オブジェ焼 八木一夫・山田光・鈴木治・益田芳徳展 ~作品紹介~

今週の頭には桜が7分咲きとなり、世間を賑わすウィルスの話など、どこ吹く風……といった顔で爽やかに春の訪れを感じさせ、また心を解きほぐしてくれるようです。
その桜の開花を待っていたかのようにお見掛けした、羽織袴の女学生たち。
このご時世、例年よりもお見掛けする人数は少ないものの、その晴れやかな姿は美しく、神々しいほどです。

さて、先週は走泥社創立に関わったお一人である硝子作家、益田芳徳先生の作品を展示しておりました。
今週の金曜日からは、その流れのままに『オブジェ焼 八木一夫・山田光・鈴木治・益田芳徳展』を開催致します。
戦後、日本の陶芸界に新風を巻き起こし、現代陶芸の始まりを位置づけたとされる前衛陶芸家集団「走泥社(そうでいしゃ)」。
八木一夫先生(1918-1979)、山田光先生(1923-2001)、鈴木治先生(1926-2001)、先週ご紹介しました益田芳徳先生(1934-2010)ら京都の若手陶芸家たちを中心としたメンバーにより、1948年に結成されました。
彼らは、伝統的な陶芸の概念にとらわれない自由で革新的な表現活動をし、実用性を削ぎ落とした、いわゆる「オブジェ焼き」という新たなジャンルを生み出しました。

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会場
一方で抽象形態による実験的な創作以外にも、機能性や伝統的な造形の要素を持った、実用品の制作も平行して製作を続けておられました。
そのオブジェ的要素も兼ね備えた実用品の数々は、現代でも新鮮に、かつモダンに生活風景に溶け込みます。


【八木一夫先生】
八木一夫
YAGI Kazuo
【陶歴】
1918年 陶芸家・八木一艸の長男として京都市に生まれる
1937年 京都市立美術工芸学校彫刻科を卒業
1947年 『青年作陶家集団』の趣意書を発表する
1948年 鈴木治、山田光、松井美介、叶哲夫とともに「走泥社」を結成する
1957年 京都市美術大学(現・京都市立芸術大学)彫刻科の非常勤講師となる
    この年初めて黒陶作品の制作を始める
1969年 『八木一夫作品集』(求龍堂)が出版される
1972年 東京伊勢丹で「八木一夫個展」が開催され、本のシリーズを発表する
1978年 パリのグラン・パレで開催の「FICA78」にて「八木一夫陶彫展」と題し
    作品「Haiku I ~XI」を陳列、高評を博す。 東京伊勢丹で「還暦記念八木一夫展」が開催される
1979年 心不全のため死去

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3:黒陶 喝采のスペース 
Artwork ‘Space of Applause’
『現代の陶芸 第十二巻 八木一夫・鈴木治・加守田章二』(1975 講談社)
『八木一夫 作品集』(1980 講談社)
『現代日本陶芸全集14 やきものの美 八木一夫』(1982 集英社)
『没後25年 八木一夫展』(2004 京都国立近代美術館他)
左右の掌の間を綺麗に黒土で埋めて作られている。
“喝采のスペース”という名にもあるように、拍手する両手の動きや、その狭間を形としている。
通常では形となって存在しない、空間をも捉え、形とする八木先生のユーモアある柔軟な発想に感動を覚える。

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6:刷毛目扁壷 
Flat Vase, Brush marked
八木先生も、オブジェ的要素のある“用の美”の作品を数多く残されている。
こちらは丸い球体のお腹を押しつぶしたような形の壷。
土の色を感じさせないよう白化粧されているが、一部薄い刷毛塗りの部分を残していたり、細い櫛で凹ませたお腹に円を描いたりしてリズムを付けている。
また、お腹の凹みの中心には、作品を倒して焼いて溜まった釉がガラス質となりアクセントとなっている。
型を使ってできたバリが残っているのも面白い。

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9:白地戴泥描 
Vessel, White glazed
壺に張り付けられた幾何学的な模様は、良く見ると段々無邪気な子供の顔に見えてきます。
柔らかそうな丸い輪郭にフワリと前髪がかかり頬には小さな手を大きく広げて当てているようです。
歯には隙間が開き舌を出しているのでしょうか。見れば見るほど微笑ましい作品です。

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33:陶板 
Plaque

5:ニュートンの耳 
Artwork ‘Ear of Newton’
空き缶が埋め込まれたような現代的な面白い作品。
耳の形を開いたような形状のリンゴのようにも見えるオブジェと共に。

【山田光先生】
山田光
Yamada Hikaru
【陶歴】
1923年 東京都阿佐ヶ谷生まれ。(戸籍は岐阜県生まれ)
1945年 京都高等工芸学校窯業科卒業
1948年 鈴木治、八木一夫とともに前衛陶芸家集団走泥社を結成
1961年 日本陶磁協会賞受賞
1979年 大阪芸術大学教授に就任
1995年 京都市文化功労者・日本陶磁協会賞金賞受賞
1998年 京都美術文化賞受賞
1999~2000年「陶の標―山田光」展(伊丹市立美術館、岐阜県美術館、目黒区美術館)
2001年 逝去
2016年「受贈記念 山田光展 ―走泥社とともに」岐阜県現代陶芸美術館

