色絵磁器 前田正博展   ~作品紹介~

数年前に母が知人が使わなくなった大きな機織り機を戴いてきた。
長い休みの度に母を訪ねて、母の友人達と一緒になって織機の経糸を張る作業から手伝った。反物を編めるだけの長い長い糸を絡ませずに上糸、下糸になるよう、交互に織機に糸をかけていく作業は、あーでもない、こーでもないと四苦八苦。
しかし、通常全て同じ白い糸を縦糸に張ることが多いが、一部だけ違う色にしてみたりと自分の織機となれば自由自在。好き勝手して愉しんでいる。
そこに、古くなったお気に入りの布を細く引き裂いた帯紐状の横糸をさしていく作業が、これまた愉しい。経糸の色と折り重なった時を想像し、どんどん色味を変えて織り込んでいく。
自分が思っているよりも複雑で、ミックスツイードのような雰囲気になっていく面白さは病みつきになる。

さて今週の金曜日からは、黒い縦糸に赤や青といった横糸を折り重ねていったような“やきもの”を作られる『色絵磁器 前田正博展』が始まります。
本来白い白磁を真っ黒に塗ってから焼成、マスキングテープによる縦横斜めの細線を作りながら、織物を織り進めるように何度も焼成を重ねます。その焼き上がりは、陶器とは思えぬ温かみを持っていながら、現代的でスタイリッシュ。

約2年ぶりの個展。
今回はどんな作品が並ぶでしょうか。
早速、いくつかの作品をご紹介したいと思います。


【茶道具/水指・茶碗】
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今回は沢山の水指と共に、対になる様なお茶碗も一緒にご用意下さいました。

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15:色絵銀彩水指 / 36:色茶碗
白っぽく見えるのは銀彩を施した水指とお茶碗。
白磁の白がそのまま見えるのは強すぎる……と、全ての水指の中は透き通るような群青色。
薄暗い茶室の中で、水を張った水指を覗けば、水面の煌きが、より一層美しく見えるに違いない。

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14:色絵銀彩水指 / 41:色茶碗
漆のお椀のようにさえ見える、赤のお茶碗。
見込み内の金色が、落ち着きを与える。
お抹茶の緑が、映えそう。

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11:色絵銀彩水指 / 37:色茶碗
今回出品のお茶碗は、腰の丸いお茶碗。
吸い付くように掌に添う、心地の良い形。

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16:色絵銀彩水指 / 34:色茶碗
白磁を黒く塗った上に、銀彩、グレーを乗せ、区切ったパーツによってモノクロの濃淡を見せる面白い図柄。
水指の方は、その濃淡を生かし、キュービックのような凹凸があるようにさえ感じるから不思議。

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39:色茶碗
底部は黒っぽく、腰から上は鮮やかなターコイズブルーの上に銀彩を施した爽やかな色を放つ。


【酒器】

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61・63:色絵酒器 / 33:色絵徳利
昨今、赤や、ターコイズブルーの色合いを使った作品を作られていた先生ですが、「久々に色を使ってみたよ」とニッコリ。
春らしい爽やかな緑やオレンジが新鮮に目に映ります。

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64・32-3.jpg64:色絵酒器 / 32:色絵徳利
こちらも、今回久々に作られた色物のシリーズ。ぐい呑などは、昨日窯に入れられた出来たてホヤホヤ。
高台側を見ると一目瞭然ですが、紫を乗せて焼いたもの。
紫の絵の具には金が含まれていることから、焼成することでその金色が少し出てくるのだとか。雰囲気のある色合いが何とも、素敵です。

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58・59-3.jpg58・59:色絵酒器
一見グレーっぽいモノトーンに見えますが、よく見ると深みのある茄子色のような色合い。

52・54・47・57-1.jpg52・54・47・57:色絵酒器
前田先生ならではの赤やターコイズ、白黒の酒器も一緒に並びます。


【食器】

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31:色絵銀彩八角皿
こちらは遊び心溢れる八角形のお皿。
中央は八等分に三角に見えるよう、マスキングテープの幅を違えることで格子の見え方に変化を付けている。
お皿周囲に交互にブルーとグリーンの色を使ったのも美しい。
高台周囲の三角の模様も可愛らしい。また、高台内の朱赤が、印象的で美しさを増す。

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29-2.jpg29:色絵洋彩八角皿
同じ八角形のお皿ですが、全く雰囲気が異なります。
マスキングテープの仕様の工夫により、菱形の格子が浮き上がって見えてくる。
また色の濃淡が見えるのも、筆で叩くように乗せることによる先生ならではの手法。先生の仕事の極意がよく分かる作品。

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90・85・89-4.jpg90・85・89:色絵銀彩皿
こちらは六角形の銘々皿。
美しい色の幾何学的柄の真ん中に、これまた先生の象徴のようなフクロウが入っています。フクロウを囲む線が、六角と、丸との2タイプある。

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78・99-4.jpg78・99:色絵銀彩皿
こちらは上でご紹介したお皿の同手で、少し深さのあるタイプ。
緩い輪花型の優しい形。

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小皿-2.jpg119~122(赤明) / 123~124(赤暗) / 125(青明):色絵洋彩小皿
小さな豆皿サイズのお皿たち。
バラ売りと、セット売り両方ご用意があります。

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23・24・22:色絵蓋物
重箱のような四角い蓋物。
色は違いますが、それぞれを重ねてお使い戴くことも出来ます。
蓋の表面には良く見ると、波紋のような櫛目が入り、ささやかな変化を付けている。箱中に入る三角模様も嬉しい。

