光を纏う器 『新里明士新作展』より

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連日の寒さから一転して、昨日今日と春が間近に来ていることがはっきりと分かるような陽光に。
外套に首を竦めながら早足で歩いていた通勤の道も、どこかゆっくりと散歩したくなるような気分になります。

洋服が変わるように器もその季節毎に手にする機会が増えるものが変わってきます。
昨日から始まりました『新里明士新作展』。まさにこの春の柔らかい光と風の中、手にして戴きたい作品が会場に並んでいます。

「光器」と名付けられたシリーズの器は素地にペンルーターで穴を開け、透明釉を施釉する「蛍手」と呼ばれるもの。この伝統的な技法を現代の感覚でより深化させた新里先生。巧みなロクロの技術で薄手にひいた素地には、実に自由な光の紋様が施されています。穴の大きさを一定に変えて直線での表現を発展させたもの、アトランダムな配置で動きを見せるもの、反復のリズムが心地よい連続紋を描くもの……。シンプルな装飾技法のひとつであった「蛍手」を上絵のような表現にまで押し上げているとも言えるでしょう。

光器は強い照明の中よりもわずかな光の中で手に取る方が、その器体の中に光を感じます。
暗闇から僅かに日が差し込み、昼の眩い明るさから、また静かな夕暮れの日差しに。一日の光の違いによって器が見せる表情も全く異なるのも作品の魅力と言えるでしょう。


a03.jpgNo.10-1  光碗





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No.12-1  光碗





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a08.jpgNo.23-2  シガラキ碗




a04.jpgNo.11-1  光碗





a02.jpgNo.11-2  光碗


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光器の「蛍手」は上絵のような表現でもありますが、素地に穴を開け、光が透明釉越しに透過するという面白さがあります。
器の外と中を仕切るはずの素地が外部の光を内へと取り込み、そしてまるで内部から発光するようにその光を外へと届かせる。
その自由な光の行き来は空間の中に作品を置いたときに、作品が空間の中で孤立せず、他の道具とも自然に並ぶ理由とも言えます。特に磁器の茶碗は冷たい印象があるという方は新里先生の跳ね返すことのない、柔らかな光を纏う茶碗を是非お勧めします。

その光の印象は素材を変えても共通して新里作品に感じられるもの。
一見すればスタイリッシュな茶碗に見えますが、実際に手に取ればその柔軟な発想で製作された茶碗はどれもどこかに柔らかさを感じます。



a07.jpgNo.19-2  黒碗





a06.jpgNo.21-1  青碗





a05.jpgNo.12-2  光碗


a05-1.jpg光を纏う新里先生の作品。是非手中でその魅力を感じていただければ幸いに存じます。
会期は18日(火)まで。皆様のご来苑を心よりお待ちしております。



(巻)
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