『作陶二十周年記念 加藤亮太郎展』

気付くと庭の片隅には数種類の小菊の花が可憐に花開き始めました。
夏になると旺盛に芽を出し、葉を広げ、太陽の光で栄養を取り込んで脇目を出して静かに秋に目覚めるのを待ちます。
その小さな花が沢山花を咲かせる姿は、季節はずれの空の向こうに小さく上がる花火の御褒美のようです。
さて、今週の金曜日からは多治見の幸兵衛窯でお馴染みの『作陶二十周年記念 加藤亮太郎展』が始まります。
2年に一度お願いしている亮太郎先生の展示会。
冒頭に書いた小菊のごとく静かに、静かに、花開くのを待つよう、その2年の間に様々な取組みや、経験からご自身の内から栄養を蓄えるように身も心も肥やされているように感じます。
最近、先生が発信されるSNSには、お茶の席でお点前される姿や、以前より嗜まれていらした書にも、益々精力的に取り組まれているお姿が見られます。どんなことにも真摯に向き合う先生。
このような積み重ねが、栄養となって作品の制作へのエネルギーになるに違いありません。
では、早速ですがいくつか作品をご紹介いたします。


【茶碗】
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23(図22):織部茶碗
前回からグッと深みを増した織部茶碗。
口縁の焦げたような部分、ターコイズ風の魅惑的な色から黄味を帯びた深い苔色の緑に変化する様。
削りの段差に溜まる釉薬のリズム。
茶溜りの鶯色。
手に取ってじっくりと愉しみたくなる。

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43:小倉志野茶碗
シットリと柔らかな落葉のような色合いの小倉志野のお茶碗。
灰被りの失透した釉が、ゆっくりと広がる霧のような静かな雰囲気を出している。

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51:黒織部茶碗
ハラリと落ちた紅葉の残した跡のようなお茶碗。
伝統的な織部茶碗のような動きのある形に入る、紅葉のような抜けが、より印象的なものとなっている。

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26(図25):織部茶碗
この季節にひっそりと実をつける山ブドウの実のような、青味を帯びた緑色。
その神秘的ともいえるお茶碗は、ほの暗い茶席ではより一層注目を浴びるだろう。

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39:鼠志野茶碗
先日、札幌では初雪が観測されたそうだ。
降り始めの雪を指で拭ったような志野釉の柔らかさを感じるお茶碗となっている。

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52:引出黒茶碗
色づき始めた山を描いたような柔らかなお茶碗。
見込の釉は飴色になって輝いている。
掌や口当たり、どちらも優しく嬉しい。
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3(図5):志野茶碗
腰の低い志野茶碗。
大きな口は桃色のような緋色が出ている。
先生の置いた筆の動きが面白い。
見込に出た鉄釉が、優雅に泳ぐ魚のようで面白い。


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60:小倉志野旅茶碗

今回は小振りな旅茶碗がいくつかご用意戴いています。
細かな練り上げが薄っすら浮かび上がり面白い。



【水指】
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13(図12):志野水指
真っ白な志野釉の水指に入る鉄釉は、何だか雪の結晶にも見えてくる。
たっぷりと掛けられた釉薬の下には、刀で切りつけたような大きな削りも入る。
花の蕾のような柔らかな膨らみの蓋の摘みは、胴回りの力強さを柔らかな印象へとさせている。




【花入】
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29:織部花入
宇宙から見た地球のように、まん丸な花入れ。
昨今は様々な自然災害が巻き起こっている地球……。
理想的な緑あふれ、温かな光あふれる地球にしたいと切に願います。

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33:織部花入
今回は小さな壷型の花入れもご用意戴いております。


【酒器】
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88・87:織部酒呑
小さいながら削りの仕事が施され、釉掛けの残しなども入れて面白い仕上がりとなっている。

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63:志野酒呑 / 81:小倉志野酒呑
ふっくらとした志野釉の酒呑と、こんがりとした小倉志野の酒呑。

