『双頭ノ酒器展』 ~作品紹介~

ここ数日は台風の影響もあってか、雨が降ったりやんだりでしたが、明日からはまた暑さがぶり返すそう。
そんな時は、陽が陰るのを待って、照りかえす陽射しと薄闇になる前のほんの一時の時間を狙ってお庭のお手入れをしに外へ出ます。
今ひと際元気に葉を広げるのは、秋明菊。
蕾が段々と膨れて、中の白い花びらが見え始めています。
その隣では、吾亦紅の臙脂色の花のポンポンが風に揺れています。
人間が暑さに萎えている間にも、草花は力強く成長し、季節の訪れを感じさせてくれることに驚きと感動を覚えます。

さて今週の金曜日からは、この秋の始まりには欠かせない展示会『双頭ノ酒器展』が始まります。
喉に冷たいものを流し込む、盛夏とは違い、お好きな酒器を並べて、好みの肴とお酒でゆっくり愉しむお酒は、体の隅々まで行きわたるようで至福の時間です。
また、お使いになる毎に酒器に残るお酒が馴染んで味わい深くなっていく様は、気付いた時に季節の変わり目を教えてくれる草花のサプライズのように嬉しく、どんどんと愛着が湧いてくるものです。
そんなお一人、お一人に寄り添う、酒器が見つかりますように、本年も13名の現代作家の皆さんと、他、巨匠の先生方の作品を一堂に並べております。どうぞお手に取って、心行くまで自分に寄り添う酒器をお探し下さいませ。
では、追加作品も含め数点ですが作品のご紹介をさせて戴きます。

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会場



【巨匠】
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■加藤土師萌■
4:唐津陶盃
やや口の拡がったシンプルな形には左右に朝鮮唐津のような黒に青味を帯びたような色合いと、柔らかな青白い色合いとが片身代わりのように入っている。
釉が重なる部分の細やかな釉の動きと、シンプルな形の腰に溜まった釉どまりの膨らみが愉しめる。
口縁の鉄分が焦げたような赤みがキリリと引き締まった印象とさせる。


【現代作家】
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■内田鋼一■
4・3:酒呑
女性の手に丁度良い、やや小振りの酒器。
見込みに灰が被ったり、高台がオレンジ色に変化して花のよう。


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隠﨑3-3.jpg■隠﨑隆一■
3:備前酔器
三足の胴はややふっくらとして太い箆で削りを入れている。
抜けの周囲は艶やかな赤茶色に変化し、口元や肩は窯変している。
土の中に含まれた粒子は、珊瑚色の淡いオレンジピンクのような物が混ざっていて、面白い。


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■梶原靖元■
8:高麗青瓷盃 / 4:李朝白瓷盃 / 6:高麗白瓷盃
梶原先生らしい美しく淡い色合いが並ぶ。
高麗白瓷盃は淡い桑染色(褐色を帯びたくすんだ黄色)は穏やかな秋の色合い。
夜空に浮かぶ、輝く月のようにも見える。
月夜を見上げながら傾けたく盃となっている。
月より団子……
並べた色合いがススキ、お団子、お月様のように見えてきた。


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■金重巖■
4:唐津風酒呑 / 2:伊部盃
やや丸みを帯びた筒型の形には、柔らかな灰釉が掛かっている。
中心にはポン……と一筆の鉄絵。
その飾り気のない中に滲み出る穏やかな雰囲気が、巖先生ならでは。
掌にしっくり納まる、大事に育てたい作品。
また、小振りの盃は伊部土で作られた盃。
正面や見込みに胡麻が掛かっている。
さりげなく削って出来た高台も面白い。


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■金重まこと■
2:備前徳利 / 5:鉄絵ぐい呑
美しい立ち姿の徳利には、燠(おき)に埋もれて焼けたような窯変部分と、高温になることで生じる自然釉が掛かる。
その自然釉は、土見せの抜けを残して青味を帯びた灰色となり、更に秋に咲く女郎花の花のように黄色や若草色の硝子質に変化している。
一日の仕事終わりに、ご自宅周辺の山を走る先生は、美しい女郎花の花が風に揺れる中を走っていらっしゃるのかもしれません。
青っぽい硝子質に変化したぐい呑には、ぼんやりと鉄絵の筆が走った後が残る。
静かな存在感のまこと先生のようなぐい呑となっている。


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有邦1・6-2.jpg■金重有邦■
1:伊部瓢徳利 / 6:唐津盃
穏やかな丸みの瓢徳利には、良いバランスの抜けに灰が被っている。
口元からお尻に掛けて濃い緋色からグレーに段々と変化して、何とも美しい。
一緒に送って下さった唐津盃も、古唐津を思わせる味があってしっとりとして素敵。


