を剥がし、丁寧に取ってから再び水へ。荒引き後は中を刳って陰干し、3ヶ月程置いてから轆轤で仕上げ、更に陰干し。小カンナと小刀で仕上げてから最後に数十回拭き漆を重ねる。長い年月をかけて作られる理由は何よりもこの木肌の美しさ、木目の陰影の深さが雄弁に語ってくれる。大振りなその姿が実に堂々とした茶器である。




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No.11 三輪休和 萩焼酒盃   詳細はこちら
柔らかな枇杷色の素地に薄くかけられた白萩釉。その流れる一瞬の様をそのまま小さな酒盃に焼き付けたような作品。釉の僅かな濃淡、見込み側面の火間、くっきりと力強い高台、細部にまで心憎い程に神経が行き届いたつくりでありながら、決して小さくまとまらず自然な姿を見せているのはやはり休和先生らしさと言える点かも知れない。



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No.18 加守田章二先生 盃    詳細はこちら
半月状に縦縞の模様を、胴回り3ヶ所に施している。内側は施釉することで用にも配慮しながら、外側の小石を噛んだ荒い土と対比になり、模様の一部となっている。
一番の見所は高台であろう。端正な上部のつくりから一転して荒荒しく石を削るかの如く動きに富んだ高台削り。僅かに高台の中心部を削り、その少し横に「章」の彫銘を入れている。盃でありながら彫刻作品を見ているかのような力強さのある作品である。



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花:桔梗・破れ傘
花入:金重陶陽先生 備前三角花入 共箱・壷心庵

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雨に濡れるは「破れ傘」。桔梗はその凛とした花弁の線がなんとも涼やかで、梅雨の煩しさを一時忘れさせてくれる。



「ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展」会期を延長して7月7日まで開催しております。ぜひ足をお運び下さいませ。



【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】

2020年6月22日(月) ~ 2020年7月7日(火) ※6月28日(日)、7月2日(木)定休
11:00 - 19:00
於:魯卿あん (京橋店)






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