陶房の風をきく~志野・黄瀬戸 鈴木都展

当苑での個展は2年ぶりの2回目となりました鈴木都(しゅう)先生。
この2年間の試行錯誤の積み重ねを少しでも作品に反映できたらとおっしゃる先生にお話を聞きました。


●始まりは唐九郎
焼きものと出会ったころに読んだ本が加藤唐九郎先生の「唐九郎のやきもの教室」。大きな影響を受け、最初からずっと変わることなく、今のような焼きものをやろうと決めていたそうです。

そして、前回もご紹介したのですが、、、
小学生になる頃には土を掘りはじめ、中学生のときには美濃古窯跡を訪ねるようなお子さんだったという都先生。週末になると当苑へ出かけては何時間も焼きものを見ていたといいます。中でも、学校をさぼって初日に見に来られたという故各務周海先生の個展は特に思い出深いとか。

東京生まれで、特にご家族に焼きものとご縁があったわけでもないことを伺うと、そこに生まれた強い巡り合わせを感じます。



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●夕陽のような赤


今回のご案内状の表紙にもなっている赤志野茶碗
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先生によりますと、

「土と釉薬のはざまにあらわれる緋色を強調した釉掛けを試しています。
夕陽のように鮮やかな赤色が出せればと試行錯誤しているところです。」

なるほど、夕陽の赤か、と納得しました。

一仕事終えてふと外に出た時、空があまりに赤くて、びっくりすることがあります。そして、なぜかその強い赤の出る方へ視線が吸い寄せられるのです。これはどこから出ているのだろうか、自然の色はこんなにも力に満ちているのかと、ずっと見てしまうのです。

赤と言ってもいろいろ。先生の赤志野はそんな風に吸い寄せられる赤のように感じます。



●窯焚きは毎回が新たな挑戦

窯業校を卒業されて8年。
 
「土や釉薬、焼成、造形全てにおいて言えることですが、これらは窯焚き毎に細かく、少しづつ変えています。後退したり、堂々巡りしたりと、なかなか前に進みませんが、変えていくことで、作品を作り続けるモチベーションを保つことができているように思います。窯を焚く度、毎回が新たな挑戦です。」

とおっしゃいます。


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炭で焼く小さな窯
唐津系統のものはこれで焼かれます。


●やきものの根源的な部分へ
漠然としながらも、伝統的なものを追及するというよりはむしろ、美濃陶の枠組みからも外れた、やきものの根源的な部分に触れていくお仕事がしたい。その取り組みの一つとして、近い将来薪窯を築窯し、新しい展開をしていきたいとおっしゃっておられた初個展。

その後どうなっているのか気になっておりましたので伺いました。

当初の予定より大幅に遅れながらも少しずつ進み、現在は基礎部分まではできているのだそうです。ひとまず来年の完成を目指しておられるのだとか。薪窯では、志野だけでなく、焼き締めや朝鮮系統の焼きものも焼きたいとおっしゃいます。


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組まれるのを待つ煉瓦たち。
これを運ぶためには…
それはそれは大変だったそうです。



また、今年は当苑でも個展をされた柴山利彌先生のところへ窯焚きのお手伝いに行かれたと伺いました。

穴窯、蛇窯、登り窯と三基もの窯が並ぶ窯場に驚いたそうです。穴窯にご自分の作品を入れたところ、ガス窯で焼くのとは大きく異なる焼き上がりを実感されたといいます。これからご自分で薪窯を作るにあたり大いに参考になる、貴重な機会だったそうです。

志野や黄瀬戸ももちろん続けながら、もっと作品の幅を広げたいと、とても意欲的です。薪窯が、作品にどんな変化をもたらすのか、また根源的な部分というものがどんな風に表現されるのか、これから本当に楽しみです。


●土岐という土地で
物凄く感動したとか感激したという記憶は残念ながら最近あまり無いとおっしゃる先生。しかしながら、東京に住んでいた頃に比べて、政治や社会情勢に関心を持つようになったのだそうです。

「田舎暮らしで入ってくる情報は断片的とも言えますが、そこから読み取れる社会の変容や大きな動きに、色々と考えさせられ、自分の作陶姿勢にも少なからず影響を与えているように思います。」

焼きものにはその作り手の精神が映されると言います。芸術からだけでなく、日常の営みや人との関わり、社会情勢からも影響を受け、落とし込まれたその作品が、年を重ねていくにつれ、どう変わっていくのでしょうか。


●都先生の「現在(いま)」
今回も色々と試行錯誤したとおっしゃりながら、たくさんの作品を送ってくださいました。特に赤志野作品が中心になっております。

都先生の「現在(いま)」、その吸い寄せられるような「赤」をぜひご覧ください。
ご来苑お待ちしております。





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猫好きな先生の日常

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【志野 黄瀬戸  鈴木都展】
2019年9月27日(金) ~ 2019年10月1日(火)
11:00~19:00
会場:しぶや黒田陶苑
作家在廊日:会期中全日程

◆鈴木都 / 陶歴 ◆
1984年 東京生まれ
1990年代  土を掘りはじめる
1997年 美濃古窯跡を訪ねる
2010年 瀬戸に居を移す
2011年 愛知県立窯業高等技術専門校修了
     土岐津・高山にて制作を開始する
2015年 郷之木古窯の地へ移る



(恭)



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