滿開の花 「陶藝家の父 富本憲吉展」より

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定家葛の四弁花紋、羊歯紋、竹林月夜、曲がる道……
「富本憲吉」という名前を聞くだけで頭に思い浮かぶ独特の「模様」が皆さんあるのではないでしょうか。
写生を重ね、写しではない独自の「模様」を追い続け、そして描き続けた富本先生。その数々の名作から「模様」の作家として語られることも少なくありません。ただ先生ご自身はあくまでも作品の核はその姿、形の美しさにあると言葉にも残されています。

特にその姿の美しい作品には得意とする色絵などで模様を描かず、白磁のまま残していたという富本先生。
今回の展示会ではその白磁をテーマに作品をご紹介しております。



皿は滿開の花
鉢は半開の花
而して壺は
内に香りと力をふくんで
將に開かむとする花に似たり。

『製陶餘録』「工場にて」より



白磁では特に壺の評価が高い富本先生ですが、また皿や鉢といった作品でも独自の美しい姿を追い求めています。



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No.10 白磁八角中皿 五客  (共箱)
外側を八角に面取りし、内側は見込みに段差を付け、口縁にも面取りを細やかに施す。
見込をよくみると白い線で蘭の花が描かれている。写生を重視していた富本先生。野に咲く小さな蘭の花を描きとどめたのだろうか。





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No.36 白磁面取鉢  (濱田庄司箱)
上掲の作よりも高さをもたせ、厚みもある。小振りだが静かな存在感のある鉢。
柔らかな白磁の肌は李朝白磁ともまた異なる質感で富本先生独自の世界と言えよう。
箱書は共に最初期の民藝運動をおこした濱田庄司先生によるもの。



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No.35 白磁八角皿  (共箱)
同じ八角の鉢でもこちらは見込みの広さをしっかりと取ることで、より優美な印象を受ける。静謐な釉調が美しい。
面取りによって直線の多い器形ではあるが、決して硬質な姿にはならず、あくまでも柔らかでたっぷりとした線で全ての面が構成されている。




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No.40 白磁大皿  (共箱)
直径36cmにもなる大皿。
大きく開いた姿はまさに「満開の花」であり、白磁の持つ強さと柔らかさを同時に感じる。
これだけの大きさではあるが、口縁がこの場所で終わるのではなく、更にその先へと伸びているかのような感覚も覚える。富本先生の造形の伸びやかさを実感する作品。



富本先生の白磁には静けさと豊かさを兼ね備えた世界があるように感じます。
是非実際に会場でその魅力を体感して戴けましたら幸いです。

会期は3月3日(火)まで。渋谷での展示の後に会場を京橋店「魯卿あん」に移して展示致します。
どうぞ足をお運びください。



(巻)
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