旧きと新しき

それを受け取った途端、じんわり懐かしい思いでいっぱいになった。自分で焼いたというクッキーを彼女らしく、こちらが気を遣わないようにと帰り際にサッと差し出した。紙袋の中に白い紙の袋の中に入って、「ほんの少しだけ。お茶の時に食べて。」と、控えめな言い方が嬉しくて帰途につく歩みが心持ち速くなった。

『備前細工物のこれから -土で紡ぐ物語』の初日を迎えました。
久しぶりに器のない展示です。何名もの作家の方々の作品が一堂に会します。

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刀があります。
一瞬驚きますが、ご安心ください。展示のタイトル通り焼物です。

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様々な生き物たちが仲良く隣通しで並んでいます。
水の中の生き物も陸で生活するものも一緒です。

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こちらの棚にはロボットやウサギ、奥の壁には時計が。
実際に時を刻んでいます。

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画像では分かりにくいのですが、上の棚に展示しているポットの蓋の取っ手が猫の顔になっています。

ウサギ、猫、時計とくれば…。懐中時計を持って急いでいた白ウサギ、チシャ猫も出て来て、まさに「不思議の国のアリス」の世界。

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こちらは鮭とシーラカンス。鮭は縄でくくられて、由一のそれを髣髴とさせます。お腹の中は歯車や部品が詰まって機械仕掛け。

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隣の部屋には、リースや愛らしい獅子・童子等が並びます。

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友人の手作りのクッキー、白い紙の袋に入っていたと述べたが、それが一挙に子供時代の回想を引っ張ってきたのだった。

大好きだったお使いのお伴。母と行く馴染みの肉屋や魚屋、豆腐屋、八百屋。肉を切り分けたり、重さを殆どたがわずに量る様子は目を見張った。八百屋のおじちゃんが天井からぶら下がったザルから、器用にお釣りを取り出す技にも感心したものだった。

でも、何より楽しみだったのは、帰りに寄るお菓子屋。
四角く区切った取っ手付きのガラスの中に、ジャムを挟んだ小振りなクッキーや金魚の形をした甘いおせんべい、金平糖やジェリービーンズ…まだまだ沢山の色とりどりのお菓子。子供の自制心を容赦なく崩してしまう数多の誘惑は虫歯予防デーのスローガンもあっけなく陥落する力を持っていた。
母が選ぶお菓子の他に、わたしにも選択権を与えてくれることがあって、目移りしながらもやっと決めた物をお店の人が銀色のスコップですくって白い紙の袋に入れ、はかりでグラムを量って渡してくれる。
その時、必ず袋の上を折って端を二ヶ所、ヒョイとねじってくれた。行者の白装束の頭にかぶる白い布のような左右のねじり。しっかりねじってあるので、お菓子がこぼれることもない。が、開ける時は子供にも簡単に開けられた。

今のコンビニやスーパーの袋入りのお菓子、封を切らなければ、すぐにしけてしまうこともないし、メーカーが同じなら、お菓子の種類ごとに異なるパッケージ。どのお菓子も同じ袋に入れてくれた時とだいぶ様変わりしている。

今回の備前細工物の展覧会。
昔から作られているスタンダードな主題のものから、新しい捉え方で表現された作品まで実に多彩である。
具象から抽象的な作品まで作家の方々の創意が拝見でき実に楽しい。

そして強く感じるのは、一つ一つの作品のテーマは異なっていても「アニミズム」。
あらゆるものに神が宿るという日本古来からの考え方。

お菓子の袋が変わっても、その魅力に吸引力がある事に変わりないように、生命体でない無機質な物にも魂(神)を感じる。
新しいものにも「アニミズム」を見出すことに気付かされた展示である。


(藤)


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