素材の力 

素材の持つ味を生かす。それは料理もやきものも同じです。
いつでも、どこでも同じものが食べられる。それは「便利」ではありますが、「豊か」であるかは分かりません。兎角甘味や旨味ばかりが強調される昨今ですが、苦みやえぐみ、酸味や辛み、自然の素材自身が本来持っている味はより複雑なもの。季節や土地によって異なる味こそが食の豊かさであるならば、やきものの素材である土や灰、鉱物の持つ持ち味を炎の力を借りて最大限に生かすことがやきものの豊かさと言えるかも知れません。

辻清明先生の作品を見て常に思うことは、その土の持つ「強さ」です。
大きな岩石のような塊の作品であっても、小さく愛らしい動物を象った作品であっても、大きさ、種類に関わらず常に痩せることのない「強さ」を感じます。



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辻清明  唐津桔梗向附 六客

厚みのある素地にざっくりと入れた切れ込みは楚々とした可憐さだけでは語れない、花本来が持つ生命感にも通じる力感を感じます。口縁に鉄釉を施し、皮鯨に。その鉄釉も所々流れ、動的な印象を強めます。

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見込みは深くたっぷりと。辻清明先生の器の「強さ」は決して威嚇するような強さではなく、どの様な相手でも大きく受け止める強さです。



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辻清明  慶州土木の葉皿 五客

木の葉皿は韓国慶州の土を用いたもの。信楽の土の様に長石でしょうか、小さな粒石を多く含んだ土はその土の景色だけでも魅力あるものです。厚いたたら板の素地から切り出した縁や葉脈の篦目も伸びやかで迷いがありません。

料理を引き立て、そして料理がなくとも器だけでもまた再度愉しめる。そんな豊かな食卓が眼に浮かぶ作品です。



『おいしいうつわ』では本日ご紹介した作品だけでなく、様々な食の器をご紹介しております。
是非脇役だけで終わらない、うつわそのものに美味しさを感じるような作品をお探しの皆様にご覧戴きたい展示会です。

おいしいうつわ
2019年6月28日(金) ~ 7月2日(火)

https://www.kurodatoen.co.jp/exhibition/201906280702/





(巻)



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