陶房の風をきく ~大桐大 新作展会

ずいぶんと季節が進んだようで、コートやマフラーが欠かせない毎日です。

忙しない日々の中で、ふと足を止めて辺りを眺めてみると、なんでもないいつもの道すがらにある木々が色づいているのを見つけます。わざわざ見に行く紅葉もよいですが、いつもの景色が色づいたのを感じる幸せもいいものです。

さて、明日より2年ぶりとなります大桐先生の個展が始まります。個展に向けて先生のお話を伺いました。



●思考の集積
先生の形つくりは、土を触りながらというよりは、考えに考えて出来上がったもの=デッサンを土で表現される手法です。何枚も何枚もデッサンを重ね、変更して変更してようやく形が出来上がるとおっしゃいます。そこからは決して作為的に見えない、優しく大らかな印象を受けます。それは考え抜くとき、先生が常に「心に直接訴えかけるもの」を意識されているから。

何か実際のものをイメージしているのですか?と伺うと、

いつもいつも考えていて、それに何度も何度も変更を加えて出来上がるもの、思考の集積、それがこの形になっているから、何かこれということは言い表せない。

そうおっしゃいます。紅炻壷のふくらみも、そんな思考の集積の先に出来たものなのです。



紅炻壷(べにせっこ)
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●「筒」
今回の個展まで、思考を集積させるのにはいつもより少し時間がかかったそうです。変わりかけという感じだったとおっしゃいます。

その端緒となったのが「筒」。洋画で言えばラフのような存在だという「筒」をもう一度やってみようと思ったのだとか。



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先生にとって、この「筒」は工芸の筒ではなく、彫刻の筒。ただの筒をつくるのではなく、技術的に0から変えていったものでなければならないと考え、ひもづくり一つとっても、今までとは違うやり方でされたのだそうです。




●対極の世界
今回は同じ形で違う焼きの作品がいくつかあります。


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窯変に合うものと合わないものがあると先生はおっしゃいます。微妙な形の起伏や手の痕などを残したいものにはあえて灰がかからないような場所に置き、詰め方にも気を遣うのだそうです。

ドロッと灰のかかった窯変の美しさと、長い低温時間の結果もたらされる緋色の鮮やかさや手痕やふくらみの柔らかさ。そういった対極のようなものをこれからもつくり続けて行きたいとおっしゃいます。



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この徳利などは、胡麻がわずかにかかり艶が見える面と、グラデーションのような緋色が美しい片身代わり。1つの作品の中で、こういった融合も面白いです。



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●新たな表現へ
今回は窯で焼いた作品以外に、野焼きのような形で焼いた作品が一つあります。

白い部分は低温焼きを続けた結果で、黒い部分は煤がかかったもの。なんとも言えなずやわらかで、温かみを感じます。


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これからやって行きたい手法の一つなのだそうです。






お話を伺う中で、先生ご自身がずっと自問自答を繰り返されているんだなぁと思うことが多々ありました。綿密に考え抜かれた造形が、あるとき解き放たれる瞬間。それが大桐作品の魅力だと思います。

先生の作品は基本的にはとてもシンプルです。土そのものや窯のもたらす色、それぞれが力強くて自然なもの。これ以上魅力のあるものはないとおっしゃいます。

「日頃から形が頭から離れることはなく、常に頭の中を巡っています。悩むことがあれば基本を大事にして悩みぬき、時間がかかっても打ち破るしかないと思っています。」とは3年前におっしゃっておられたこと。その姿勢は変わっておられないのですね。


丁寧に時間をかけ、想いを込めた作品が並びます。
ぜひご来苑ください。お待ちしております。



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【大桐大 新作展会】
開催期間:2019年12月6日(金) ~ 2019年12月10日(火)

Exhibition of OGIRI Tai
Exhibition : December 6 to December 10, 2019


≪大桐大 / 陶歴≫
1967年 岡山県に生まれる。父親は大桐國光(彫刻家)
1989年 大阪芸術大学を卒業する
1990年 原田拾六に師事する
1995年 独立し、築窯
2000年 当苑にて個展を開催





(恭)



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