『猫と茶碗 大塚茂吉展』 ~作品紹介~

様々に色付いた葉がハラハラと落ちて、つもる季節となりました。
フカフカと柔らかな踏み心地、陽の光に当たるとホッとするような土臭さと、青臭さが混じったような良い薫り。
なんだかそれだけで幸せな気分になってきます。
そこに綿毛の様に丸まって目を細める猫が座っていたら、絵になること間違いありません。

さて、今週の金曜日からは柔らかなテラコッタの作品などを造られる『猫と茶碗 大塚茂吉展』が始まります。
2016年に当苑で個展をされてから3年。
今回も長年手掛けられている“猫”の作品の他、“お茶碗”や“絵画”の作品をご用意戴いております。
日本画を学ばれた後、陶芸の世界へ入られた茂吉先生の作品はどれも、墨の筆を置いた時のような落ち着きと、描くものの背景までも見えてきそうなドラマが感じられます。
物語の一場面に入り込んだような会場を、早速ですがご紹介させて戴きます。

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会場 



【猫 他】
全面を点描の象嵌で埋め尽くした猫の作品。
それは、降り注ぐ陽の光に輝く毛先の煌めきのような、毛皮の中に含んだ温かな秋の空気の粒のような気さえ致します。

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13-3.jpg13:ふりむく猫 Ⅲ
気品あふれる立ち姿。
全体に入る象嵌の点が、滑らかな肌と曲線をより一層美しく見せてくれる。

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15-5.jpg15:望む
晴れた夜、瞬く星を仰ぎ見るような気高く、美しく、愛らしい姿です。
よく見ると背中や足の付け根にナスカの地上絵のような柄が描かれています。
34:月の窓と共に……。


25・26-1.jpg25:猫蓋物Ⅳ / 26:猫蓋物Ⅴ
象嵌の施された小さな猫の蓋物。
そっと傍に置いて大事にしたくなります。

29-1.jpg29-2.jpg29:猫の壺Ⅰ
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30:猫の壺Ⅱ
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31:猫の壺Ⅲ
愛らしい壷を背負った猫たち。
手を揃えて真面目な顔をして、お花を守ってくれそうです。

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17:莟
“莟”つぼみと書いて“かん”と読みます。
祈りを捧げるため柔らかく併せたような……
大事なものをそっと掌に納めたような……
莟のように優しく併せた手と手を見て様々なことを感じます。
床の絵は14:樹


【茶碗】
“茶碗は両手の中に包み込まれるような人間の身体のフォルムに調和する形が有る様に思います。”
とは、前回の展示会の際に先生が仰っていたお言葉。
大事な人を大切に包むように、掌の中に納めておきたくなるようなお茶碗の数々です。


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5:茶碗 Ⅴ
砂浜に残った寄せては返す波打ち際のラインのようなお茶碗。
穏やかな太陽の暖かさのようなものまで感じられそう。

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9-2.jpg9:茶碗 Ⅸ
掛け残しの妙が面白いお茶碗。
静かな作品は、ゆっくりと土の表情の面白さを見せてくれる。

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40-3.jpg40:茶碗 XV
一見鉄絵の筆が入ったように見える作品ですが、象嵌の技法を用いたもの。
細かな茶色い土粒と、掛け残しのバランスが面白い。

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43-3.jpg43:茶碗 XVIII
こちらも象嵌の技法を取り入れたお茶碗。
深い赤墨色と小豆色が作る柄行きが炎のような不思議な世界をつくっている。
見込内の穏やかな感じもまた面白い。

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44-3.jpg44:茶碗 XIX
こちらも象嵌が取り入れられています。
釉掛けの面白い流れや、土の凹凸、高台に入る3本のトチンの痕も愉しさを増す。


【絵】
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35-3.jpg35:四つ足の散歩
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34:月の窓
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33-3.jpg33:月に吠える

