『ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展』 ~作品紹介~

先日のお休み、しばらく手付かずにしていた庭の片隅を手入れをしようとジャングルと化した茂みに頭を突っ込むと、驚いたようにメジロの夫婦が飛び出してきて、しきりに何かを訴えかけてきました。
もしかしたら巣作り候補地となっていたのかもしれません。
しばらくすると諦めたようにどこかへ行ってしまいました。候補地から外れてしまったのなら、残念でなりません。

自然に囲まれて生活する母からも、去年の夏に取り付けた巣箱で四十雀が子育てを始めたとの知らせが届きました。きっとこの時期は、鳥達の多くは子育ての時期なのですね。

気付けば、地元の駅からも燕が忙しそうに飛び出してくるようになりました。
そのシルエットは、昨日までの伊藤先生の青瓷のような蒼い空に美しく印象的に目に焼き付いて映し出されます。

人は不思議なもので、美しいものを見て感動を覚えた時、自然と目に入ってきたものを脳裏に焼き付けます。
その記憶は、何時までも消えることは無く自分の中にネガフィルムのように蓄積されていきます。


今週の金曜日からは、そんな感動の一枚を記憶に刻むような作品を揃えた『ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展』が始まります。その美しさは褪せることなく、また見るたびにさらなる感動を呼ぶような生命力に溢れています。


画像
会場
梅雨に近づくこの季節。お庭のしっとりとした緑に溶け込んで、落ち着いて皆様をお迎えいたします。
早速ですが、いくつか作品をご紹介いたします。


画像
画像画像
1:河井寛次郎 花手扁壷
無位無冠の陶工ですが「用の美」を意識した暮らしの中に溶け込む作風で世界的に高く評価されている。
また随筆も含め、木彫、金工と多彩な才能を発揮されたそのデザイン力は幅広く、本作品の左右不対象の造形にも表れている。
泥漿(でいしょう)で描かれた手は花を摘み、禅宗の「拈華微笑(ねんげみしょう)」の「拈華」からの発想と言われている。この、スポイトに入れた泥漿で描かれた線の内側に彩色を施すのは“筒描彩釉”と言われる寛次郎先生の独自の技法。ふっくらとした胴の造りに、ゆったりと描かれ、優しい雰囲気に溢れている。

※拈華微笑:(釈尊が花をひねって差出し、弟子の迦葉だけがその意味を悟り(法を悟り)、ほほ笑んだ。)


画像
画像
画像
6:岡部嶺男 鼠志野茶碗
少し高さを持たせた大振りなお茶碗。
たっぷりと志野釉が掛けられているが、その下に素地の勢いある削りが感じられる。
緋色に色付いたゆず肌は膨らみがあって豊かな表情。
釉下に見える鬼板も美しく、勢いよく削られた高台にまで回って掛かっている。
高台畳付脇に「嶺」の崩し彫銘。


画像
画像
画像
13:荒川豊藏 瀬戸黒茶垸
 『荒川豊藏 自選作品集』(1976 朝日新聞社)所載
『日本のやきもの 現代の巨匠6荒川豊藏』(1978 講談社)所載 
複雑な釉肌の瀬戸黒はしっとりとした上品な艶を放っている。
瀬戸黒には珍しい優しく丸い筒型のような形。柔らかな藻草土と形が調和し、良い雰囲気。
釉掛けの際の指跡や、一部見込みに残った土みせ部分が景色となって愉しませてくれる。
自選集にも掲載された、自信の作の一つだったに違いない。


画像
22:塚本快示 青磁輪花茶碗
19:黒田辰秋 螺鈿花文散し雪吹
20:音丸耕堂 堆漆茶杓 銘 こと保義



画像
画像
19:黒田辰秋 螺鈿花文散し雪吹
布 志村ふくみ
品のある漆の黒に、上品な輝きの螺鈿で十枚の花弁の花が風に舞うように軽やかに飛んでいる。
中次のような筒型の形の上下の角を緩やかな角度をもって削ったような形は、天地もわからない程と言う意味と「雪吹」を重ねたものだそう。
あたたかな自然の温もりを感じる志村ふくみ先生の仕覆と並ぶと、より一層可憐な雰囲気が漂ってくる。


画像
画像
22:塚本快示 青磁輪花茶碗
白瓷作品を多く手掛けた快示先生ですが、本作品は青磁釉を用いた、大変珍しいもの。
やや色のついた灰色の土を使うことで、無貫入の青磁釉の青に深味が増して、大変美しい。
少し高めの高台や、口縁六か所に入る切込みによる輪花も面白い。
見込みの動きある釉の溜まりも、存分に味わいたい。
雨上がりに咲く夕顔の花のような儚さが漂う。


画像
画像
28:加藤唐九郎 河童勇士
「加藤藤九郎・重高・高宏 窯ぐれ三代展」(2008 菊地寛実記念智美術館)所載
2008-2009年にかけて菊池智美術館で開催された「窯ぐれ三代展」に出展されたもの。
筆のかすれが、恵みの雨を喜び小躍りするようで何とも微笑ましい。
足元に這うカタツムリも季節を感じさせる。
この季節、床に掛けて大事なお客様のご来訪の喜びをお伝えしたい。









少しでも皆様の心に残る作品となれば幸いです。
どうぞ、実際の作品と向かい合って感じて戴けたらと思います。





※尚、図録、DM掲載外の作品に関しましてはご予約は承れません旨、予めご了承下さいませ。

(葉)




ひとりたのしむ 昭和巨匠陶藝逸品展

The Grand masters of Showa era
開催期間:6月7日(金) ~ 6月18日(火)
休業日:13日(木)
Exhibition : June 7 to June 18, 2019
11:00~19:00



現代の陶芸界の礎を作られた昭和陶藝の巨匠たちの逸品は、今日さらに輝きを増して我々を楽しませてくれます。他では見られない素晴らしい作品を皆様にご堪能いただければ幸いです。

出品作家(敬称略・五十音順)

荒川豊藏/岡部嶺男/音丸耕堂/金重素山/金重道明/加藤唐九郎/加守田章二/河井寛次郎/川喜田半泥子/栗木達介/黒田辰秋/塚本快示/三輪休和/十一代 三輪休雪/山田山庵 他

The wonderful works by the grand masters of Showa era, which are the basement of Modern Pottery world, still give us pleasant surprise with its beauty. We would be pleased if you enjoy the best items of our gallery.

ARAKAWA Toyozo/OKABE Mineo/OTOMARU Koudou/KANESHIGE Sozan/KANESHIGE Michiaki/KATO Tokuro/KAMODA Shouji/KAWAI Kanjiro/KAWAKITA Handeishi/KURIKI Tatsusuke/KURODA Tatsuaki/TSUKAMOTO Kaiji/MIWA Kyuwa/ MIWA Kyusetsu XI/YAMADA Sanan











京橋 魯卿あん
Rokeian

 〒104-0031 中央区京橋2-9-9
 TEL: 03-6228-7704 FAX: 03-6228-7704
 http://www.kurodatoen.co.jp/rokeian/
 営業時間:11:00~18:00 定休日:日曜日・祝日



※無断転載、再配信等は一切お断りします


黒田草臣ブログはこちら

Twitterページ はこちら

Facebook ページはこちら

Instagram ページはこちら

しぶや黒田陶苑のホームページに戻る