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克10・6・7-2.jpg■菊池克■
10:刷毛目馬上盃 / 6:黒釉盃 / 7:鳥盃
新しいタイプの馬上盃、とまん丸の黒釉盃、皆さんに人気の克先生ならではの粉青の鳥柄の盃。
黒釉盃は揺らぐ口元、見込みの釉が縮れた隙間から覗く赤く変化した素地の色目を愉しんで戴きたい。
鳥盃の背面には「鳥」の文字が入る。


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鈴木都SS1・SS2-3.jpg■鈴木都■ 
SS1:長湫唐津ぐい呑 / SS2:長湫唐津ぐい呑
翡翠の天然石を思わせる、美しいぐい呑。
不思議な力を秘めていそうな、そんな作品。
手に取ると、スッと落ち着くような気分になるのは気のせいだろうか。


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高力2-2.jpg■高力芳照■
2:備前徳利
たっぷりとした胴に浮かぶ赤い月。
周囲は陽炎のようにカセ胡麻が出ている。
ふんわりとした雰囲気を纏う徳利となっている。


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浜本6・8-2.jpg■浜本洋好■
6:斑唐津ぐい呑 / 8:斑唐津ぐい呑
丸みを帯びた腰。胴には二本の轆轤目が浮かぶ。
その僅かな段差に釉が引っ掛かりながら表情を付けて掛かっている。
土の中の鉄分が反応して出来た、ホクロのような点も愛嬌がある。
少し背の高い朝鮮唐津の釉流れや色も美しい。


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■丸田宗彦■
6:朝鮮唐津ぐい呑 / 8:粉引唐津ぐい呑
燠(おき)に落として焼いたような変化に富んだ筒型の朝鮮唐津。
細かく揺らめく釉の動きと、豪快な窯変の性質の異なる見え方が何とも面白い。
それとは正反対の碗型の柔らかな粉引は、実際に見るとややオレンジがかった水柿色が浮かび上がって、良い雰囲気。


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矢野直人 8・9-3.jpg■矢野直人■
8:斑唐津ぐい呑 / 9:彫唐津ぐい呑
矢野先生の斑唐津では珍しい淡い秘色色(ひそくいろ)のぐい呑は、吸い込まれそうな美しさ。
前回の展示会から出され始めた彫唐津のぐい呑も、今回出品戴いています。


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拾六109-1.jpg■原田拾六■
109:備前火襷徳利
土の中に含まれた粒の見え方が独特な拾六先生の徳利には、光の残像のような幻想的な火襷が舞う。







さて、明日8月29日は、「文化財保護法施行記念日」だそうです。
1950年のこの日、国宝・重要文化財等を保護するための基本となる法律「文化財保護法」が施行され、1951年に制定されたそう。
今回も巨匠の先生方の作品も一緒に作品を並べております。
また、日々切磋琢磨される現代作家の先生方にもご協力戴いて、この展示会を開催しております。
“好いもの”が皆様の眼できちんと評価され、後にまで大切に使われながら伝わっていけば、そんな嬉しいことはありません。
ゆっくり、ご覧戴き、ご自分のお手元に置く作品を選んで戴けましたら幸いに存じます。



※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。
(葉)


双頭ノ酒器展
Exhibition of Tokuri, Bizen & Guinomi, Karatsu
開催期間:2019年8月30日(金) ~ 2019年9月3日(火)
Exhibition : August 30 to September 3, 2019
営業時間:11:00~19:00

出品予定作家(五十音順・敬称略)
〈物故作家〉
加藤土師萌・金重素山・辻清明 他
〈現代作家〉
内田鋼一・隠﨑隆一・梶原靖元・金重巖・金重まこと・金重有邦・菊池克・鈴木都・高力芳照・田中佐次郎・浜本洋好・原田拾六・丸田宗彦・矢野直人

ARTISTS:
【Grand masters】
KATO Hajime, KANESHIGE Sozan, TSUJI Seimei and others.
【Contemporary Artists】
UCHIDA Koichi, KAKUREZAKI Ryuichi, KAJIHARA Yasumoto, KANESHIGE Iwao, KANESHIGE Makoto, KANESHIGE Yuho, KIKUCHI Katsu, SUZUKI Shu, TAKARIKI Yoshiteru, TANAKA Sajiro, HAMAMOTO Hiroyoshi, MARUTA Munehiko, YANO Naoto

京橋 魯卿あん
Rokeian
〒104-0031 中央区京橋2-9-9
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営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日

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