『極上の湯碗展』 ~作品紹介~

先週ぐらいから、夜になると気温が落ち着き、冷房を入れずとも眠りに付けるようになってきました。
我が家のゴーヤのグリーンカーテンならぬ、野葡萄のカーテンには可愛らしい実が沢山実って、若い緑から、段々と色を付け始めました。
本格的な秋になってコバルトブルー、群青色、紫、ピンク等の天然石のような不思議な色を放つまで、そう遠くはありません。

さて、今週の金曜日からは、今年で15回目となります『極上の湯碗展』が始まります。

あの夏の蒸し暑さから解放されて、ホッと胸を撫でおろす……。
暑さのせいでとっ散らかっていた考えをまとめたり、少し冷静に自分の時間を過ごす事が出来るのではないでしょうか。
そんな時、自然と手が伸びるのはお気に入りの「My 湯呑」。
湯呑から伝わる温かさに、より心が解れて有意義な時間が過ごせそうです。
今年は、久々に出品をお願いした先生や、湯碗展初参加の先生なども含めて、23名の先生方に作品をお願いいたしました。
他、巨匠の先生方の作品も一緒に並びます。
一番身近なやきもの“湯呑”の数々を、どうぞお愉しみ下さいませ。
では、いくつか作品をご紹介致します。


【巨匠】
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古山子-2.jpg■小山冨士夫■
伊賀湯呑

ちょうど、弊社HP「本日の逸品」でもご紹介中の小山先生の伊賀のお湯呑。
長石が含まれた荒々しい素地に、美しい伊賀釉が掛かる。
硝子質に変化した釉は、その白い砂粒を際立たせ星屑のように見せている。
見込みは深く透き通った濃緑色の釉だまり。
底部付近には少しの土見せを残してかかる、釉の垂れ先の深い碧も魅力的。
土の中に含まれた鉄分が溶け出した、口縁の焦げの班も景色となっている。
実際に手に取って、様々な光の加減でご覧戴きたい作品。


【現代作家】
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■伊藤秀人■
1・3:青瓷碗
柔らかな青瓷釉には繊細な貫入が入る。
その下には微かに成形された素地の凹凸が見え、穏やかな輪花の湯呑となっている。
気品あふれる上質な湯呑。


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内田-3.jpg■内田鋼一■
4・3:朽木手湯呑
一方は白くマットな仕上がりでメレンゲ菓子のように温かい雰囲気。
一方は少し艶が出た灰釉の色の変化なども愉しめる。
どちらも捨てがたい面白さが詰まっている。


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岡-5.jpg■岡晋吾■
1:呉須色絵湯呑 / 9:安南染付練込湯呑 /5:紅安南白金彩湯呑
久々のご出品になります。
当苑でずっと使わせて戴いている喫茶去用のカップ&ソーサ―のようなシンプルな印象でいた先生の作品ですが、今回は大変手の込んだ作品をご出品戴きました。
青く涼し気な呉須の湯呑の背面には、色の付いた花が躍ります。
白地に黒のインド風の更紗柄のようなお湯呑も、シックで素敵。
大きく柄を掻いた上に色を乗せた作品も長く愉しめそう。


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■隠﨑隆一■
5:備前湯呑 / 4:黒湯呑
落ち着いた備前お湯呑は背面は黄色味が強く出ている。
黒湯呑は、よく見ると一部が藍色に変化して土の中の粒子が白く浮き上がって見える。
何だか夏の夜の波打ち際の夜光虫のようで幻想的。


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■加藤亮太郎■
4・2:椿手湯呑
例年よりも柄のような模様が大きく出ている。
窯の中の炎のようにも見える。


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巖-2.jpg■金重巖■
9・8:色絵極上湯碗
出口王仁三郎先生の耀碗を思わせるような純粋無垢な作りと絵付けのお湯呑。
書をはじめ、陶芸、織物、能楽など芸術を大事にする教えの大本教を信仰する金重家のお一人である巖先生ならでは。
自由な色や筆さばきでありながら、子供っぽくない荘厳な雰囲気が漂う作品となっている。


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まこと-2.jpg■金重愫■
3:緋襷湯呑 / 6:赤絵湯呑
丁寧に引き上げられた湯呑の底部は柔らかく箆で削られ形作られている。
その上からは火襷の線が走っている。
赤絵のお湯呑もスラリと背が高く、美しい。
手に取ると、どちらもスッと吸い付くように掌に馴染むのが面白い。


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克-3.jpg■菊池克■
8:粉青碗 / 5:井戸碗
小振りの粉青の筒型のお湯呑と、新作の井戸碗。
枇杷色の土に白く変化した灰釉がふんだんに施され、高台周囲や口元などに梅皮華が出ていて格好良い。


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都-4.jpg■鈴木都■
ss-9:瀬戸黒湯呑 / ss-7:鼡志野湯呑
大きな梅皮華のように変化した瀬戸黒の湯呑は、真っ黒な石を敷き詰めたような面白い雰囲気。
また、大きな轆轤目を感じさせたままたっぷり乗せた鼡志野も赤い緋色に白が浮かび上がって面白い。


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佐次郎-2.jpg■田中佐次郎■
10・8:絵唐津湯呑
鼓のような形のお湯呑は佐次郎先生にしては珍しく、女性の私でも丁度いい大きさ。
変化の大きい形ですが、真ん中の絞りの部分に指が引っ掛かって握り心地が大変良い。


