【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品】 作品紹介

重い湿気を常に身に纏っているようなこの季節。
年々とその湿気た重みが増しているように感じるのは、私だけでしょうか。

昨日は久々の晴れ間に嬉しくなって、朝から2回も洗濯機を回し、それだけで気分が良く過ごせました。
幸せを感じるのは、案外小さな、何でもない事なのかもしれません。


さて当苑では、明日22日(月)より【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品】が始まります。
今回は、やきもの以外にも漆や硝子の作品も加え、落ち着きのある作品が揃っております。
強い陽射しの中で入った木陰のように、心を安らげる空間に感じていただけたら幸いに存じます。

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会場
静かに落ち着いた雰囲気の会場。
ではその中から数点ですが、作品をご紹介させて戴きます。


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5:金重陶陽 備前擂座花入

陶陽先生は“直接土と向き合う作家”として知られ、轆轤を引く際、常に自分が最も挽きやすい状態の土と接したと言われています。
とりわけ陶芸家の中でも、触覚の人、手の人であったと言う。
本作品も、先生の掌の中でスルスルと形を変え、スピード感を持って立ち上がったような滑らかさを感じます。
その中に、節目のように一周配された膨らみや、大きく掻いた刻線、力強く押し付けられた擂座、大きな石ハゼなどの様々な要素が主張しすぎずに作品そのものを惹きたてています。
またその上から炎により、緋色が出たり、灰が被ったりと変化を持った表情が愉しめます。
実際に花を生けるために水を張れば、土がよりしっとりと落ち着きを持って見え、挿したお花がより活きて見えてくるでしょう。


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7:三輪休和 萩茶盌 銘 涛友  鵬雲斎書付
「日本のやきもの 現代の巨匠 9 三輪休和」

柔らかな釉が、素地の色を感じさせたままに掛かっています。
荒く轢いた土の中に含まれる砂粒に引っ掛かり、ハゼたような縮れが出ているのが面白く、また使うほどに雰囲気が増す育つ愉しみがありそう。
高台の部分には、釉下に黒い見島土が施され、見飽きぬ見所が隠されています。
箱書きには鵬雲斎による書付の「涛友」の銘が入っています。

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18:加守田章二 盃

1978年頃~79年頃に制作されたものと分かる図柄が入った小さな盃。
マットな土に白・藍・濃紺の3色に、よく見るとお淡い緑の若葉色を加えた4色の細線が並んで半円を描いています。
見込み内に釉を流すことで、より側面の胴回りが印象的に見えてきます。
勢いよく削り落とされて出来た高台も、丁寧に成形された胴に反して面白い印象を与えてくれます。


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23:黒田辰秋 赤漆四稜棗

いつ見ても印象的な、赤く卍字を捻るように造形した辰秋先生の代表的な形でもある棗。
捻じりの強さっや、方向、漆の塗の違いなど様々なバリエーションがある中で、本作品は緩やかに捻じれて立ち上がっています。
深い深紅の色合いは落ち着きをもって、堂々とした佇まいです。
蓋を開けると、漆黒の黒。
お抹茶を入れた際は、その緑がまた美しく目に映るに違いありません。


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37:黒田辰秋 茶杓 銘 春宵

春、勢いよく頭を出し高く高く背を伸ばす竹。
こちらは、その勢いの中で入った亀裂をそのまま活かして削られたお茶杓なのでしょうか。
節下に入る竹の亀裂も、よく見ると中で竹の繊維がそのままつながっています。
そんな、命が宿り動き出す、春の始めの心が弾むような気持が、銘の「春宵」となったのかもしれません。
櫂先裏の丁寧な削りや、節下周囲の掌への柔らかな当たりも穏やかな春の雰囲気を感じさせてくれます。


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12:河井寛次郎 呉須泥刷毛目扁壷
43:柳 宗悦 美之法門

生乾きの泥漿を布でぬぐった際に出来た荒波のような痕が残ったことから生まれた泥刷毛目の技法。
本作品は大きな荒波がザブンと立上り、波先が落ちて来たかのような勢いの深い藍色の壷となっています。
見方によっては荒波の中から大きな口を開けたお魚が飛び出してきたようにも見えて来ます。
一緒に飾る為に描かれたような、柳宗悦先生の涼し気な流水紋のお軸とよく似合います。



図録掲載作品に関しましては、オンライン展示会【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】にて作品をご覧戴けます。
併せてお愉しみ下さいませ。
また、一部追加作品なども御座います。
お近くにお越しの際は、是非足をお運び下さいませ。







(葉)






 【ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展】 
Exhibition :  The Grand Masters of Showa Era
開催期間:2020年6月22日(月) ~ 2020年7月7日(火)
Exhibition : June 22 to July 7, 2020
休業日:6月28日(日)、7月2日(木)


今後の政府・東京都の政策方針により内容が変更になることがございますのでご留意ください。
*The schedule is subject to change depending on the policy of Japan government.



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会場:黒田辰秋先生

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会場:三輪休和・壽雪(十一代休雪)先生

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会場:鈴木藏先生