日本画で使う顔料、アクリルなどを、描いては和紙を貼り、描いては貼り、また、その上を掻いてみたり……よく見ると様々な要素が見て取れます。
“やきものを始めたら絵がかけなくなってしまったんですよ。”
“やきものの時に使う脳と、絵を描く時に使う脳が違うのかな。”と先生。
ただ、私にはやきものに施される象嵌の点と、絵に入る点がリンクし、様々な手法による微かな凹凸が立体的に感じ面白く感じました。
描かれた絵にも点が描かれていることについて伺うと、“人、モノ、そしてこの空気中にもリズムがあるように思うんです。”と先生は仰いました。
なんだか先生にとって全てにおいて一瞬、一瞬が大切なもので、その一つひとつを留めるように、かみしめる様に、愛するように、一点一点を刻まれているようにも感じられました。きっとそこが私の感じた“やきもの”と“絵”の共通点だったのかもしれません。






先生も最終日まで御在廊予定です。
いつもとは違った黒田の世界をどうぞお愉しみ下さいませ。








※尚、図録、DM掲載外の作品に関しての事前のご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)


 猫と茶碗 大塚茂吉展 
Exhibition of OTSUKA Mokichi
開催期間:11月22日(金) ~ 11月26日(火)
Exhibition : November 22 to November 26, 2019
営業時間:11:00~19:00

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大塚茂吉
OTSUKA Mokichi
【陶歴】
1956  東京に生まれる
1979  東京藝術大学美術学部日本画科卒業
1981  東京藝術大学大学院美術研究科日本画専攻修了
1996  G.バッラルディーニ国立陶芸学校卒業
1997   個展 ロッジェッタデル39(ファエンツァ・イタリア)
    「壺の可能性」展 パラッツォチーズィ(ミラノ・イタリア)
1998  第50回ファエンツァ国際陶芸ビエンナーレ展 ファエンツァ・イタリア)
      第4回カイロ国際陶芸ビエンナーレ展(カイロ・エジプト)
      第38回カステッラモンテ陶芸展 パラッツォコムナーレ(トリノ・イタリア)
1999  個展 スタジオ カヴァリエリ(ボローニャ・イタリア)
    「イタリアからのテラコッタ~アルド・ロンティーニと大塚茂吉」展 草月美術館(東京)
2000  東美アートフェア個展 東京美術倶楽部(東京)
2003  東美アートフェア個展 東京美術倶楽部(東京)
2004  第4回21世紀展 東京美術倶楽部 (東京・名古屋・京都・大阪・金沢)、以後第15回(2015年)まで毎年出品
      収蔵作品展「動物のモチーフ」 東京国立近代美術館(東京)
2006   「内なる微笑み」展 ロッジェッタ デル39(ファエンツァ・イタリア)
    「人のかたち」展 滋賀県立陶芸の森陶芸館(滋賀)、兵庫陶芸美術館(兵庫)、静岡アートギャラリー(静岡)
2007  個展 サロン フォンタノーネ(ファエンツァ・イタリア)
2008  個展 「内なる微笑み」 ティート・バレーストラ近現代美術館(ロンジャーノ・イタリア)
2009  個展 「内なる微笑み」 ニアートギャラリー(ラヴェンナ・イタリア)
2011  個展 「内なる微笑み」 ファエンツァ国際陶芸美術館(ファエンツァ・イタリア)
2012  個展 「内なる微笑み」 パラッツォ エスポズィツィオー二(ファエンツァ・イタリア)
2013 「土の姿」展 益子陶芸美術館(栃木)
2016  個展 「静寂なる振動」 ニアートギャラリー(ラヴェンナ・イタリア)
    「創と造2016」 東京美術倶楽部(東京・名古屋・京都・大阪・金沢)
           
           作品収蔵先
         ヴィクトリア&アルバート美術館(イギリス)
         ティート・バレーストラ近現代美術館(イタリア)
         東京国立近代美術館、兵庫陶芸美術館、
         高崎芸術短期大学、高松市美術館、
         滋賀県立陶芸の森・陶芸館、菊池寛実記念智美術館






京橋 魯卿あん
Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
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営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

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