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高力-3.jpg■高力芳照■
2・1:備前窯変湯呑
全く雰囲気の異なる作品ですが、どちらも無釉の備前のお湯呑。
青味のグレーに変化した湯呑には正面に黄胡麻がふんだんに掛かり、その中心は焦げたように窯変している。
また、落ち着きのある緋色の湯呑は正面には灰が掛かって窯変し、背面にかけてはカセたような雰囲気が見て取れる。
どちらも味わい深く、良い雰囲気。


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辻村-3.jpg■辻村塊■
3-2:刷毛目ゆのみ / 1-1:伊賀ゆのみ
久々のご出品になります。
辻村史郎先生のご子息である塊先生。
入社した頃、常設の棚に並ぶ先生の作品は、朝露を受け止めたような透明感があって、素敵だなぁ……と眺めていました。
今回もその美しい青竹色の伊賀釉は健在。
縦に細かく鎬を入れたボディーは紅く変化し、その上から浅い緑色の伊賀釉が掛かることで、より美しさを増している。
黒っぽい土に風に音が乗る様に描かれた刷毛目も素敵です。


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美佐-2.jpg■直木美佐■
3:黒楽湯呑
秋の始まりの野山を思わせる黒楽湯呑。
たっぷりとした大きさ、それでいて軽く、お茶を戴きながら目を閉じると大自然の野山を感じられそう。


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堀-2.jpg■堀一郎■
4:瀬戸黒湯呑 / 2:瀬戸黒湯呑
表情豊かな堀先生の作品。
特に志野釉は、素地の藻草土によりややピンクがかった灰桜色となり、穏やかな雰囲気。
そこに見え隠れする鉄絵の黒の筆。
何度も手の中で転がして愉しみたくなる。


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前田-2.jpg■前田正博■
4・3:色絵面取湯呑
可愛らしいフクロウと月のモチーフが入ったお湯呑。
私が子供の頃には、夜になると「ホー、ホー、ホー」とどこからともなくフクロウが鳴いていたっけ。
その声を聴くころには、目が重くなって布団に潜り込んだことを思い出した。


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正木-2.jpg■正木春藏■
5・10・2:色絵染附 花卉文筒
今回は四方にそれぞれのお花があしらわれたお湯呑をご出品戴きました。
例年よりも細いタッチで、繊細に丁寧に描かれています。
花の薫りにつられた虫さんも細かく足先まで描かれています。


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松永-3.jpg■松永圭太■
10・7:湯碗
大きなオブジェの展示会や、初碗展ではご出品戴きましたが、この湯碗展には初参加となりました。
成形の後サイドを縦に切って、突き合わせて摘まんでいったような、面白い形。
口は自由にうねり、歪んだように見えるが、不思議と手に馴染む。
施釉の際の指痕や、底部に見える練込の素地も面白い。
青味の灰釉と、還元が掛かって桃色に変化した二色がある。


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丸田-2.jpg■丸田宗彦■
12:斑唐津湯呑 / 14:絵唐津湯呑
陶土をたっぷり使った少し重みを感じるお湯呑。
複雑な表情の斑唐津と、力強い筆遣いの絵唐津。
矢羽根のようなその筆に、束の間の休憩、「このまま頑張って進めば大丈夫!」と背中を押してくれそうな気がする。


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見附-3.jpg■見附正康■
2:赤絵細描ダイヤ花紋湯呑 / 1:赤絵細描小紋湯呑
シンプルな形に美しい文様が並びます。
よく見ると、細かな鎖や、鳥の羽のような図柄が入っています。
遠目で見ると、どこか昔の海外の装飾の様にも見えてきます。
いつ見てもため息が出るような細かな技が詰まっています。


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経-2.jpg■若尾経■
1:象牙瓷湯碗 / 3:青瓷湯碗
波の角が立っているようなお湯呑。
神秘的な深い碧も、貫入も海の表面の煌めきのように見えてくる。








一つ一つ手に取ると、ご自身に合うお湯呑がきっと見つかるはずです。
手に馴染むと、何となくずっと手の中に包んでおきたくなるようなお湯呑。
他の器と違って、一番身近な存在になってくれるに違いありません。





※尚、図録、DM掲載外の作品に関しての事前のご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)


極上の湯碗展
Exhibition of Choice Tea Cups 
開催期間:9月6日(金) ~ 年9月10日(火)
Exhibition : September 6 to September 10, 2019
営業時間:11:00~19:00

出品予定作家
《現代作家》
伊藤秀人・内田鋼一・岡晋吾・隠﨑隆一・加藤亮太郎・金重巖・ 金重愫・菊池克・島村光・鈴木都
田中佐次郎・高力芳照・辻村塊・直木美佐・新里明士・堀一郎・前田正博・正木春藏・松永圭太・丸田宗彦
見附正康・矢野直人・若尾経 (敬称略・五十音順)

他 物故巨匠作家

ARTISTS:
【Contemporary Artists】
ITO Hidehito, UCHIDA Koichi, OKA Shingo, KAKUREZAKI Ryuichi, KATO Ryotaro,
KANESHIGE Iwao, KANESHIGE Makoto, KIKUCHI Katsu, SHIMAMURA Hikaru, SUZUKI Shu, TANAKA Sajiro, TAKARIKI Yoshiteru, TSUJIMURA Kai, NAOKI Misa, NIISATO Akio, HORI Ichiro, MAEDA Masahiro, MASAKI Shunzo, MATSUNAGA Keita, MARUTA Munehiko, MITSUKE Masayasu, YANO Naoto, WAKAO Kei
【Grand masters】
TBA


京橋 魯卿あん
Rokeian
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