先生の口癖

2020年の新しいカレンダーの1月が終わったと思ったら、2枚目も明日でおしまい。あさっては、もう3月。年度末や卒業式の季節。暖冬のせいで桜の開花予想も早まりそうで、なんとなく心がせわしなくなる時期です。こんな時こそ、心の栄養補給に芸術作品の鑑賞をするのもいいのではないでしょうか。

当苑では先週から『陶藝家の父 富本憲吉展』を開催しており、本日より2週目に入りました。富本先生の白磁にスポットを当てた貴重な展示となっておりますので、是非ご覧頂けたらと思います。

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こんな愛らしい汁次もあります。蓋がちょこんと乗った様子が帽子をかぶった子供のようです。

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白磁汁次


今週の花

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軸:色繪角飾箱之図

白磁壷

花: 青文字・菜の花

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青文字

枝が青味がかった緑色をしていることから名が付いたようです。実に見えるのは蕾で、咲くと黄色い小花が弾けたように開きます。

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菜の花

もう一ヶ所、洋風な雰囲気の花を活けております。

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白磁花器

花: アルストロメリア・ラナンキュラス

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ラナンキュラス

春になると、花屋さんの店先に赤や紫・オレンジ・黄色といった色とりどりの花が溢れんばかりに並ぶ花。八重の花は豪華ですが、蕾は小さく可愛らしい。

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アルストロメリア

こちらも、店先に並ぶと春が来たなあと感じる花。カラフルで花束やアレンジにもよく使われますが、今回の花は初めて見る色の淡い種類。なんでも、原種に近い花のため、茎も細いのだそう。


富本先生はバーナード・リーチとの出会いにより、陶芸家への道を歩みだした。故郷の大和川河畔で写生中に、農家の軒下で犬の餌入れに使われていた白磁鉢に強く心惹かれ、きっかけとなって李朝白磁への関心が高まり、朝鮮行きを決意する。数々の名品や名工との貴重な出会いから多くを学び、さらに模倣ではなく独自の方向を探っていかれた。帰国して幾度も試作を重ねた結果、独特の白磁が生まれる。先生は下図なしで壺を轆轤成形し、青空の下に一列に並べて、最も形の整った3分の1を白磁にしたのだと。

「未だ白定に遠い私の白磁を その同一位置に迄漕ぎつけるのは モウ永くはない私の死に至る迄の望みであり 又責任であろふと考へる」 ※白定…宋代定窯白磁を意味する。

と述べている。


皿は満開の花

鉢は半開の花

而して壺は

内に香と力をふくんで

    将に開かむとする花に似たり。   

(「製陶余録」から)


これらの言葉からも、白磁に対する先生の強いこだわりが垣間見られる。壺をその内側に香りと力を含んでと仰っているのが、ふくいくとした白梅の花を彷彿とさせ、店内の壺と重なった。

また会津八一が詠んだ歌がある。


大和安堵村なる富本憲吉の工房に立ちよりて 

 斑鳩(いかるが)の早稲田(わさだ)の畦(くろ)に仮庵(かりほ)して

埴(は)にねらすらむ長き夜を

(斑鳩の早稲の田んぼのほとりに仮の庵をつくり、陶土を練っているのだろう、秋の夜長に)


故郷の裏庭に簡単な窯を作り楽焼作りを始めた富本先生の、まだ世の中に名を知られていない奈良(大和)時代のことを詠んだ歌には、若い頃より交流のあった会津八一ならではの情感がこもっている。会津八一の初の歌集「南京新唱」の挿絵を描いたり、「秋草堂」という陶印を作成したりと、二人の関係は知らなかった。

ただ、思い出したことがある。歴史の授業で殆ど毎回と言っていいほど、会津八一の名前を出す先生がいた。その時々で、書の話や奈良について等を話してくださっていたのだが、わたしたちお気楽な学生たちは、そろそろ名前を口にしそうだと、歴史の担当教授の口癖という認識で、教科書に隠れて目配せし合ったりしていたのだった。富本先生のことから、授業と教授の顔が思い浮かび、先生お元気かなあと懐かしくなった。

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2020
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2020
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