手放すということ

朝の通勤電車で隣り合わせた女性、ずっと下を向いていて、携帯を見ているのだろうと思っていた。うつむいたまま一度も顔を上げないので、よほど何かに集中しているようだと想像した。幾駅か過ぎた頃、彼女が電車の揺れとは違って、身体が前のめりになるのに気付き、見るとはなしに視線を向けると、なんと彼女は寝ているのだった。車両の端のドアに寄りかかって、立ったまま寝ている。手には携帯を持っているから、電車に乗った時は、携帯を見ていたのだろうが、そのうち思わず寝てしまったのか。前のシルバーシートにデンと座ってゲームをしている学生とおぼしき男の子と交代してあげたいと思えるほど、強力な睡魔に見舞われた彼女。わたしの方に倒れ掛かったら、受けとめてあげないとと、それからは身構えた。結局、わたしは先に降りたので、彼女が倒れずに持ちこたえることができたか、分からずじまいで、ちょっと気になる朝だった。そんな出来事があり、当苑に来ると、菊池先生の穏やかな世界が広がっていて落ち着いた。


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『菊池克展』がスタートしました。毎年、前回とは違った何かを作品に込められる。そして、いかにも菊池先生らしい作品もお作り下さるので、ホッとする心持ちになるのは、お客様も同じではないでしょうか。

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茶碗の数々はショーケースの中に。
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酒器の棚。
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水滴・硯・筆架・花留の並ぶ棚。
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毎年好評のお皿も沢山お作り下さいました。
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今週の花
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軸: 加藤唐九郎 「河童勇士」
花器: 粉青幾何学文扁壷 共箱
花: 山香ばし(やまこうばし) / やぶ椿

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山香ばし

紅葉した葉が美しく、実もなっています。枯葉になっても落ちることはなく越冬するため、「落ちない」と受験生のお守りのようにされることもあるそう。

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やぶ椿



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花器: 荷葉水盤
花留: 蓮乃実形花留
花: 雲龍柳 / 深山(ミヤマ)リンドウ

蓮の葉型の水盤に蓮の実の花留がピッタリです。
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深山(ミヤマ)リンドウ


今週は三ヶ所に行けております。


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花器: 斑瓶
花: 肥後菊


先生が一遍上人をテーマにお作りになった「踊念佛陶印」を眺めながら、考えた。

一遍上人は、亡くなる前に持っていらした経典は、とあるお寺の僧に渡し、他の書物は「阿弥陀経」を読みながら、全て焼き捨ててしまったのだそうだ。50年の生涯で、ただの1冊の書も残さず、ひたすら諸国を行脚して人々に「南無阿弥陀仏」の念仏札を配ったという。

気になっていた先生の工房の名前である「陶 迦葉」。昨年、釈迦十大弟子のひとりの迦葉からとられたのかお聞きした。まさに、その通りであったのだが、衣食住に頓着せず清貧の修行を貫いた方であることからも、先生の志を垣間見た気がした。そして、今回の一遍上人。

どちらも、物にとらわれず、余計なものや考えを捨ててこそ、本当のもの・真に到達するものに近づくのだと教えてくれるような気がする。

フードロスが問題になり、廃棄から少しでも役に立つような仕組みが徐々に広がりつつある。また、スウェーデンの16才の少女のグレタさんが、大人たちの心ない反発の声にもめげずに温暖化への警鐘を力強く訴え、「世界気候ストライキ」を広めている。

こういった行動は、人類が何世紀にもわたって豊かさや便利さを追求し、それが至上の幸福と刻み込んできた認識を少しずつ剥がしていく、囚われていた思考を解放していくことに繋がるだろう。勇気や忍耐の要ること、そして一朝一夕にはいかないに違いないが、人類と地球上のありとあらゆる生きとし生けるもの・自然や環境が「沈黙の春」を迎えないためにも、実行しなくてはいけない思考であると、先生の個展から、つくづく考えさせられた。

                                          

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