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22:黒陶陶板 
Plaque, Black stoneware
お店入口に立つ島村光先生の作品の後ろに、山田光先生の陶板が掛かります。
いつもとはひと味違ったお出迎えです。

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26: 黒陶陶板 
Plaque, Black stoneware
絵具を垂らしたように見える作品ですが、よく見ると膨らんでいる部分と、凹んでいる部分とがあり、不思議な立体感が味わえます。

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30:銀泥陶板 
Plaque, Silver glazed
雨が窓を伝うような、無機質な中にもどこか柔らかな雰囲気が漂う作品。

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32:灰釉籠花生 
Vase, Ash glazed, Woven-bamboo design
「山田光 ―陶の標―」(1999 岐阜県美術館他)
『陶・山田光の世界』(2004 世界思想社)
形と色を限定した単純な幾何学形態。
真ん中がメッシュ状となった板に挟まれた形状の花生となっている。
用を感じさせないオブジェ的な要素も強い。
穴・すき間・光・陰影による動きを入れる事によって、軽い空気感を纏った人間味を感じる作品となる。


【鈴木治先生】
鈴木治
SUZUKI Osamu
【陶歴】
1926年 ロクロ師鈴木宇源治の三男として京都に生まれる
1948年 八木一夫、山田光らと「走泥社」を結成し、第1回「走泥社展」を開催
1961年 日本陶磁協会賞を受賞
1962年 プラハ国際陶芸展で金賞を受賞
1968年 大阪芸術大学陶芸科助教授となる
1970年 「ヴァロリス国際陶芸ビエンナーレ展」で金賞を受賞
     京都近美主催「現代の陶芸―ヨーロッパと日本―」に招待出品
1971年 ファエンツァ国際陶芸展で貿易大臣賞を受賞
     日本陶芸展推薦招待出品、以後、毎回出品
     京都、東京国立近代美術館主催「現代の陶芸―アメリカ・カナダ・メキシコと日本―」展に招待出品
1975年 「国際陶芸展‘75」に出品
1979年 「アート・ナウ’79」に出品
1999年 東京近代美術館にて「詩情のオブジェ 鈴木治の陶芸」開催
2001年 73歳にて死去

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13:土面 
Artwork ‘Clay Mask’
“用途をもたない造形作品”を目指し造られた1960年代に作られた作品。
折紙をランダムに扇形に折って作られたような不思議な丸い形。
一部分は小窓の様に白化粧で塗りつぶされ、様々な数字が掠れるように押されている。
崩れた丸型に一部数字が乗ることで、時の流れを遮るような……止めるような……。
意味があるようで、無いような、不思議な魅力を持つ作品となっている。
背面下部に「す」の印がある。

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15: 鳥 
Artwork‘Bird’
本当に単純な形態。
透き通るような青磁の淡いブルーのBOXに四角く平らなものが張り付いている。
その一辺は土台のBOXに張り付いている。
ただそれだけなのに、何故か飛行するのに頭を下げて羽を広げる鳥に見えるから不思議。


【益田芳徳先生】
益田芳徳
MASUDA Yoshinori
【陶歴】
1934年  東京都に生まれる
1948年  利根山光人に絵画を学ぶ
1954年  上越クリスタル硝子株式会社にてガラス制作を始める
1971年  走泥社同人となる(1998年解散)
1977年  「現代日本の工芸の秀作展」(東京国立近代美術館)
1980年  「日本クラフトデザイン展」優秀賞
1981年  「KASSEL'81-世界ガラス100人招待コンペ」カッセル(旧西ドイツ)
1983年  「朝日現代クラフト展」審査員奨励賞受賞
1986年  「日本のガラス300年展」(サントリー美術館)
1995年  ニューヨーク高島屋にて個展開催
1997年  「Made in Japan」(GLASMUSEUM,デンマーク)
1999年  「日本のガラス2000年展-弥生から現代まで」(サントリー美術館)
2001年  作品をバチカンに謹呈
2010年  死去

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1:オブジェ 
Artwork
人の頭部のような形の硝子の中にはミラーのような加工が施されている。
正面には大きな亀裂のようなものが入って、電球に光が走るような衝撃をも表しているよう。
電流が走った際に頭を押さえたような指痕のような跡も面白い。


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会場
先生方の手掛けた“用の美”の作品も並びます。
是非お愉しみ下さいませ。












※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。

(葉)







オブジェ焼  
八木一夫・山田光・鈴木治・益田芳徳展  
Exhibition of Object by Sodeisha
YAGI Kazuo, YAMADA Hikaru, SUZUKI Osamu, MASUDA Yoshinori  
開催期間:3月27日(金) ~ 4月7日(火)
休業日:2日(木)
Exhibition : March 27 to April 7, 2020
営業時間:11:00~19:00
















 京橋 魯卿あん 
 Rokeian
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