缶の開け方

鏡開きを忘れずにと思いながら、その日がいつの間にか過ぎてしまい、我が家の鏡餅はまだ健在である。毎年、お汁粉にしようか、普通にお雑煮、はたまた細かくして、おかきにするか、その年の気分で作っている。お正月に頂くお餅とは、また別の楽しみがあるのに、用が重なっていたせいか忘れていた。お正月に年神様に備えた鏡餅、今年一年の無病息災を願わず来年に持ちこせないし、やはり何か作ろう。家で揚げるおかきは格別だし、年末に調達した新豆の小豆もおとなしく順番を待っている。どちらにしようかと考えあぐねている。


そんな私的な鏡餅論争()をよそに、今年も大人気の展示『大酒器展』が始まりました。お気に入りの酒器を目指して早くから並ばれるお客様の情熱で店内の温度も何度か高くなっているようです。

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ご覧の通り、例年のように先生方の新作が勢揃いしております。

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額:石黒宗麿 『酒中得道』

展示に相応しい宗麿先生の額が壁にかかっています。

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軸: 加藤唐九郎 『酔々』
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お隣の部屋には、巨匠作品を展示しております。こちらも、是非ご覧ください。

今週の花
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花器:森陶岳 『備前かぶら花入』
花:伊予水木(いよみずき) / 岩根絞り

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硬い殻のような芽の中から、若緑の葉が少し顔を覗かせています。
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伊予水木

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岩根絞り
濃紅色に白い斑の入った大輪の八重の花を咲かせる椿。開いたところを見てみたいものです。

巨匠作家をはじめ30名もの先生方の作品は、個性こそ違え、どの酒器を見ても、先生方の創作への真摯な対し方や強い思いが具現化されたものだと感じることができる。手に取るとそれを一層如実に感じる。楽だとか時短とかいう言葉は入る隙間も見つけられない。だからこそ、毎年これほどまでに多くの方々が待ち望んでくださる展示となっているのだ。作品が先生の熱い意思を雄弁に発しているからこそ、静かでありながら強力な吸引力は途切れないのだろう。

先生方の作品を拝見しながら、残念なニュースを思い出した。ある会社の長年の仕様であった缶詰をリニューアルすると。その特徴的な缶の開け方が面倒かつ面白くもあり、開ける時のひそかな喜びも、おまけに付いてきた。それはコンビーフの缶詰。缶に付いている小さな鍵(巻き取り鍵というらしい)のようなもので、缶の横の少しめくれる突起を通して缶の切り込み線をクルクルと巻いて跳び箱のような形の缶を一周すると、パカッと缶が開く仕組み。子供の頃は、最初の巻取りの力が足りず、まず母に道筋をつけてもらってから始めたもの。うまく巻き取れると、きれいなぜんまいのようで嬉しかった。大人になっても、他の缶詰では味わえない一連の儀式のような開け方が好きだった。

だが、製缶ラインの設備老朽化で、刷新にかかる費用が多額であり、開けやすいパッケージに変更になるらしい。その理由を知れば、致し方ないことと思うが、あの缶詰の理念が、ちょっぴり厄介で独特な開け方にあったように思えて、開けやすくなることを、ちょっと寂しく感じている。


(藤)


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