ひこばえ

3月に雪が降り、雨も降り、少々乾燥気味だった大地は水不足が解消したよう。我が家の庭のコブシの木は、若緑色の葉の割合が増えてきて、季節が移ろうのを日々感じる。そろそろ芝生にも気を配る時期の到来。芝目の間に次々と顔を出す雑草取りを気が付いた時に少しでもしないと、芝生が駆逐されるから、面倒でもやらないといけない。しっかり根付いた芝の隙間から生える多種の雑草は、本当にたくましくて、あっという間に勢力を拡大する。人間と雑草との攻防戦には終わりがない。そんなわけで、雑草を抜く技を日々研鑽中である。

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『オブジェ焼 八木一夫・山田光・鈴木治・益田芳徳展』2週目に入りました。美術館・博物館も休館している状況ですが、店内は変わりなく、先生方の素晴らしい作品を展示しております。


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今回は山田光先生にスポットを当てて、作品を見てみたいと思います。

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黒陶スクリーン

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銀泥陶板 「窓」
黒陶スクリーン

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穴の中には球体を半分に割った半球状の玉がそれぞれ収まっています。その半球は動くものもあれば、しっかりと固定しているものもあります。

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こちら側から作品を見ると、一本の棒状の柱にしか見えません。見る方向によって、静と動の反対の印象を受ける作品になっていることに気付きました。


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銀泥陶板
益田芳徳 「オブジェ」

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山田光先生のマットな銀色の陶板と益田芳徳先生の硝子の頭部のようなオブジェは、不思議な宇宙空間のような雰囲気を作り出しています。


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黒陶陶板
益田芳徳 「帽子を被った貴婦人」

こちらは、益田芳徳先生の優雅なガラスの貴婦人像とシックな黒陶陶板。

オブジェ焼きらしからぬ実用的な作品の棚。

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山田光先生の白磁の酒器、白釉や青白磁の茶器がご覧になれます。とがった印象の陶板やスクリーンとは、かなり違って丸みを帯びた優しい作品であることに驚きます。

山田光先生は、初め中国宋代磁州窯の美に強い共感を寄せていたが、1950年頃の八木一夫先生、鈴木治先生らの影響で、古陶磁に決別し、轆轤成形による壺という形へと変化していく。さらに、壺の口を塞ぎ、完全に実用性を否定した表現にまで至る。時を経て、内側に空間を持つ極めて薄い焼締めの陶面による特異な陶の造形、「塔」「碑」「陶壁」等と題される作品群を生みだしていく。1970年代はタタラでの「陶面」、80年代は黒陶の「スクリーン」、90年代は銀泥の作品による多様な展開へと、力強い変容を遂げていかれた。

「スクリーン」と題した作品。薄い陶板を台座に垂直に立て、スクリーン状の形状になった物と構成される。

「スクリーン」。ある時は投射されたものを映し出すもの。あるいは、熱や風を避けるもの。また、ある時は空間を分ける間仕切りとしての役割。時には人の眼に触れさせたくない物を隠す場合もあるかもしれない。

今回展示されたスクリーンは、のぼり旗のようにも見え、どの要素も内包しているようで、観る側の心情や状況、作品の置かれた場所で解釈がかなり変わるのだろう。

自分はというと、いろいろな角度から作品を鑑賞して、前述のように実に見え方が異なると感じた。一見硬質な鉄のようにも思われる黒陶の質感が、ふと柔らかな弾力を抱いてくることがあって驚いた。だからなのか、庭のコブシが浮かんだ。その根元に、いくつも伸びていた“ひこばえ”を思い起こした。小さいけれど、限りなく強い生命力を持つもの。たとえ木が切り倒されて切り株になったとしても、再び新しい芽を伸ばしていく。何も語らないけれど、その小さな姿の営みには、底知れぬ力を感じ勇気が湧いてくる。


(藤)


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