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7:色絵銀彩鉢
白磁を黒くしてから、銀彩を2回施し、その上から深い瑠璃色を乗せたもの。
細かく入る櫛目の上に、マスキングテープによる色(絵具)の重なりで出来た格子の凹凸が乗り、より複雑な見え方になっている。

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6-2.jpg6:色絵銀彩鉢
大きな鉢には銀彩による細かなメッシュ状の柄が浮かび上がる。
銀彩を施すことにより、ちょっとマットな見え方となり、手触りも少しザラついた感じになる。
銀彩は、時間が経つにつれ少し色が変化する場合がありますが、重曹で洗うと元の色に戻るそうです。


【花入】

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20:色絵洋彩花入
高さ16センチほどの繭玉のような形の花入れ。
もう少し暖かくなったら、ウラシマソウなどの植物を格好良く活けてみたい。

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2:色絵銀彩花入
こちらは大きな卵型のような銀彩の花入れ。
大きな辛夷(コブシ)の枝を投げ入れて愉しんでみたい。









京都出身の前田先生ですが、情報の中心でもある都会の真ん中でお仕事がしたいと、現在は六本木で作陶をされています。
なので、お忙しい中、作品もご自身自らヒョイヒョイと気軽に搬入にいらして下さったりもします。
またそんな時でも色々尋ねると、気取らず、あっけらかんと愉しそうに、どんな質問でも飄々と答えてくださいます。
そんな気さくで恰好付けない先生。
普段、繊細な作業の積み重ねをされているとは感じさせず、とても魅力的な方です。会期中はなるべく会場にいて下さる予定です。

素敵な作品と、先生とのお話を愉しみに、是非足を延ばして戴けますと幸いです。





※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)




 色絵磁器 前田正博展 
Exhibition of MAEDA Masahiro
開催期間:2月7日(金) ~ 2月11日(火)
Exhibition : February 7 to February 11, 2020
11:00~19:00

前田正博
MAEDA Masahiro
【陶歴】
1948年 京都府久美浜町に生まれる
1975年 東京藝術大学大学院工芸科陶芸専攻修了
1983年 今日の日本の陶芸展出品(ワシントン・スミソニアン博物館、  ロンドン・ヴイクトリア&アルバート美術館)
1992年 日本の陶芸「今」100選展出品(パリ、東京)
1998年 伝統工芸新作展奨励賞受賞
2005年 菊池ビエンナーレ展優秀賞受賞 東京・六本木に工房移転
2008年 智美術館大賞 現代の茶陶展優秀賞受賞(菊池寛実記念智美術館)
2009年 日本伝統工芸展日本工芸会総裁賞受賞
    「赤黒金銀緑青 前田正博の色絵」展(菊池寛実記念智美術館)
2010年 岡田茂吉賞MOA美術館賞受賞
2011年 2010年度日本陶磁協会賞受賞
2013年 「カラフルXモノクロ 前田正博X日本画」展(佐野市立吉澤記念美術館)
    第8回パラミタ陶芸大賞展(パラミタミュージアム)
2015年 第6回創造する伝統賞受賞(日本文化藝術財団)
2016年 前田正博磁器研究所開催(横浜馬車道)
2017年 第37回伝統文化ポーラ賞優秀賞受賞(ポ―ラ伝統文化振興財団)

【History】
1948 Born in Kumihama Town, Kyoto Prefecture
1975 Completed Ceramics Course, Department of Crafts,
    Graduate School of Fine Arts, Tokyo University of the Arts
1983 Japanese Ceramics Today ? Masterworks from the Kikuchi Collection Exhibition (Smithsonian Institution, Washington and Victoria and Albert Museum, London)
1988 Received the Japan Kogei Association Incentive Award at the Japan Traditional Art Crafts Exhibition
    Received the Incentive Award at the 38th Japanese Traditional Art Crafts New Works Exhibition
1992 100 Selections of Contemporary Japanese Ceramics Exhibition, Nihonbashi Mitsukoshi Department Store
1994 "Adventures of the Hand"" Exhibition, the Miyagi Museum of Art, Miyagi Prefecture
1996 Masterpieces of Contemporary Japanese Ceramics Asia Touring Exhibition (Japan Foundation)
2003 Japanese Ceramics Today, Musee Tomo
2005 Relocated his studio to Roppongi, Tokyo. Held Roppongi Ceramics Club
    Received the Excellence Award at the Kikuchi Biennale
2006 Cool & Sophisticated:Contemporary Master Ceramists of Eastern Japan, Ibaraki Ceramic Art Museum
2007 Maeda Masahiro Iro-e Ceramics Exhibition, Asahi Beer Oyamazaki Villa Museum of Art
2008 Received the Excellence Award at the 2nd Musee Tomo Prize, Contemporary Ceramics for the Tea Ceremony Exhibition
2009 Aka, Kuro, Kin, Gin, Midori, Ao - In Praise of Colors Maeda Masahiro Exhibition (Musee Tomo)
2010 Received the MOA Museum of Art Award at the 17th, MOA Mokichi Okada Awards Exhibition
2013 Colourful x Monochrome - Maeda Masahiro x Japanese-style Painting Exhibition
   (Yoshizawa Memorial Museum of Art, Sano)
    8th Paramita Ceramic Art Grand Prize Exhibition (Paramita Museum)
2011 Received the Japan Ceramics Society President's Award
2016 Opened "Maeda MasahiroInstitute of Porcelain" in Yokohama.
2017 Won at the 37th POLA Traditional Japanese Culture POLA award.







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