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85・83:引出黒酒呑
同じ引出黒ですが、雰囲気の違う2点を並べてみました。
飴色っぽくなったものと、少しマットに変化した釉が鱗のように変化した酒呑。

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79:鼠志野酒呑 / 68:志野酒呑
コロンと丸い志野の酒呑は、花の蕾のようで何とも可愛らしい。
鼡志野の酒呑も釉の柔らかさ、鉄釉の筆も柔らかく乗って温か雰囲気。





「点滴石をも穿つ」
Constant dripping wears away the stone.
小さな水雫でも繰り返し落ち続ければ石を割る。
小さい力でも積み重なれば強大な力になることのたとえであり、努力を続ければ大きな成果が出せるということ。

作陶を始めて約20年。
祖父に三彩の人間国宝だった、加藤卓男。お父様に 七代目 加藤幸兵衛を持つ先生。
時にそのお二人の功績が背中を押し、時にその大きさが重く感じることがあったかもしれません。
しかし、それをきちんと受け止めて日々の弛まぬ努力の積み重ねが作品となって姿をみせます。
作品を前にしたら、季節はずれの花火を見つけた時のような皆様の笑顔が、それ以上の大きな花となって会場に咲いてくれるでしょう。
また、その笑顔がまた先生の作陶の栄養となるに違いありません。
先生も終日御在廊予定です。
どうぞ皆さま、足をお運び戴き、ご高覧くださいませ。






※尚、図録、DM掲載外の作品に関しての事前のご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)


 作陶二十周年記念 加藤亮太郎展 
Exhibition of KATO Ryotaro
開催期間:11月15日(金) ~ 11月19日(火)
Exhibition : November 15 to November 19, 2019
営業時間:11:00~19:00



美濃桃山陶は、へうげやゆがみと言いならされるが
その本意は脈動する焼きものである。
一塊の土くれが、心の臓のように脈動し、火によって
美という永遠がもたらされた。
この節目の機会に、私の分身たちを、ぜひ掌の中で
ご清覧くださいませ。
                   加藤亮太郎


加藤亮太郎
KATO Ryotaro
【陶歴】
1974年 多治見市に七代加藤幸兵衛の長男として生まれる
    祖父は人間国宝の加藤卓男
1997年 京都精華大学芸術学部陶芸科を卒業する
    在学中より松本ヒデオ先生に師事する
1999年 京都市立芸術大学大学院陶磁器専攻修了
    在学中より秋山陽先生、石川九楊先生に師事
2000年 家業の幸兵衛窯に入る
2002年 倒式窯を自ら築く
2006年 現代作家茶碗特集(日本橋三越本店)以後毎年
2010年 大明寺(中国・揚州)鑑真和上像里帰り大法会にて作品を献上
2012年 越後妻有アートトリエンナーレ 
    ミノセラミックスナウ(岐阜県現代陶芸美術館)
2014年 パラミタ陶芸大賞展(パラミタミュージアム) 
2015年 和美茶美展(染清流館)
2016年 幸兵衛窯歴代展(古川美術館)
    父子展(日本橋三越) PANK工芸展(樂翠亭美術館)
2017年 引出用穴窯を築く  PANK工芸展(茨城県陶芸美術館)

【History】
1974 Born as the first son of the 7th Kato Kobei. His grandfather was a living national treasure, KATO Takuo.
1997 Graduated from Kyoto Seika University, department of Ceramic Art.
   He studied under Matsumoto Hideo while he was at school.
1999 Graduated from Kyoto City College of Art, majoring in Ceramics.
   Studies under a potter, AKIYAMA Yo and a calligrapher, ISHIKAWA Kyuyou.
2000 He entered Kobei-gama (the family business).
2014 Exhibits Paramita Ceramic Grand Prize Exhibition
   Exhibits at "Ten Japanese Potters"(Goldmark Gallery,UK)
2017 Build a new kiln for Hikidashi-kuro
   He has been holding solo exhibitions and joined group exhibitions in various places.



 京橋 魯卿あん 
Rokeian
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